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2012年6月30日 (土)

海辺のカフカ・母、海、森、分身、性、図書館。少年の揺れる自意識と優しい外部世界との融合の後には…

Photo
カフカと大島
画像は毎日新聞社さまからお借りしました。
演出:蜷川幸雄
原作:村上春樹
脚本:フランク・ギャラティ
翻訳:平塚隼介
美術:中越司
キャスト
田村カフカ(僕・15歳の家出少年)/柳楽優弥
佐伯(高松市の甲村記念図書館の管理者)/田中裕子
大島(高松市の甲村記念図書館の司書)/長谷川博己
カラス(カフカのツレ・謎の少年)/柿澤勇人
さくら(高松行きのバスの同乗者)/佐藤江梨子
星野(ナカタのツレ,長距離トラックの運転士)/高橋努
ナカタ(猫と話せる知的障害のある初老の男)/木場勝己
あらすじ
主人公の15歳の「カフカ(僕)」は,東京で父と2人暮らし。母と姉は,幼い頃に家を出ている。15歳の誕生日に,父親にかけられた呪いに立ち向かおうと、「世界で最もタフな15歳になる」ことを決意し、四国の高松に向かう。カフカは,何かに導かれるかのように,甲村記念図書館に出向き,司書の大島,管理者の佐伯に親切にされたことから,そこに住み着くようになった。そんな日常のなか,父が何者かに殺害されたことを知る。
一方、カフカが家出をした同じ頃、東京都の補助で暮らしている知的障害を持った初老のナカタさんは迷い猫の捜索を引き受けるが、友達の猫を助けるため,ある事件を起こす。事件の後、ナカタさんは,偶然知り合った星野のトラックで四国に向かい,事態は思いがけない方向へと向かう。
脈絡がないかにみえた2つの物語はやがて「入り口の石」につながってゆく。

家出して高松市の図書館で暮らし,父から自立することを願う主人公「カフカ」と、東京都中野区野方に住み、猫と話ができる老人・ナカタさんに次々と起こる不思議な出来事。二人の現実が交錯するところにあらわれたもう一つの世界とは…。
24日(日)千秋楽を拝見しました。原作は、残念ながら拝読していませんが、あらすじは存じてました。映像化も難しそうな原作をどのようにすれば舞台化できるのか、とーっても楽しみにしていましたが、蜷川さんはいとも簡単に、舞台上に、何次元にも交錯する世界を表してくださいました。
基本は、透明なアクリル製のコンテナに、森、公園のベンチ、居間、図書室、バス、トラック、サービスエリア、土星などをしつらえ、それらが有機的に動き、観客の視線をシークエンスとして引き込む動きをします。また、小型のアクリルコンテナは調度品を収め、あるいはインキュベーターになります。
蜷川さんは安易に映像に走るようなことはなさらず、コンピューターにも頼らず人力です。暗転も幕前芝居もありません。全部芝居時間ながら、20分の休憩のみの4時間。

15歳の少年の世界は狭く一つ一つへの思い入れは深いものがあります。世界の狭さを補うものとして読書があり、異性への恋慕は母へ思慕と未分離です。大人や権威の代表としての父を憎み、乗り越えるためには殺人しかありません。現役の若者もかつての若者も、みなが通った道を4時間で見せて下さってますが、死の直前に人生が走馬灯のように巡るのを視覚化されているような陶酔感がありました。
一言で申し上げるのなら、さすが蜷川さん!↓よろしかったらポチッとお願いしますm(_ _)m。
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キャストも日本の最高水準です。
主演の柳樂さんを拝見するのは初めてです。読書好き、知力、自立心・自制心に優れる半面、沈潜的で孤独を好む少年に相応しい感性と容姿を備えておられまして、すっかり魅せられました。
カラス役の柿澤さんもスター性抜群ながら、クリアな台詞と的確な演技をなさいます。
またもう一人の主人公のナカタさんを演じられた木場さんの独特の雰囲気は、観客の心をぐんぐん引かれます。
心に傷を持つ優しい大人である大島役の長谷川さんと佐伯役の田中さんも、蜷川芝居の常連さんで安心して見て居られますが、今回はあっと驚くキャラクターで客席を裏切ってくださいます。

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コメント

>YANさま
御案内ありがとうございました。おもしろそうですね。なかなか遠征はできませんが、関西の公演がありましたら覗かせていただきます。

投稿: とみ(風知草) | 2012年7月29日 (日) 08時31分

はじめまして!ミュージカルカンパニーOZmateのYANと申します。

実は、私の知り合いがカフカに出演しておりました!こうしてブログに書かれているのを見て嬉しくなりました!
おとみさんのブログを拝見させて頂きました。たくさん観劇されていて、感想など、とても興味深かったです!
ぜひ、私たちの作品を見て頂きたくてコメント致しました。

ミュージカルカンパニーOZmateは、関西を拠点に活動を行っている女性のみのパワフルなミュージカル劇団です。
この度、8月に新撰組を題材にしたミュージカル「碧く散る」を横浜で上演いたします。
物語は新選組の先駆けとなる、浪士組結成から函館までを描いたオリジナルミュージカルです。

今回の作品は、今の日本人が失いかけている「武士道」「誠」そして「人間」を描く和物ミュージカルとなっております。
本公演のあらすじや公開稽古の感想など、ホームページにて公開中です。

♪日時:2012年8月4日(土)18:30~/5日(日)13:00~/16:30~
♪場所:横浜相鉄本多劇場
♪料金:前売3,000円/当日3,200円
♪ご予約:スタジオ・オズ(0797)85-1106(月曜休み)、YANmail(yantonjiru@gmail.com)

チケットはホームページからもお申込み頂けます。どうぞご利用ください。

では、ご来場心よりお待ちしております。

投稿: YAN | 2012年7月26日 (木) 16時27分

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