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2012年6月 5日 (火)

鎮説弓張月は死の大ロンド。この演目を染五郎丈が次代へ継承くださいますように(パンパン)。(久々のオリジナル考察です。)

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悲劇の英雄の壮大なロマン溢れるストーリー、今を花の盛りの美しい主演カップル、手堅く層の厚い脇役陣、既視感のある名作まがいの見せ場見せ場の連続、大道具を駆使したスペクタクル、初演時に大評判となった嗜虐の美と、過剰なまでのエンタテイメント性が盛り込まれ、基本的には大満足でした。
元々歌舞伎は、ひとつ当たれば、書き換え狂言、パロディ大歓迎。三島氏は、「あれは黒塚、これは新口村、こいつは聖セバスチャンの殉教…」と、お客様に楽しんで頂こうと仕組まれたことは想像に難くありません。お客様は、ストーリーの辻褄が合わなくとも、唐突でも誰も文句いいません。歌舞伎の破天荒性まで考えて、三島歌舞伎の集大成を目指したものと確信をもって言えます。
たぶん、ここから先はワタクシの推測と、三島を信奉する余りの思い過ごしかもしれませんが、全体は、ABACDCABA Codaの複合三部形式-大ロンド形式を踏襲しているのではないかと思われます。ABACは上の巻・伊豆大島のエピソード、後のBACodaが琉球(島という共通項、Codaが海天海浜宵宮)でのエピソード、DCAは中の巻ですね。Aは死(刃物)、Bは裏切り、Cは入水、Dは刑死です。ヌヌ!ぜーんぶ死ではありませんか。しかも、AとCの死は、全編の主人公為朝を生かすために犠牲となる善人の死です。Dだけが悪役の死で、純粋に死を楽しみましょうという趣向です。なんで大ロンド形式なのかは謎ですが、ずっしり感ありますね。
また、Dの場で赤姫が毛皮をお召しなのは訳ありのはず。毛皮は、西洋美術の図像解釈上、洗礼者ヨハネを示しますが、ここは、マゾヒズムの始祖マゾッホの「毛皮を着たヴィーナス」でキマリでしょう。毛皮のビーナスさんはムチをふるう美女です。
月岡芳年画像をお借りしました。子どもを痘瘡から守る守護神として信仰されたようです。人気の高さがうかがえます。↓よろしかったらポチッとお願いしますm(_ _)m。
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しかし、平成24年の現在に拝見しますと、染五郎丈のお力を考えれば違う演出で拝見したいなという印象はぬぐえません。主題も変奏も全部死では飽きます。凝りに凝りすぎて長いですし、残虐シーンが客寄せになるとも思えません。話題性でも、三谷幸喜氏、野田秀樹氏の文楽や歌舞伎に及びません。
後のあの方のあの演出もこれがあってのこと。昭和44年の三島氏がいかに凄いか感嘆しながらも、観客はわがままを言います。

タイトルロールは「HACHIRO」、ヒロインはヌイ・ネイ、高間→タカマ、キヘイ、シュトク、シュテン、ツル、カメ、クマと名前をカタカナにし、お衣装は、西洋甲冑の無国籍。プロットだけを借りてイケそうですね。

なお、歌舞伎初演は昭和44年11月ですが、上の巻だけの文楽版は昭和46年11月に初演されているようです。自決の日は、昭和45年11月25日ですから追善だったのでしょうか。

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