團菊祭五月大歌舞伎・菊之助丈奮闘公演開幕・初日感想我唯菊限書御免(加筆)
眼目の玉手(初)
立ち姿がお美しい。恋路の闇に迷うた我が身で、すっくと立ち上がるところは、玉様風に恋の妖魔に化身したよう。お声が若々しく通る分、したい放題、実家に帰った娘らしい暴君ぶりで、しのぶ姉上さまを彷彿とさせておられワタクシ的にフィットした。
その対比で、手負いになってからの義理を立て通す健気な若妻が引き立つ。何より、義理の仮面を被った偽りの恋という二重に仕組まれた嘘がもしかしてホントに見えたところが上手い。玉様なら失礼ながら、俊徳を邪淫の床に誘う魔女のままかも。
濡衣(初)
一瞬、目の前の本物の勝頼が、自分が愛した偽の勝頼に見え、狼狽えるところが切なくてステキ!奔放な姫様と行儀の良い腰元というバランスも的確。意志的であられる。これ、ヴァイオラ、オーシーノ公爵、オリビアなんだよね。松竹さん、ワタクシの夢を叶えてくださってありがとうございました。
京人形
この舞踊劇、甚五郎が三津五郎丈なので、ベストキャストと大変楽しみにしていたもの。魔法がかかった柔らかさと実は木で出来ている固さ、甚五郎と太夫の舞い分けが余裕余裕で楽しいに尽きる。
下剃り勝奴(初)
玉手役者は普通勝奴はしない。橘姫は馬盗人はしない。それを同じ日に涼しいお顔で軽くクリアなさるところが菊様の菊様であられる由縁だ。仕事師の上前をはねるちゃっかり者には見えないが、端正なお顔とすずやかなお声に色事師の片鱗が…。料理も上手いしお茶も上手に入れられるのだろう。
それより、あかん、あかん、御父君に似てきておられる。^ロ^;
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コメント
>はなみずきさま
艶やかでしたね。原作の主題に最も近くまで迫っておられるように思います。周りがまた素敵です。かすむ目で俊徳を見つめるところは涙涙です。
姉上さまでは、結末がフランス人好みになりますラシーヌのフェードルかな。
投稿: とみ | 2010年5月 9日 (日) 21時57分
とみ様、おひさしゅうございます~♪(ご無沙汰、御免くださりませ。)
とみ様のおっしゃられるとおり、菊丈の芸達者ぶり、丁寧さに見とれる團菊祭になりましたね~。玉手御前の「人妻らしさ」、私もドキドキいたしました。こんな美しさならば、左衛門も、不義モノだろうが何であろうが、生かしておくだろう…と、想像してしまいました。あの艶やかさ(と、そのうちにある芯の強さ)、タダモノではございませんでしたね。
はっ、また大阪に飛んでゆきたいですぅー。
投稿: はなみずき | 2010年5月 9日 (日) 14時13分
>六条亭さま
菊之助丈しか書いていませんが、本当に目覚ましい活躍でした。
もちろん、團菊そろう勧進帳と髪結新三は清々しくさわやかで、團菊祭らしい高揚感ございました。もう次の時代へのトライアルが始まっているのですね。
投稿: とみ | 2010年5月 5日 (水) 22時40分
とみ さま
早速團菊祭の菊之助さんの四役レポ、ありがとうございますm(_ _)m。
玉手は観たかった演目ですが、さよなら公演で観劇費用の使い過ぎで遠征は諦めました。しかし、とみさまのレポで、う~ん、また行きたい~、気持ちがムクムク現れてきてしまいました。
投稿: 六条亭 | 2010年5月 5日 (水) 22時04分