御名残りに菊様の玉手と濡衣を拝見してきました
22日、大阪松竹座で、團菊祭五月大歌舞伎・昼の部の合邦と夜の部の十種香の幕見をしてきた。公演はまだ続くがマイ千秋楽である。
菊様玉手の美しく艶やかなことはそのままに、合邦、おとく、辻の三人の家族愛が深まっていた。大変な不義を犯し追われる身の娘ながら、我が子に限ってそんなはずはという父上と、何をしたとしても我が子は我が子と娘を慈しむ母上の性格と位置づけがくっきりしていた。
悲しい結末だが三人の絆と合邦の一族の誇りが取り戻せたことに満足して明るい表情で陥る玉手…。泣くなという方が無理ちゅうもんです。決してやり過ぎない御両親が立派。
葵大夫さんの醸し出す世界は義理の重さが光ります。↓よろしかったらポチッとお願いしますm(_ _)m。
十種香は初日から洗練されていたが、勝頼さんがびしーと筋が通って男前度がアップなさったため、ラブトライアングルがびみょーに…。ワタクシ的には、勝頼さんはへたれている方が義太夫らしく人物が類型的で好きだ。あまりの若々しさに思わず隼人さんかしらんと思ってしまった。
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コメント
>スキップさま
十二夜でもそうでしたが、多様な側面を内包しながらどこでも止まれる、どんな配分でも見せられるところが菊様の凄さです。
向かうところ敵なし。モンダイはライバルと決まった相手役がいないことかな。
女形のときは錦之助丈、立ち役のときは右近ちゃんでお願いしたいです。
投稿: とみ | 2010年6月 4日 (金) 08時20分
とみさま
この画像、合邦辻閻魔堂ですね。
私も玉手の碑に会いに行って来ました。
私が観たのは23日でしたので、とみさんの千秋楽の翌日。
玉手自身も、合邦、おとくの家族愛も、ほぼ完成系のように
感じました。スバラシかったです。
私のお気に入りの演目入りです。
ただし、他の方の玉手をまだ観たことないのですが(笑)。
投稿: スキップ | 2010年6月 4日 (金) 00時04分
>ムンパリさま
今の菊様のお力なら、このくらいの難役でないともの足りませぬ。生涯の当たり役になるのは間違いないとしても、原作の主題に最も迫れるのは今と思います。
器量人並み優れた子を…。両親がどんだけ娘を誇りに思っていたか、娘が奥方になっても慎ましく生きてこられた自負があったか。親ちゅうもんはあほなもんです。
ここはやはり恋心に耐え切った達成感もありました。どう心が動いても良い物語になるところは、玉三郎丈の先代萩の公演のときのようでした。
投稿: とみ | 2010年5月26日 (水) 08時34分
とみさま♪
親子三人の結束がさらに深まっていましたか〜。
> 一族の誇りが取り戻せたことに満足
これですね〜。
父のためだけではなく家、ご先祖、末代までの誇りと名誉の
ために自分一人・・・なのですね。ウウッ。
難役にもかかわらず、菊さまは実に堂に入っておられ、
この玉手御前をいま見ておいてほんとによかったと思います♪
投稿: ムンパリ | 2010年5月26日 (水) 03時03分