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2014年9月16日 (火)

炎立つ 兵庫県立芸術文化センター13日ソワレ ギリシャ悲劇の様式による奥州の命と魂の再生の物語 果敢に挑まれた主演のお二人に心から拍手しました

原作・原案: 高橋克彦  
演出: 栗山民也  
脚本: 木内宏昌
音楽: 金子飛鳥
キャスト
キヨヒラ(雌伏中のエミシの武将):片岡愛之助
イエヒラ(キヨヒラの異父弟):三宅健
ヨシイエ(占領軍ヤマトの武将):益岡徹
カサラ(アラハバキの巫女):新妻聖子
キリ(キヨヒラの妻):宮菜穂子
イシマル(キヨヒラの従者):花王おさむ
ツネキヨ(キヨヒラの父)の霊:松井工
ユウ(キヨヒラ、イエヒラの母):三田和代
アラハバキ(エミシの最高神):平幹二朗

イリアスの続編。敗戦国の人々が苦難の末に、永遠の平和を願って楽土を建国する物語。お衣装と装置、音楽、様式が継続されていますので、つかみはいい感じで劇の世界に誘ってくださいます。

イリアスのカッサンドラ役の新妻聖子さんが、同じカサラという役名で巫女として4人の乙女を従えて物語全体を語ります。アンドロマックに相当するユウは三田和代さん。生き延びるため敵将の妻となり、イエヒラという子を成します。全能の神で戦の行方を翻弄するゼウスにあたるお役・エミシの地霊アラハバキに平幹二朗さん。前回は老王プリアモスであられました。とうとう、神になられました。(蒼の乱では、アラハバキを信奉する蝦夷の族長でした。)
勝者の崩壊も、相似形になっていました。プロットと趣向は洒落ています。
ギリシャとトロイ、ヤマトとエミシ、東京と東北という支配と搾取の関係に心が痛みます。

弟イエヒラは、むき出しの欲望と愚かしい保身により運命に復讐され自滅、兄キヨヒラは、周囲の人々の犠牲のうえに忍従の日々を生き抜き、国土を再生へ導くというところで落とし前をつけられます。この辺りが兄弟喧嘩のレベルに下がってしまったのが惜しかったです。

それぞれの役者さんは期待どおりあるいは期待以上の成果を挙げておられましたが、平和への渇望や運命に立ち向かう人間の高貴さは伝わったのかしらん。

新妻聖子さんは、またまた平幹二朗さんの娘分のお役。めちゃ気になります。↓よろしかったらポチッとお願いしますm(_ _)m。
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ヘクトールとツネキヨ
鎧を剥がれ馬車で遺骸を引き回されるヘクトール、錆びた刀で斬首されるツネキヨ。一戦士としての無念と祖国と妻子への思いはいかばかりか。次世代の魂のよりどころとなるのはうなずけます。このとき、鎧はどこへいったのでしょう。

アキレウスとツネキヨの鎧
アキレウスの最初の鎧は、親友パトロクロスが借りて出陣し、彼が討ち取られたため、トロイア軍に没収されてしまいます。最後の鎧(盾共)は、母ティティス が火の神に造らせた最強のもので、これを着て勝利しますが、アキレウスは運命のままに戦死。その鎧をオデッセウスとアイアスが奪い合い、オデッセウスが勝 利し、アイアスは狂死。鎧や盾にファンタジーを持つ古代ギリシャなので、イリアスでは重要アイテムです。所有権移転は命が掛っているだけに厳格です。
ツネキヨの鎧はなぜか突然現れた亡霊により息子に託されます。これはあきません。唐突です。日本人はどちらかといえば、剣や鉾に神性を見出しますし、ツネキヨの怨念は錆びた剣なのでそちらの方向がよかったように思います。

語り手が多すぎて
語り手が何人もいるのに、自らも語ります。これが、ギリシャ悲劇を踏襲していると納得しなければ、会話しているのか語っているのか明確でないと受け取られ、感動と迫力が薄れてしまいます。どうだったのでしょうか。

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コメント

>はぎおさま
コメントありがとうございます。
大河ドラマでは村上弘明さんが演じられた部分ですよね。釜石市出身の高橋克彦さん、陸前高田市出身の村上さん。作品そのものに東北復興の願いが込められていますね。脳内で松山ケンイチさんに変換されてしまうので困りました。コロスも馬にいつなるかと…(爆)
平さんが大伴黒主さんのような拵えと見得でしたので、歌舞伎の要素も織り込まれていると思いますが、見つけ切れていません。
主演の片岡愛之助さんと三宅健さん。最も多くの御稽古をなさったと察せられるお二人に、心から拍手しました。

投稿: とみ(風知草) | 2014年9月18日 (木) 00時05分

こんにちは。
久しぶりの観劇、しかも「イリアス」未見という条件のせいか、私は独特の世界観に入り込むのにちょっと時間がかかってしまいました(^^ゞ
それに「大河ドラマ」の印象があったので・・・

それでもやはり「セリフ劇」の力強さは後からジワジワときましたね。

それにしても、平さんの神々しさは素晴らしかったです!

投稿: はぎお | 2014年9月17日 (水) 22時13分

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