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2010年8月16日 (月)

キャタピラー

Photo
監督:若松孝二
プロデューサー:尾崎宗子
脚本:黒沢久子、出口出
撮影:辻智彦、戸田義久
編集:掛須秀一
あらすじ
日中戦争中の日本の農村。四肢と聴力と声を失い、顔が焼けただれた久蔵が大陸から帰還した。戦争奉賛一色の国情のもと、多くの勲章を得、「生ける軍神」としてマスコミや村人たちに崇められる久蔵。妻のシゲ子は、戸惑いながらも久蔵の食欲と性欲を処理していた。やり場のない憤りにシゲ子の心は荒む。
日本に敗色が濃厚となるにつれ、久蔵は大陸で中国女性に犯した残虐行為の記憶に苛まれる。

第60回ベルリン国際映画祭で、寺島しのぶさんが最優秀女優賞を受賞した作品。京都シネマで拝見。若松監督の舞台挨拶付き、終戦記念日ということで、終日立ち見も出る大変なにぎわい。重すぎて拝見するのを躊躇していたが、この日なら正視できると思い切って出かけた。
プロットは江戸川乱歩氏の芋虫だが、主題は戦争と暴力だ。戦地では想像を絶する暴力が行使されるが、守るべきはずの家庭も暴力の温床である。兄嫁の「シゲ子を返さなくてよかった」という言葉の意味が後で分かるが、それがやりきれない。
主演の寺島さん、助演の大西さん、本当にご立派でした。
確かに寺島しのぶさんあっての映画でした。↓よろしかったらポチッとお願いしますm(_ _)m。
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メッセージが異なるので、江戸川乱歩作「芋虫」よりとクレジットには現れていなかった。発表は昭和4年。今でも衝撃的なプロットをあの時代にと思い至ると驚愕する他ない。
大西さんは目がいいですね。諦念、憤怒、皆表現されてました。

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映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

>悠さま
映画館に足を運ぶ動機付けはなんでしょうね。
昔、「スターリングラード」というタイトルの恋愛映画に、ご高齢の方がたくさん来られていたのを思い出しました。ワタクシは、軍事ミステリーと誤解して行きました(爆)。
キャタピラーは何映画として見せる意図だったのでしょう。
シゲ子が、銃後の妻としての日本女性のあり方を踏み外していませんから、国外で高い評価が得られたのではないでしょうか。また、久蔵には、赦しと救いは訪れたと見たいです。

投稿: とみ | 2010年8月19日 (木) 23時42分

京都シネマに行ってきました。
夫婦の力関係の逆転と、久蔵の顔が、少しずつまともになっていく(最後の泥水に映る顔は傷が映らず)のを面白く見ました。

投稿: 悠 | 2010年8月19日 (木) 22時46分

>錺釦さま
ご無沙汰しています。あまり感想という感想書いてないのですが、行間の思いを酌んでいただいてのコメントありがとうございます。
江戸川乱歩の芋虫とあれば怖じ気づいて拝見しなかったと思いました。観客はご高齢の方々が多かったです。

投稿: とみ(風知草) | 2010年8月18日 (水) 09時28分

ごぶさたしております。

私も「キャタピラー」を見ました。
感想がおとみさんと似ているようです。

>確かに寺島しのぶさんあっての映画でした

全くそのとおりでした。

>今でも衝撃的なプロットをあの時代にと思い至ると驚愕する他ない

乱歩の小説ではユルスと書き置きして井戸の中に身を投げるんですが、そちらも切ない終わり方です。

投稿: 飾釦 | 2010年8月17日 (火) 22時53分

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» 乱歩NO.86・・・映画「キャタピラー」(主演:寺島しのぶ)を見た [飾釦]
■監督:若松孝二 ■出演:寺島しのぶ、 終戦記念日の今日、寺島しのぶがベルリン映画祭で最優秀女優賞をとって話題となった映画「キャタピラー」を見てきた。監督は若松孝二。原作とは大々的にはうたっていないけど、話はまんま江戸川乱歩の「芋虫」であった。映画は戦争によって四肢を失い体が芋虫状態になってしまった夫とそれを介護することになる妻との日常生活、つまりは性的な夫婦関係や軍国主義一色で染まっていた農村の様子を淡々と描写することによって、一組の戦争犠牲者としての生活にスポットをあてて描いている。 戦地か... [続きを読む]

受信: 2010年8月17日 (火) 22時49分

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