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2010年6月22日 (火)

筋書に書いていただかなかった「重戀雪関扉」それまでの物語

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京都四條南座・坂東玉三郎特別舞踊公演、日本へお戻りなので、日曜日に拝見して参りました。
自分の理解のため、背景やあらすじを整理してみました。半分も分かりません。

「重戀雪関扉(つもるこいゆきのせきのと)」(竹本,長唄)

原典「積恋雪関扉(つもるこいゆきのせきのと)」(常磐津)
作詞:宝田寿来
作曲:初世鳥羽屋里長・二世岸沢式佐
振付:二世西川扇蔵
天明4年(1784年)11月、江戸桐座の顔見世狂言「重重人重小町桜(じゅうにひとえこまちざくら)」の大切所作事(おおぎりしょさごと)として、関兵衛実は大伴黒主/初世中村仲蔵,良峯少将宗貞/二世市川門之助,小野小町姫・傾白墨染実は小町桜の精/三世瀬川菊之丞等により初演される。
故事古歌(これが一般的な知識ではないところがつらいです。)を多用した格調高さと、雪中に咲き誇る桜の妖しさ、大伴黒主の古怪な扮装が見事に溶け合い、スケールの大きな夢幻空間が現出する常磐津の傑作舞踊劇である。
今公演は,竹本と長唄の掛け合いで演奏するという新趣向により上演される。

通常の公演は「関扉」だけしか上演されなく,難解な舞踊劇となっている。松井今朝子氏のHPによると,全容は、当時の「評判記」等であらすじだけが伝わっているときく。また,市川猿之助丈が復活狂言として取り組まれている。
ふいに鷹が飛んできて片袖を落とし,いきなり鶏の声がするという展開になっても,観客は「なんのこっちゃ」と置いていかれるが,この場の前に重いお話がある。

この場までのお話
世界は,平安初期の六歌仙。天下転覆を企む大伴黒主の陰謀を暴こうとして,良峯少将宗貞(後の僧正遍照)は,逆に謀反人の汚名を着せられ逃亡中の身だ。その恋人が小野小町。
宗貞の弟安貞(隼人さんの二役で妄想をお勧め)には,深く言い交わした伏見撞木町の傾城墨染(玉三郎丈の三役で妄想)という恋人がいた。清水寺での逢瀬の最中に黒主の手の者に襲われ、墨染は死に、預かりの斉頼の鷹(せいらんのたか)を誤って逃がしてしまう。そのとき,黒主の放った矢により足に深手を負った安貞は,一旦は逃れたものの,墨染の姿をした小町桜の精の曳く車に頼る身に…。
二人は宗貞と小町に間違えられ,遂に追い詰められた。そのとき,斉頼の鷹が舞い降りた。安貞は,弟が兄の身代わりになったという中国の故事を示す「二子乗舟(じしじょうしゅう)」の血文字の片袖を鷹に託し,身代わりとして無念と安堵のうちに切腹した。
黒主の次なる仕掛けは…,朝敵として追われる宗貞は…,宗貞を捜し求める小町は…,黒主を敵と狙う墨染桜は…。欲と色が交錯する運命の地・逢坂で4人の男女が出逢うとき,舞うのは,雪か花か血飛沫か!!!
妖術を尽くしての死闘の行方は!!!

とまあ,プロットは劇団☆新感線真っ青の奇っ怪なものだが,舞台の雰囲気は,おおどかに華やかに鷹揚に進む。
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上の巻
雪の積もる逢坂山の新関には、仁明天皇遺愛の桜が咲いている。関守の関兵衛は,杣(そま)仕事に余念がない。
そこへ,美しい姫が関を通して欲しいとやってきた。関兵衛は通行証を持たない者は通せないと言い張るが,この地に隠棲している良峯少将宗貞が口添えし,結局通す。姫は宗貞の恋人の小野小町であった。
久しぶりの再会に恥らう2人の取り持ち役を買って出る関兵衛。その懐から小さな包みと割符が落ちる。関兵衛は踊ってごまかし、気を利かせた格好で奥に入るが、小町の手に割符が残った。
三人ののどかな手踊りがみどころ。
そこへ、鷹が何かをくわえて飛んで来た。落としたのは片袖で,「二子乗舟」の血文字が書かれていた。宗貞は,弟安貞が、兄の身代わりとなって黒主一味に殺害されたと察する。宗貞が砥石の上に袖を落とすと,鶏の声が聞こえた。砥石の下を探すと,大伴家の重宝「八声の鏡」が見つかる。
また、小町が小野篁から預かっている割符と,先刻関兵衛の落とした割符も一致した。小町は,関兵衛が黒主である証拠が揃ったことを篁へ告げるため,急ぎ都へ帰る。
宗貞は、品々を琴に隠し,酩酊する関兵衛から先程の包みも手に入れようと試みるが,隙を見出せず、あきらめて建物の奥へ入ってゆくのであった。

下の巻
関兵衛は更に酒を注いだ。盃に宿った星の影を見て、謀反の好機到来と勇み立つ。そして,大願成就の祈願に使用する護摩木にしようと、小町桜を伐ることを思いつき、鉞の切れ味を試すために琴に切りつけると、最前、宗貞の隠しておいた品々が現れる。黒主がそれを手にすると、懐中の包み「勘合の印」が桜の幹へと飛び去った。黒主は桜に鉞を振り上げるが、その途端に気を失う。
意識を取り戻した黒主の側には、美しい傾城の姿があった。撞木町の墨染と名乗る女は「いろ」になって欲しいとせがむ。それなら廓の作法を教えて欲しいと求められた墨染は,じゃらじゃらと廓話を始め、黒主も上機嫌となるが、墨染は彼が落とした片袖を見て泣き崩れる。
自分は安貞の恋人で,実は小町桜の精であることを明かして立ち向かう。黒主も本性を現し,立ち回りとなるが、桜の精の通力に翻弄される。
上段,下段,絵面引っ張りの見得で「き」となり幕。

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コメント

>紅娘さま
もっと凄く因果がからみあっているらしいですが、この場の意味が分かる程度に拾ってみました。
昔は、それこそ、今のスターウォーズやハリーポッターのように知られていたのですね。

投稿: とみ | 2010年7月 4日 (日) 20時23分

こちらへのコメントが遅れ、申し訳ありません。
詳細な解説、本当にありがとうございます。
「二子乗舟」のような、当時の知識人なら知っているであろうというお話を持ってきていますので、おそらくハリポタ的なファンタジー世界が隠されているのではないかと思います。ただ私のような平成の観客はついていけないのが悲しいです…

投稿: 紅娘 | 2010年7月 4日 (日) 13時57分

>hitomiさま
いえいえ、歌舞伎は分からなくても楽しめばよいという捉え方もありですが、玉様は存在そのものが、大きなコンセプトと理詰めのディテールの積み上げの上に構築された美の楼閣であられますから、お考えがあるはずと信じています。
しかし、なぞが深すぎます。

投稿: とみ | 2010年6月30日 (水) 22時18分

演劇ブログは大勢の方がエントリーされているなか、さすがとみ様ですね。
ボケボケの頭で観て筋書きも買うつもりが速攻で帰宅してしまったので勉強させていただきました。今の演劇のように理ズメで考えない方がよいとか、それでもあれこれ知りたくなりますね。今とてもアップ出来る頭ではありませんので読ませていただくだけでありがたいです。
2本ともテレビでは観たことがありますが生は初めてだと思います。関扉は幼いころに歌右衛門で観たかもしれませんが。

投稿: hitomi | 2010年6月30日 (水) 16時22分

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