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2012年6月

2012年6月30日 (土)

海辺のカフカ・母、海、森、分身、性、図書館。少年の揺れる自意識と優しい外部世界との融合の後には…

Photo
カフカと大島
画像は毎日新聞社さまからお借りしました。
演出:蜷川幸雄
原作:村上春樹
脚本:フランク・ギャラティ
翻訳:平塚隼介
美術:中越司
キャスト
田村カフカ(僕・15歳の家出少年)/柳楽優弥
佐伯(高松市の甲村記念図書館の管理者)/田中裕子
大島(高松市の甲村記念図書館の司書)/長谷川博己
カラス(カフカのツレ・謎の少年)/柿澤勇人
さくら(高松行きのバスの同乗者)/佐藤江梨子
星野(ナカタのツレ,長距離トラックの運転士)/高橋努
ナカタ(猫と話せる知的障害のある初老の男)/木場勝己
あらすじ
主人公の15歳の「カフカ(僕)」は,東京で父と2人暮らし。母と姉は,幼い頃に家を出ている。15歳の誕生日に,父親にかけられた呪いに立ち向かおうと、「世界で最もタフな15歳になる」ことを決意し、四国の高松に向かう。カフカは,何かに導かれるかのように,甲村記念図書館に出向き,司書の大島,管理者の佐伯に親切にされたことから,そこに住み着くようになった。そんな日常のなか,父が何者かに殺害されたことを知る。
一方、カフカが家出をした同じ頃、東京都の補助で暮らしている知的障害を持った初老のナカタさんは迷い猫の捜索を引き受けるが、友達の猫を助けるため,ある事件を起こす。事件の後、ナカタさんは,偶然知り合った星野のトラックで四国に向かい,事態は思いがけない方向へと向かう。
脈絡がないかにみえた2つの物語はやがて「入り口の石」につながってゆく。

家出して高松市の図書館で暮らし,父から自立することを願う主人公「カフカ」と、東京都中野区野方に住み、猫と話ができる老人・ナカタさんに次々と起こる不思議な出来事。二人の現実が交錯するところにあらわれたもう一つの世界とは…。
24日(日)千秋楽を拝見しました。原作は、残念ながら拝読していませんが、あらすじは存じてました。映像化も難しそうな原作をどのようにすれば舞台化できるのか、とーっても楽しみにしていましたが、蜷川さんはいとも簡単に、舞台上に、何次元にも交錯する世界を表してくださいました。
基本は、透明なアクリル製のコンテナに、森、公園のベンチ、居間、図書室、バス、トラック、サービスエリア、土星などをしつらえ、それらが有機的に動き、観客の視線をシークエンスとして引き込む動きをします。また、小型のアクリルコンテナは調度品を収め、あるいはインキュベーターになります。
蜷川さんは安易に映像に走るようなことはなさらず、コンピューターにも頼らず人力です。暗転も幕前芝居もありません。全部芝居時間ながら、20分の休憩のみの4時間。

15歳の少年の世界は狭く一つ一つへの思い入れは深いものがあります。世界の狭さを補うものとして読書があり、異性への恋慕は母へ思慕と未分離です。大人や権威の代表としての父を憎み、乗り越えるためには殺人しかありません。現役の若者もかつての若者も、みなが通った道を4時間で見せて下さってますが、死の直前に人生が走馬灯のように巡るのを視覚化されているような陶酔感がありました。
一言で申し上げるのなら、さすが蜷川さん!↓よろしかったらポチッとお願いしますm(_ _)m。
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2012年6月23日 (土)

ダーク・シャドウ 暗闇の中でも笑う箇所で歳がばれますのでご用心

Photo
原題:Dark Shadows
監督:ティム・バートン
製作:リチャード・D・ザナック、グレアム・キング、ジョニー・デップ、クリスティ・デンブロウスキー、デビッド・ケネディ
製作総指揮:クリス・レベンソン、ナイジェル・ゴステロウ、ティム・ヘディントン、ブルース・バーマン
原作:ダン・カーティス
キャスト
ジョニー・デップ、ミシェル・ファイファー、ヘレナ・ボナム・カーター、エバ・グリーン、ジャッキー・アール・ヘイリー、クロエ・モレッツ
あらすじ
1752年、米国西海岸。水産業により町の名士となった裕福なコリンズ家に生まれ育ったプレイボーイのバーバナスは、使用人の魔女アンジェリークをもてあそんで捨てた。アンジェリークは、報復のため、両親と恋人を殺し、バンパイアにして生き埋めにしてしまう。
2世紀を経た1972年、ふとしたきっかけでバーバナスは墓から解放されるが、20世紀のコリンズ家はすっかり落ちぶれ、末裔たちは誰もが暗く不可解な秘密を抱えて生きていた。そこで、バーバナスは、家庭教師の美しい娘・ヴィクトリアに心ひかれる。
しかし、アンジェリークは200年間生き続け、町と水産業を牛耳っていた。新たな戦いの行方は…。

1966年から71年まで米ABCテレビで放送され、「血の唇」(70)として映画化もされたゴシック・ソープオペラを、ティム・バートンとジョニー・デップが8度目のタッグで新たに映画化。
この組み合わせなので、ただのホラーではなく、ウイットと遊び心に満ちています。2012年の今の目線で、1752年だけでなく、1972年も洒落のめしているところがニクイです。
意外性はないですが、豪華キャストが個性を思いっきり発揮なさって笑えます。暗闇で笑う箇所で歳がばれますのでご用心。
ヴァンパイアもののひとつとしては健全で安心して楽しめます。↓よろしかったらポチッとお願いしますm(_ _)m。
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2012年6月21日 (木)

堅田ヴォーリズ教会でバロックⅤ

堅田ヴォーリズ教会で奏でるバロックⅤ
16日の午後は,大津市堅田の教会でバロック音楽を聴いてきました。
50〜60人のリスナー、ヴォーカル、ヴァイオリン、チェロ、チェンバロの4人のアンサンブルですから、まったりしました。
バロック音楽では、チェロは通奏低音ですし、板の床から客席に伝わりますから,心臓にきます。
緑に勢いがあるこの季節。教会の建物が快適でした。

W.A.モーツアルト 歌曲4題
J.S.バッハ    平均律第2巻より2曲
M.マレ      聖ジュヌヴィエーヴ教会の鐘
A.コレルリ    ラ・フォリア
G.F.ヘンデル   オラトリオ「イェフタ」より6曲

メインプログラムはオラトリオ「イェフタ」です。旧約聖書に登場する悲劇の英雄だそうです。神に戦勝を祈ったばっかりに,結果として愛娘を生贄にしてしまったというお話を牧師様に聞かせて頂きました。
あ、雪の協会も、建築を鑑賞する分には素敵です。↓よろしかったらポチッとお願いしますm(_ _)m。
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社会人のためのとあるので文楽鑑賞教室に行きましたとも!行った限りは,だしまきもよばれんと・・・

社会人のためのとあるので文楽鑑賞教室に行きましたとも!行った限りは,だしまきもよばれんと・・・
役替わり公演のDプロが20日の夜の社会人のための文楽鑑賞教室にあたってました。本日の御目当ては,咲甫大夫と燕三の組み合わせの床です。10日ぶりに,役替わりによるビミョーな人間関係の機微の差異楽しんできました。
終演後は同好の輩(4人様)とそのままいきつけのお店でだしまきを肴に文楽談義。先日は仮名手本忠臣蔵の配役でしたので,この夜は,菅原伝授手習鑑,桂川連理柵,壇ノ浦兜軍記のプロットとストーリーテリング,キャラクターデザインになりました。
阿古屋のマイ考察は間違っていなかったことで気を良くしました。それにつけても濃ゆかったです。
咲甫大夫さんと燕三さんの床がパワフルだったことは申し上げるまでもありません♪↓よろしかったらポチッとお願いしますm(_ _)m。
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2012年6月20日 (水)

月下美人の季節です。昼に咲く貴女はどなた?

月下美人の季節です。昼に咲く貴女はどなた?
月下美人の季節です。昼に咲く貴女はどなた?
台風なか、頑張られたようです。それにつけてもフューシャピンクの美人の名が気になります。
葉も花も同じ形です。答えは↓よろしかったらポチッとお願いしますm(_ _)m。
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坂東玉三郎特別講演・阿古屋&傾城2回目 今公演の主題は傾城の勤めと恋。琴責め阿古屋の晴れがましさと不在を受け入れる傾城の憂い

傾城の恋は泥の中に咲いた一輪の蓮,来世は一つ蓮にという願いだけを宝に一生を送れるもの。

6月17日は,南座マイ千秋楽でした。チケットも完売のようですし、心から大盛況をお祝い致します。千秋楽を欲張らなかったので,最前列のインコーナーのほぼ演奏をなさる真前で聞くことができました。
日に日にお客様がヒートアップしてこられています。皆様がどれほど玉三郎丈がお好きか,南座全体が魔法にかかったようです。生存とコンディション維持のための最低限の日常以外の時間を,只ただ,美のために精進なさっておられるのですから拝むほかありません。
また,毎年南座で公演を打って頂いているのも,玉様と顔見世興行のみ。京都の歌舞伎好きにとっては年に2度の生存確認の場でもあります。
あちこちで,「東京でもこれだけの贅沢な公演はあらしまへんやろな」,「連中さんが超一流,さすが玉様」,「毎年南座に来てくらはるのは玉様だけや。ありがたいことですなぁ」,「玉様が連れてきはる御人は皆美形や」,「肩を貸す若い衆まで玉様の一部や」,「捕り手も揃ったはる」,「後見さんがまた凄い」,「蝶々まで舞ったはる」,と会話が弾んでました。(玉様一門の話題ばかりですね。)

さて、岩永の人形に徹された蒔車丈は立派でした。岩永は位取りからいえばいいお役で,中村勘三郎丈も務めておられます。人形振りで演じるという役者としての華を示したいところですが,人形以上に人形でした。元からぶん回しで後ろ向く演出があったのか記憶があやしいですが,気になりました。蒔車丈なら完全に停止なさることは可能でしょうに。(文楽では人形にぶん回しはありません。人形が途中で壊れたという演出だそうです。)
こんななかで,重忠を演じられた愛之助丈は大変たっだと察せられます。中村吉右衛門丈,十三世片岡仁左衛門丈がなさるなさるお役ですものね。目指す方向性としては和生さんが遣われる重忠のイメージが良かろうかと思われます。合理性と道理性さえしっかりしていたら,人間的な魅力や大きさは捨ててもドラマに支障はありません。

だからといって,玉様独演会で、ドラマはそっちのけかいということもありません。どう転んでもドラマが成立するように仕組まれておられるのが玉様の凄いところ。後半に「傾城」を持って来られてますので今公演のテーマは東西の傾城です。また,傾城の非日常と日常,有事と平時になっています。核心に迫ります。
阿古屋の台詞に幾度も登場する「勤め」。勤めを超えた景清との心の交流を切々と奏でます。熱田に正妻と子のある景清にとって、阿古屋は京の愛人です。平家が滅亡しなかったら日影のままであった阿古屋が,景清がおたずねものとなったことで,縁者として白昼の白砂に引き出され詮議をうけます。秘めた恋を公になることは,つらい状況下にあるからこそ,至上の歓喜ではないでしょうか。何時会えるか分からない不安より,もう二度と会えないと確定的な状況が、勤めの身にとっては,逆説的に安定しているというシニカルなロジックになっているように見えました。阿古屋の晴れがましさが,過去の公演より際立っていたのは,玉様のパワーアップだけではなく,景清の女として詮議される喜びを強調しておられたとワタクシは読みました。

一方,傾城は,雪や夕霧などと同様,豪奢な日常の中で,来ぬ思い人を待つ揺らめきを舞うという玉様独壇場の世界です。来ぬ男を待っているうちに、あれよあれよと一年が過ぎ,花の全盛は移ろいゆくというはかなさが見受けられました。たおやかであられました。阿古屋も時が許せば,はかなげな傾城として一生を終えられたことでしょうに、愛を武器に強靭な女として恋の勝利者となります。その後、遊里を去り,赤貧のなかで命を落としても悔いはないのでしょう。

また,阿古屋はリアルタイムの時間運びで1時間半,傾城は1年を20分ですから。この対比も見事です。
さて、「傾城」の歌詞・廊下をすべる上草履とは何でしょう?傾城は素足でした。↓よろしかったらポチッとお願いしますm(_ _)m。
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2012年6月17日 (日)

図書館で借りた本0617

図書館で借りた本0617
□暗殺者の森  逢坂剛
□聖灰の暗号下  帚木蓬生
□ヒトラーの防具  帚木蓬生
□工学部ヒラノ教授  今野浩
□シレンとラギ  中島かずき
□はんこん  霧村悠康
□マンガに人生を学んで何が悪い?  夏目房之助
□中原の虹一  浅田次郎
□ロックンロール  トム・ストッパード
□アンビリバブル!  篠山紀信
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2012年6月12日 (火)

文楽三昧の休日でした。それにつけても,毎年6月2日から咲き始める夕顔の不思議さよ。

夕顔
6月8日から文楽鑑賞教室が始まりました。鑑賞教室は,中高生や文楽をはじめて見聞きなさる方を対象に,3業の解説,演目の解説,ポピュラーな演目で構成されていますが,お楽しみは,人間国宝さんや切り場語りをはじめとする師匠方がお休みされ,中堅以下の若手の4パターンの役代わり公演です。中堅と申しましても,和生さん,勘十郎さん,玉女さん,津駒さん,三輪さん,宗助さん,錦糸さん,燕三さんも含まれます。このため,文楽ファンとしては全部見たい聴きたいとなるわけです。東京からもご贔屓様が来られますので,毎週土日は、だしまき会&だしまき女子会等などとなります。
で,9日の土曜日は上町台地まちづくり交流会で寺町と空堀かいわいを探訪した後,だしまき会に参加してきました。夏休み公演も楽しみですが,11月の仮名手本忠臣蔵通し上演に期待は高まります。

また,大阪空堀では2014年〜2015年は大阪冬の陣及び夏の陣400年なので,真田幸村を主人公にした大河ドラマの企画をNHKに持ち込む活動を信州上田市と連携して取り組んでおられるとか。ぜひ文楽も,近江源氏先陣館,鎌倉三代記との昼夜通し上演で盛り上がっていただきたいものです。(真田幸村⇒佐々木高綱,近江源氏先陣館⇒冬の陣,鎌倉三代記⇒夏の陣)…などマニアックな話題は尽きません。夏の大阪松竹座は坂田藤十郎丈で、沓手鳥孤城落月、松嶋屋の木村長門守、真田十勇士2015など大阪落城関連の作品たくさんあります。
どちらも通しで見たい!でないと、佐々木高綱さんは井戸から出てくる変な人の印象が…↓よろしかったらポチッとお願いしますm(_ _)m。
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2012年6月 9日 (土)

ジェーン・エア

Photo
原題:Jane Eyre
監督:キャリー・ジョージ・フクナガ、「闇の列車、光の旅」
原作:シャーロット・ブロンテ
脚本:モイラ・バフィーニ
衣装:マイケル・オコナー
キャスト
ジェーン/ミア・ワシコウスカ、、「アリス・イン・ワンダーランド」「永遠の僕たち」
ロチェスター/マイケル・ファスベンダー、「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」「SHAME シェイム」
フェアファックス夫人/ジュディ・デンチ
ジェイミー・ベル、サリー・ホーキンス、ホリディ・グレインジャー、マムジン・マーチャント、イモージェン・プーツ
あらすじ
孤児のジェーン・エアは、叔母にうとまれ、ローウッド養育院に追いやられた。つらい生活のなかでヘレンという親友も得たが、ヘレンは病で他界してしまった。生徒として6年、教師として2年を過ごし、家庭教師の職を得てソーフィールド屋敷へ向かう。
晴れて新しい生活を手したジェーンは、屋敷の主人で気難しいロチェスターと恋に落ち、求婚されるが、ロチェスターには秘密があった。

ミュージカル「ジェーン・エア」で松たか子さんと橋本さとしさんで拝見したのと同じ印象を受けました。ということは、いまの時代に求められるジェーン・エア像ということです。女性の自立への渇望や意志の力もさることながら、男女や身分に関係なく人間としての魂の尊厳を重んじる生き方です。2時間と時間が短かった分、叔母との葛藤や、少女時代の悲話がさくさく済んでしまいましたが、寡黙な主人公の行動を追い、主題に迫っておられます。
初大阪ステーションシネマで鑑賞しました。いい映画勘です!↓よろしかったらポチッとお願いしますm(_ _)m。
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2012年6月 7日 (木)

坂東玉三郎特別公演・壇ノ浦兜軍記・傾城・もう2ヶ月目、南座を殿堂とする美神であられます。

Photo_2
6月2日(土)南座初日に拝見してまいりました。前の週に寛治師匠の阿古屋を拝聴したばかりですから、贅沢させてもろてます。また、玉三郎美の世界はお衣装の展示替えがされています。伽羅先代萩、籠釣瓶、助六の七夕と牡丹、熊野など、重厚なものが揃ってます。当然、阿古屋と傾城は出払ってます。

一、壇浦兜軍記阿古屋
  遊君阿古屋  玉三郎
  岩永左衛門  薪車
  榛沢六郎    功一
  秩父庄司重忠 愛之助
玉様の阿古屋はもうもう言葉がありません。初日ですので他の役者さんがとーっても神妙で重みがありました。裁判劇としては悪くない滑り出しです。ワタクシ的には、「いっそ殺して」で、きざはしの中段に身をぽーんと投げ出す場面が好きですが、若干慎重であられました。舞台上の4人の体格や位置が文楽人形のように考察されていて眼福でございます。前の週との違和感ゼロというのがうれしいです。
初日ですので、当然、楽器がまだ本調子ではありません。朝から何時間も鳴らしておられるんでしょうね。楽器のトレーニングさんはおられるのでしょうか。
残念ながら2回しか見られないんです。この次は最前列のインコーナー♪↓よろしかったらポチッとお願いしますm(_ _)m。
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2012年6月 5日 (火)

鎮説弓張月は死の大ロンド。この演目を染五郎丈が次代へ継承くださいますように(パンパン)。(久々のオリジナル考察です。)

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悲劇の英雄の壮大なロマン溢れるストーリー、今を花の盛りの美しい主演カップル、手堅く層の厚い脇役陣、既視感のある名作まがいの見せ場見せ場の連続、大道具を駆使したスペクタクル、初演時に大評判となった嗜虐の美と、過剰なまでのエンタテイメント性が盛り込まれ、基本的には大満足でした。
元々歌舞伎は、ひとつ当たれば、書き換え狂言、パロディ大歓迎。三島氏は、「あれは黒塚、これは新口村、こいつは聖セバスチャンの殉教…」と、お客様に楽しんで頂こうと仕組まれたことは想像に難くありません。お客様は、ストーリーの辻褄が合わなくとも、唐突でも誰も文句いいません。歌舞伎の破天荒性まで考えて、三島歌舞伎の集大成を目指したものと確信をもって言えます。
たぶん、ここから先はワタクシの推測と、三島を信奉する余りの思い過ごしかもしれませんが、全体は、ABACDCABA Codaの複合三部形式-大ロンド形式を踏襲しているのではないかと思われます。ABACは上の巻・伊豆大島のエピソード、後のBACodaが琉球(島という共通項、Codaが海天海浜宵宮)でのエピソード、DCAは中の巻ですね。Aは死(刃物)、Bは裏切り、Cは入水、Dは刑死です。ヌヌ!ぜーんぶ死ではありませんか。しかも、AとCの死は、全編の主人公為朝を生かすために犠牲となる善人の死です。Dだけが悪役の死で、純粋に死を楽しみましょうという趣向です。なんで大ロンド形式なのかは謎ですが、ずっしり感ありますね。
また、Dの場で赤姫が毛皮をお召しなのは訳ありのはず。毛皮は、西洋美術の図像解釈上、洗礼者ヨハネを示しますが、ここは、マゾヒズムの始祖マゾッホの「毛皮を着たヴィーナス」でキマリでしょう。毛皮のビーナスさんはムチをふるう美女です。
月岡芳年画像をお借りしました。子どもを痘瘡から守る守護神として信仰されたようです。人気の高さがうかがえます。↓よろしかったらポチッとお願いしますm(_ _)m。
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2012年6月 2日 (土)

11.25自決の日・三島由紀夫と若者たち

Photo_2
監督:岩松孝二、実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)、キャタピラー
キャスト
三島由紀夫:井浦新、森田必勝:満島慎之介、三島瑤子:寺嶋しのぶ、古賀浩靖:岩間天嗣、小賀正義:永岡佑、小川正洋:鈴之助
あらすじ
1966年、早稲田大学では学費値上げで左翼系の学生たちを中心に決起していた。そんななか、森田は社会秩序の崩壊を憂い、右翼系の活動に参加していた。三島は、超人気作家としてノーベル文学賞を期待されていたが、日本の美を取り戻さなければという焦燥と使命感にとらわれ、自衛隊で訓練を積んでいた。そして、学生運動全盛の運動全盛期の1968年、三島は文筆業の傍らで民族派の学生たちと「楯の会」を結成し、有事の際には自衛隊とともに決起するべく活動を続けていた。しかし、警察権力の前に自衛隊は出動の機会すらなく、楯の会の若者たちは苛立ちを募らせていく。そして、1970年11月25日を迎える。

1960年代後半の社会を丁寧に書いた作品です。確かにあの時代、大学や町中で市街戦がありました。赤軍によるテロもありました。日本が発展途上国だったのですね。
映画は、三島たちの行為が社会には何の変化ももたらさなかったことをきちんと伝えています。三島たちの観念と行為のありようを批判や共感とは無縁の視座から描いた潔さに満ちていました。
文学にはまったく踏み込んでいないところも問題をシンプルにし、快いです。観おわったあと…。どよよーんとはなりますが…。
アラタさんはじめみなさん熱演です。↓よろしかったらポチッとお願いしますm(_ _)m。
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通し狂言「椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき)」何気に染五郎丈と七之助丈を追っかけました。悲運の貴公子だけではない豪傑ぶり。

Photo
5月新橋演舞場、千秋楽夜の部「椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき)」の通し上演を拝見しました。
原作:三島由紀夫、曲亭馬琴 「椿説弓張月」より
演出:三島由紀夫原案による。
上の巻 伊豆国大嶋の場
中の巻 讃岐国白峯の場
      肥後国木原山中の場
      同じく山塞の場
      薩南海上の場

下の巻 琉球国北谷斎場の場
      北谷夫婦宿の場
      運天海浜宵宮の場

配役
鎮西八郎源為朝:染五郎、為朝妻簓江(ささらえ):芝雀
為朝の子為頼:玉太郎
、紀平治太夫:歌六
高間太郎:愛之助、高間妻磯萩:福助
阿公(くまぎみ)崇徳(しゅとく)上皇の霊:翫雀
為義の霊:友右衛門、左府頼長の霊:廣太郎
白縫姫
寧王女(ねいわんにょ):七之助
武藤太:薪 車
舜天丸(すてまる)冠者
後に舜天王(しゅんてんおう):鷹之資
陶松寿(とうしょうじゅ):獅童、大臣利勇:由次郎
鶴:松江、亀:松也

あらすじ
上の巻
保元の乱(1156)で、父源為義、平忠正らとともに崇徳上皇方について敗北した為朝は、紀平治太夫と高間太郎と共に伊豆に流されて久しいが、崇徳上皇の命日には法要を行い、いつか平氏を滅ぼし源氏の世にしたいという志をもっている。
為朝は、島の代官の娘・簓江を妻とし一子為頼を設けていたが、その父は為朝を追捕しようと軍を差向ける。多勢に無勢、為頼は切腹、簓江は入水、主従3人と高間妻磯萩は2そうの船でからくも脱出し、南へ向かう。
中の巻
逃れた為朝は、讃岐国白峯の崇徳上皇の墓前で腹を切ろうとするが、烏天狗に先導された崇徳上皇、父為義、悪左府頼長が現れ思いとどまらせる。雪の山中で紀平治太夫と合流したところへイノシシが…。素手でやっつけたのもつかの間、猟師に痺れ薬を飲まされ囚われの身となる。
山中山塞では、縄を打たれた武藤太(為朝を平氏に売った男)が引き立てられてきた。詮議するのは、為朝の正室白縫姫だ。姫は山中にこもり源氏再興のための兵を集めていたのだった。姫は、琴を弾きながら、腰元たちに竹の釘を武藤太の裸身に打たせる。
武藤太が絶命したところへ、為朝たちが連れて来られる。再会を喜ぶ姫は、成長した舜天丸を引き合わせ、再起を期して南へ船出する。
しかし、薩摩沖で2そうの船は大嵐に見舞われ、為朝の船は沈没寸前。白縫姫は海神の怒りを鎮めるため入水する。為朝が崇徳上皇の霊に救われる一方、高間夫婦の船は大破し、高間は岩礁の上で妻を刺し腹を切る。波間に浮き沈みする舜天丸と紀平治は、通りかかった大魚の背に乗り何処かへ…。
下の巻
琉球国。悪大臣・利勇は、王女・寧王女と忠臣・陶松寿の二人が不義密通のうえ謀叛を企てたと処刑しようとしていた。そこへ為朝がさっそうと登場し二人を救出する。幼い王子と乳母阿公(妖術使い)は姿を消す。阿公を母の仇と狙う鶴と亀の兄弟も為朝に臣従した。そのとき、白縫姫の霊が寧王女に憑依し、寧王女は白縫姫になってしまう。
鶴亀の兄弟と共に阿公を討つが、幼い王子は阿公に刺殺されてしまった。王になることを乞われた為朝は舜天丸を琉球王とする。
数年後の美しい弓張月の夜、琉球の安寧を見届けた為朝は、この世での役目を終えたことを悟り天馬に乗り去って行った。

作品は、三島由紀夫さんの演出で、昭和44年、源為朝を初世松本白鸚が演じ、昭和62年、松本幸四郎が再演、平成14年、市川猿之助で三演、今回が4度目の上演です。荒れる船、降る雪、怪魚や馬の大スペクタクル、玉三郎丈が演じる姫と腰元たちによる残虐ななぶり殺しの場面で話題になりましたが、そうたびたびはかかりません。
考えさせてくださる演目でした。↓よろしかったらポチッとお願いしますm(_ _)m。
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2012年6月 1日 (金)

6月は適正に観劇し、お肌と脳細胞のため,睡眠時間を充分取ろうと今日は考えています。おほほほほ。

5月の観劇量は五月雨でしたし,7月は御祭りになっていますから,年間観劇予算の適正な執行については、6月で頑張らんとあきません。しかし,演目数は少のうても,リピート数が分かってへんところが怖いわぁ。
 坂東玉三郎丈の阿古屋・傾城
 The Bee
 文楽鑑賞教室
 海辺のカフカ
うん、これで行こう。天日坊、猿之助襲名興行、宝塚歌劇も辛抱する(かな)。↓よろしかったらポチッとお願いしますm(_ _)m。
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