油彩画のチカラ・京都国立近代美術館の高橋由一展と京都市美術館のエルミタージュ美術館展
近代美術館では高橋由一,京都市美術館ではエルミタージュと2つの展覧会がそろった日に行って参りました。
圧巻は3点の鮭です。想像よりずっと大きく,一つは木目も鮮やかな板に描かれており,実際に壁につるされているかの迫力です。正月の料理としてたいへん目出度く豊かな暮らしの象徴でしょうか。ヨーロッパ絵画の静物画では,魚はイエス・キリストを象徴し,吊るされて肉を食べられているのですから、思わず十字を切りたくなられる方もおられたとか。
また,土木工事のプロセスを詳細に写生した絵画には,当時の国土開発の事業がうかがえるとともに,記録メディアとしての絵画の使命感を感じさせ心を打ちます。
《鮭》や《花魁(おいらん)》を描いた画家として知られている、明治時代を代表する洋画家、高橋由一の全貌を紹介する展覧会です。
明治維新後に丁髷(ちょんまげ)を落とし「由一」を名乗るところから、近代洋画の父と呼ばれる高橋由一の活躍がはじまります。この時すでに40歳を超していました。洋画を日本に普及するのが自分の果たすべき使命だという強い自負にあふれ、画塾を開き、展覧会を催し、美術雑誌を刊行し、ユニークな美術館建設構想も抱きました。日本には洋画が必要なのだ、ということを世間に訴えた方です。
ポスターのキャッチコピーは、東京の「ああ、思い出した、あの鮭だ。」の方がいいですね。↓よろしかったらポチッとお願いしますm(_ _)m。
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今回はエルミタージュのコレクションのうち,特に充実している西洋絵画から、16世紀〜20世紀初頭までの作品が展示されています。ティツィアーノ、ルーベンス、レンブラントからモネ、セザンヌ、ピカソ、マティスにいたる89点。
肖像画の秀作が一杯。どちらかといえば,美形の被写体が多く,透明感のある肌や瞳の輝き,巻き毛の質感など,油彩画のチカラを感じさせてくださいます。日本人は日本画の被写体に向いているということを納得せざるを得ません。(もちろん高橋由一さんの小稲花魁も美形であられました。)
ルネッサンスからバロック絵画が好きな者も印象派が好きな者も楽しめます。
エルミタージュ美術館の歴史は、帝政ロシアの女帝エカテリーナ2世が、1764年にフランドルとオランダ絵画のコレクション200点余りを購入し、歴代皇帝の住居、冬宮の隣に建設した自身専用の美術展示室「エルミタージュ」に収蔵したことに始まります。フランス語で「隠れ家」を意味する「エルミタージュ」には、世界中の美が集められ、エカテリーナの心の安らぎの場所にもなりました。
エカテリーナが帝位を退いて以後も、歴代皇帝によってロシアの威信をかけた美術品の収集が続けられ、現在エルミタージュ美術館は300万点超という膨大な数の所蔵品を誇っています。
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