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2012年10月10日 (水)

桂川連理柵・呂勢大夫,藤蔵さん,勘十郎さんのお半ちゃんは,一切の言い逃れを許さしません。睦大夫,清志郎さん,清十郎さんの長右衛門さんは論破されて心中の途に着きはりました。

9日マチネ。枚方市民会館。
道行朧桂川の段で浅葱幕が切って落とされたとき,自発的に拍手が起きてました。
呂勢大夫,清治師匠,勘十郎さんのお半ちゃんなら,万難を排して見んならんということで,枚方市民会館に行ってきました。残念ながら,清治師匠は御休演ということで,代役は藤蔵さんです。このため,恋の猛進度が増しておられたのは,申し上げるまでもありません。
お相手の長右衛門は睦大夫,清志郎さん,清十郎さん。物語の主題に迫るキャラクター造りでした。基本は高潔でありたいと望み,自らはいい人を自負していながら,結果として,大きな任務をしくじり,養父を悲しませ,妻を裏切り,隣家の主人夫婦を悲しみのどん底に落とし,今の恋人もお半ちゃんも放り出して一人死ぬと言い出します(心中までしようとした元カノは,だまされて一人で死んでしまいはった。)。自分はそんな悪い男ではないという言い訳が全身からだたよっておられました。いろいろしくじって、あんたと死なんでも、どうせ死なんならんはないでしょ!(`Д´)(褒めてます。)
三業のテイストが混然一体となったまっしぐらお半ちゃんの凄いところは,養父や女房他のみなさんが,大人として許したのに,一歩も引かず論理でもって説得し,男を納得させたところです。激情の後ろぶりの形の美しいこと,美しいこと。会場が息を飲んでました。男にまとわりつく形のよさ,ぶれないまなざし,何もかもが運命に向き合い戦う娘でした。
お半ちゃんは京都のジュリエットです。↓よろしかったらポチッとお願いしますm(_ _)m。
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お半ちゃんをエイリアンかもしれません。地球外生命体が,人間の内部に寄宿して増殖して宿主を突き破って死に至らしめるイメージでしょうか。孕ませたはずの男の体内に,実はお半という増殖するエイリアンが棲み着き,もはや一つの生命体になったかのようでした。
世間の価値を自分の価値として,貞淑の鎧をまとい女房という類型を演じている「おさん」系の女とは一線を画していますね。もちろん,そんな女性を賛美する演目も素敵!

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