吉弥丈がおかやを代演・山崎街道を新快速で大阪へ
大阪松竹座、通し狂言仮名手本忠臣蔵に、六段目「与市兵衛住家勘平腹切の場」において、与市兵衛女房おかや役でご出演中の坂東竹三郎丈が急病で休演となった。急遽上村吉弥丈が代演されているという情報を得て、取るものもとりあえず、山崎街道をJR新快速に乗車し、大阪松竹座に駆け込んだ。
おかやは、勘平さんを切腹に追い詰めるお姑で、一夜にして、夫と婿を失い、娘と別れ別れになる大悲劇の当事者。トロイのヘカベ、ロシア・ロマノフ王家のマリア皇太后にあたる踏まれたり蹴られたりの老女。首は婆、文雀さんが遣うような大役だ。
ゾンビ寸前になっていたが、元気とは出るもの。力演されているお姿を拝見し、気持ちがシャキーンとなった。
竹三郎丈の厳しさ、火を吐くように追い詰めるお力には及ばないが、知的で上品で愛情深いおかやであられる。大切な連れ合いを亡くした哀しみと、勘平への怒りのバランスが吉弥丈らしく折り目正しいものだった。もちろん、竹三郎丈をきちんとなぞっておられる。
上方演出なので勘平が着替えようとするのを押し留め、紋服をひったくる場面があるが、これがマイツボ。
さておき、竹三郎丈の1日も早い御本復をお祈り申し上げます。慈母の厳しさはまだまだ教わらなくてはならないです。
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コメント
>ムンパリさま
片岡我當一門贔屓だけでなく客席全体の十段目への期待の大きさは感じました。時代のなかの世話場面ですから空気変わります。
丁稚どんもかわいかったですし。
九段目も見たかったですね。
投稿: とみ | 2010年1月19日 (火) 08時42分
山崎街道を全力疾走のとみさま♪
そういうワケでしたか!
奇しくもお二方のおかやさんをご覧になられ、羨ましいです。
夜の部のおそのさんにはヤラれました〜。
投稿: ムンパリ | 2010年1月19日 (火) 01時38分
>cocoさま
こちらこそ思いがけなくお目にかかることができました。確かに与市兵衛住家は狭かったです。竹三郎丈も吉弥丈も長身ですし。
さて、夜の部、丁稚は少年でしたでしょ。原作では帯屋の丁稚みたい大きい子なんでしょう。人形浄瑠璃独特ですね。
明日も十分お楽しみくださいませ。
投稿: とみ | 2010年1月16日 (土) 23時46分
>やたけたの熊さま
おかやは五代目上村吉弥丈もなさってました。合邦内室など先代のお役を継承されるのは嬉しいかぎりです。
竹三郎丈におかれましては1日も早い御本復をお祈りいたします。
投稿: とみ | 2010年1月16日 (土) 23時33分
今日は思いがけずお目にかかれてうれしゅうございました♪幕間にエネルギー補給して、夜の部は完走!楽しかったです
吉弥丈のおそのも結構でしたし、「男でござる!」には客席沸きました~!
明日もがんばります
とみさまもご無理なさらず寒波を乗り切ってくださいますように。
投稿: coco | 2010年1月16日 (土) 22時31分
おかやは、東京では吉之丞さん、上方では竹三郎さんがはまり役だと思っています。
与市兵衛を殺めた(と思った)勘平への怒り。じつは腹切してから勘平が無実とわかり、娘・夫・息子をいっぺんになくしてしまって嘆き悲しむ母親おかや。難役中の難役ですね。さて吉弥さんのおかやは、どうだったのでしょう?
投稿: やたけたの熊 | 2010年1月16日 (土) 18時09分