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2011年6月 6日 (月)

ヴェニスの商人初日 衣装、装置、朗唱術、全てにおいて端正で正統派。平幹主演に相応しいしつらえ

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原作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:福田恆存
演出:浅利慶太
装置:金森 馨、土屋茂昭
照明:沢田祐二
音楽:松村禎三
衣裳:レッラ・ディアッツ
演出助手:横山清崇
あらすじ
ヴェニスの広場、商人のアントーニオはいつもふさぎ込んでいる。友人の洒落者バサーニオは親の遺産を使い果たし、ベルモントの富豪の娘ポーシャと結婚しようと目論んでいた。アントーニオは支度金をバサーニオのために高利貸しのユダヤ人シャイロックから自身の肉1ポンドをかたに借りてやる。バサーニオは首尾よくポーシャの婿の座を射止めるが、アントーニオは船荷を全て失い、シャイロックからかたを取り立てる訴訟を起こされていた。

浅利慶太氏の解釈と演出は、シャイロックをキリスト教世界と対立する受難の民・ユダヤ世界の象徴としています。守銭奴の冷血漢という側面ではなく、貨幣経済と法律の信奉者という近代的側面も担わせているシェイクスピアの脚本に忠実です。
一見、交易の振興と国家の治安という国益のため、非キリスト教徒をも同一の生活権を付与しているかにみえて、実はユダヤやムーアを市民として認めていないというヴェネツィア社会の矛盾を暴く主人公がシャイロックとオセロです。喜劇と悲劇は両極ではなくコインの表裏みたいなものと思われます。
さて、謎めいた首魁らしい堂々とした風貌に朗々としたお声の平幹さまの舞台は、絵にかいたようなシャイロック、こうあってほしいというシャイロックであられました。
シャイロックの娘ジェシカ役(新マイ妹)は、美女と野獣のベルが持ち役の鳥原さん。知的で生真面目、親孝行娘のイメージですので、財産をさらって男と駆け落ちのうえ大散財の豪遊をする子には見えませんが、何となくほっとしました。

客席後方には、日下さん、下村さんも鑑賞しておられ華やかでした。偶然、演劇評論家の安部寧センセと同ベンチに座りましたので、皆さん頭を下げて行かれます。どなた様かは存じませんが得した気分を味わえました。
 
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シャイロック:平 幹二朗
アントーニオー:荒川 務
バサーニオー:田邊真也
ポーシャ:野村玲子
ネリサ:笠松はる
ジェシカ:鳥原如未
ヴェニス公/テュバル:田代隆秀
モロッコ王:廣田高志(文学座)
アラゴン王:岡崎克哉
ロレンゾー:城全能成(文学座)
ランスロット・ゴボー:川島 創
老ゴボー:維田修二
グラシャーノー:田島康成(劇団昴)
ソレイニオー:青羽 剛
サレアリオー:青山裕次
【男性アンサンブル】
近藤聡明、高橋洋二、石毛翔弥、渡邊今人、渡久山 慶
【女性アンサンブル】
松本菜緒、大原 麗、山本志織、本行里衣奈、矢野里沙

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