芭蕉通夜舟・坂東三津五郎ほぼ一人芝居・三津五郎丈らしい洒落心。舞台芸術を愛し楽しみ、その伝道師としての使命感溢れる舞台でした。
戯曲:井上ひさし
演出:鵜山仁
出演
松尾芭蕉・通夜船の船頭/坂東三津五郎
黒衣・朗唱役/坂東八大、櫻井章喜、林田一高、坂東三久太郎
あらすじ
孤独を好み侘びという美意識を確立し、俳諧の芸術性を至高のものに高めた俳聖松尾芭蕉の生涯を、三十六句から形成される「歌仙」形式になぞらえた全三十六景(1人の場面)で構成し、鮮やかな場面転換で魅せていく。
29年ぶりに上演されるという役者に困難、勧進元に優しくなく、観客にも頭を使わせるという井上ひさしさんらしい挑戦的な戯曲です。初演は小沢昭一にあて書きされたそうです。俳句に似て字数は少なく、語句に掛け言葉、洒落、諧謔がてんこもりです。今回は、自身も俳句をたしなまれる坂東三津五郎丈が主演なさいました。話芸に文芸性を盛り込んだ上演至難の難物でしょう。三津五郎らしい情味と洒落心が溢れ、舞台芸術をこよなく愛する使命感がびしばし伝わります。笑いの要素が渋く上品なところが好みが分かれるところでしょうか。
ほぼ一人芝居ですが、俳諧と同じで一場面が短く、しかも舞台転換は36回ありますから、4人の黒衣さんは、芭蕉翁周辺の様々なお役、民衆、通夜の客、装置の転換、蛙、月などを演じたいへんです。演出家さん、舞台美術家さんの絵心と戯曲の詞とも真剣勝負なさってます。
最初に坂東三津五郎として御登場。口上もなさいます。芭蕉さんは生涯痔疾が持病で、雪隠詰めの時間が長かったそうです。↓よろしかったらポチッとお願いしますm(_ _)m。
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装置の主役は、雪隠の「便座」。ひっくり返せば文机になります。
句が思いつくのは、雪隠の中、馬上、枕の上。
野ざらし紀行にでられてからは、便座もなくなり野○○です。
全編のキーワードは「俳諧のこつは、俗っぽく、ちょいとふざけて、目先も変えてのこの三つ」
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