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2011年11月 2日 (水)

ロミジュリ脳で見たアントニーとクレオパトラ

10月29日(土)ソワレ・トークショー付きを拝見しました。ちゃんとした感想ではなく四方山話です。

○ステイタスも分別もある大人の女又は男が,恋により娘又は少年に戻り,恋人のために運命に殉じる。・・・条件付感動

中高年の命は花の若者に比べ軽いものですから,恋に殉じてもあんまし感動取れしません。曽根崎心中の徳兵衛さんには心震え,妹背山婦人庭訓の久我之助の切腹では号泣ですが,心中天網島の治兵衛さんは自業自得,帯屋の長右衛門さんは犯罪者の思いが先に立ちますです。で,劇作家さんは,大人の男が恋人を失った場面で涙を取ろうと思うたら,死より哀れな狂乱で涙を絞ることになります。

さて,ここで本題です。
アントニーさん(53歳)は,政治劇のヒーローで敗軍の将として自決したのではありません。中年男女の愛欲の泥試合の最中に,女の仕掛けた痴情の罠にまんまとはまり,狂乱の体たらくで自傷の果てに絶命します。恋人の死の誤報を信じて自ら命を絶つのは,全くロミオと同じながら、同情票は圧倒的にロミオに集まり、アントニーは不利です。劇作家の筆足らずは演出家がカバーということで,蜷川さん,エジプトに援軍を・・・。

そこは,世界の蜷川さん,見せてくださいました。
戯曲「ジュリアス・シーザー」において,政治的及び軍事的に勝利した雄弁家にして豪傑が,名誉を失墜し,無残な恋の奴隷に成り下がったことに泣かせていただきます。癇癪を起こして部下に八つ当たりするわ,敗戦の責任を女のせいにするわ,ありもしない勝利を妄想したり,部下にも女にも愛想尽かしされるのは当然です。また,蜷川さんは,担架に担がれうめき声のアントニーさんを客席1周させ,長い長い苦痛を見せられました。さすがです。
クレオパトラさん(38歳)についてはまた後ほど…。↓よろしかったらポチッとお願いしますm(_ _)m。
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結論
失うものが大きい男女だけが、大人の恋の主人公になっても許されます。涙を誘うのは、名誉と正気の喪失です。失った後の彷徨や逃避行があればなおよろし。

余談
昨年は,平幹二朗さん主演で「アントニーとクレオパトラ」を拝見しましたが,ワタクシ的にはユリウス・カエサルが平幹二朗さんです。吉田鋼太郎さんのアントニーはイメージとおりでした。

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コメント

>花蓮さま
同じ月に見られるのは贅沢ですね。
場面転換が多いのもこの戯曲の欠点ですが、さすが蜷川さん、テンポよく心地よかったです。これまでの装置も懐かしかったです。
蜷川さんは、こんな舞台が見たいという願望を必ず実現してくださいますね。

投稿: とみ(風知草) | 2011年11月 3日 (木) 19時59分

こんばんは☆とみ様。私も《アントニーとクレオパトラ》大阪千秋楽を拝見しました(^_^)
とみ様のコラムの感想の文面が素晴らしく知的で端的で、私などは、とみ様のような感想はとても書けないけれど…
中年になっても、分別や財産、地位を投げ捨てても、その破滅への恋に身を投じたトップセレブの二人の 道行を、歴史と絡めながら
テンポよく見せて下さった蜷川さんの采配と俳優さん達に
感心しました!
ロミオの「死」より、アントニーの「死」自害の方が説得力あるように感じたのは、私が年長けてるからなのか、蜷川演出が、巧みなのか…
ラスト、よかったです。

投稿: 花蓮 | 2011年11月 2日 (水) 21時02分

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