第1回坂東薪車の会に行って参りました。
坂東薪車丈が養父竹三郎丈の前名を襲名されてから早7年が過ぎました。もちろんそれまでも拝見していましたが,初めて舞台写真を購入させていただいたのは,平成17年,南座・坂東玉三郎特別舞踊公演「船弁慶」で源義経公を務められたとき。玉三郎丈に導かれるように花道から出てこられました。丈の心音が聞こえてきそうなほど緊張して拝見したことが懐かしいです。直近では,6月に新橋演舞場で「鎮説弓張月」の体を張った武藤太を拝見しました。
本当にご立派で,盛大な会でございました。
一、仮名手本忠臣蔵
五段目
早野菅平 薪車
千崎弥五郎 松次郎
斧定九郎 千次郎
余市兵衛 鴈大
六段目
早野菅兵 薪車
おかる 壱太郎
おかや 吉弥
千崎弥五郎 松次郎
原郷右衛門 竹三郎
一文字屋お才千壽郎
判人源六 竹朗
子守娘 吉太朗
忠義一筋ながら,色にふけったばっかりに「運命に見放された若者」菅平の人物造形がくっきりしておられ,観客の涙を絞っておられました。几帳面な性格であられるので,型もきっちり踏襲しておられますが,ダンドリが少し重いように感じました。それよりなにより菅平になりきっておられます。
今回は,上方の演出ですので,浅葱色の着物に着物に着かえるところをおかやに邪魔され,刀身を鏡に髪を整えることもかなわず,普段着かつざんばら髪で二人侍に面会します。腹を切ってからの無念の述懐が悲痛で,薪車丈らしい大きな見せ場でした。また,薪車丈は血のりが似合われるんですねえ。被虐の方です。
その薪車菅平を追い詰める厳しい母が吉弥丈。おかるちゃんのおっかさんらしく一途で激しい御方です。それだけに,責めすぎた後悔もひとしお深く,際立っておられました。菅平が陥るところでは,道行の晴れ着の黒紋付きを着せ掛けてあげ,腕の中で看取ります(涙)。お声もよくとおり,大きいおかやさんでした。かなり竹三郎丈のイメージに近かったように思われました。(御本人のブログによりますと、竹三郎丈に習われたそうです。やはり。)
おかるちゃんは健気でピュアでした。これから何度もなさることでしょうが,この組み合わせは貴重です。
脇を固める若い役者さんたちもきっちりと良い仕事をなさってました。判人源六
役の竹朗さんが滋味ありました。
上方歌舞伎会は行かないとあきませんね。行きそびれたことを後悔しました。↓よろしかったらポチッとお願いしますm(_ _)m。
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二、連獅子
狂言師左近のち親獅子の精 薪車
狂言師右近のち仔獅子の精 猿弥
すっきり長身でしゅっとしたお顔の親獅子と,ファニーフェイスで小兵ながら身体能力抜群の仔獅子の組み合わせです。本公演ではめったに拝見できない組み合
わせですが,息もぴったりで仲のよい親子でした。カテコでは,頑張られた薪車丈を称える猿弥丈の立居ふるまいが清々しく,感動の余韻を増していただきました。
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