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2012年5月29日 (火)

文楽5月公演第2部、津駒大夫、寛治師匠、喜一郎さん、寛太郎の3人と勘十郎さん、一輔さん、勘次郎さんの3人、7人が織り成す阿古屋という遊君のポテンシャルの凄さ

文楽第2部は2度見しました。
傾城反魂香
住大夫師匠、お許しを。1日目は、浅草から永田町まで間に合いませんでした。
文楽では、将監が手水鉢を刀で真っ二つに斬って、又平の吃音が治り、爽やかな語り口になるという大団円です。因果はよく分かりませんが、ハッピーエンドですから申し分はありません。文雀さんはたいそうお元気で、お徳さんははつらつとしてました。
艶容女舞衣
嶋大夫さん、源大夫さんの豪華リレーです。嶋大夫さんは、それぞれの親父様が情愛に溢れ感動的でした。源太夫さんは、声量は落ちますが、お園のくどきは手慣れたもので、しみじみとなります。藤蔵さんの三味線は、最初、辛抱しておられましたが、だんだんキレたのか、音量があがっておられました。蓑助さんのお園の姿の美しさ!喝采です。一家を背負って立つ健気さは文雀さんのものですが、半七っつぁんを思う艶やかさは簑助さんです。
夜の部は、人間国宝そろい踏み、充実の3本立てです。人形では、簑助師匠から勘十郎さんへの阿古屋継承が成功しました。三味線と歌舞伎はいかに?↓よろしかったらポチッとお願いしますm(_ _)m。
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壇浦兜軍記
阿古屋琴責めの段
寛治師匠のこの演目のために東京遠征したのですから、力入ります。
素晴らしいの何の、はんなりと華やかで、音波が脳内に侵入して脳細胞を浸食するようです。喜一郎さん、寛太郎のツレ弾きと三曲もたいそう手堅く、そう、お裁きの場で阿古屋が弾いているいるという音です。清治師匠が、無実を訴え、矜持を示し、芸で源氏一党に抗弁する音なら、寛治師匠は阿古屋という遊君の日常の凄さで、重忠をはじめ周囲を沈黙せしめるという音でした。リズムがコンスタントで心地よく、聞いている間中、ほろほろと涙がこぼれます。ありがた涙というか、音曲的法悦というのでしょうか。

さて、阿古屋は勘十郎さんの初役です。三人出遣いで、左は一輔さん、足は勘次郎さんです。聞くところによりますと、初日頃は、初役ならではのテンションがあり、偶発的に裁判劇としての緊迫感があったそうです。ワタクシが拝見したのは、千秋楽の前日と前々日でしたので、人形遣い三人のいき、三味線の三人のいき、津駒大夫さんが融和して素晴らしいものでした。
これまで、玉三郎丈と簑助さんの阿古屋しか拝見したことないので、勘十郎さんの若い阿古屋に驚きました。向こう意気が強く物怖じしない全盛の傾城ですね。フェイスラインも柔らかい首でした。「筒に生けたる牡丹花の、水上げかぬる風情なり」と語られますが、どうしてどうして、瑞々しかったです。店に出ている延長という感じが三味線のテイストと一致します。ただ、全盛は今宵限り、懐胎しており夫は落人という、牡丹花なら散り初めという寂寥感はありません。三曲を弾き終わり全エナジーを使い果たした感があっても良かったと思うのはワタクシだけでしょうか。
 
津駒さんの阿古屋、千歳さんの重忠、岩永の咲甫さん、棒沢の南都さん。もったいないというか、こういう惜しげもなく投入される豪華キャストというのが文楽のタノシミです。

それはそうと、キキキキキという竹田奴は出て来なかったかしらん?
心は追分から五条坂へ帰ってしまっているのに、三宅坂にいることの不思議さよ。

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コメント

1人の女を表現するのに、男7人がかりですからパワフルなのもうなずけます。

投稿: とみ(風知草) | 2012年6月 4日 (月) 18時53分

ヴァーチャル全盛時代に生の芝居は本当に新鮮な刺激を受けれますね。

投稿: 吉沢アキラ@能力開発 | 2012年6月 3日 (日) 21時37分

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