ウーマン・イン・ホワイト
原作:ウィルキー・コリンズ「白衣の女」
作曲:アンドリュー・ロイド・ウエッバー
作詞:デヴィッド・ジッペル
脚本:シャーロット・ジョーンズ
演出:松本祐子
翻訳・訳詞:竜真知子
音楽監督・指揮:塩田明弘
あらすじ
ヴィクトリア朝の英国。画家ウォルターは、地方地主、フェアリー家の姉妹に絵を教えるため、駅に降り立った。夜道を歩く彼の前に、不意に白いドレスの女が現れ、人に追われていると助けを求めた後、再び闇の中へと消えてしまう。
屋敷に着いたウォルターを迎えたのは、フェアリー家の相続人のローラと異父姉のマリアン、ローラの叔父で後見人のフレデリクだった。ウォルターは、ローラと白いドレスの女が似ていることに驚く。姉妹は、それぞれにウォルターに思いを寄せるが、ウォルターの心はローラにあった。
しかし、ローラには、亡父の決めた婚約者パーシヴァル男爵がいた。マリアンは、妹の幸福のためとウォルターに身を引くよう説得する。ウォルターは失意のうちにフェアリー家を去った。
ローラと結婚したパーシヴァルは態度を豹変させ、ローラの全財産を自由に使えるよう強要し、ローラに暴行を繰り返す。妹の幸福のためという欺瞞で嫉妬心を隠し、結果として二人を引き裂き不幸にしてしまったと自責にさいなまれるマリアン。その前に白いドレスの女が現れる。彼女は生者か亡霊か。敵か味方か。
そして、陰謀に立ち向かおうとするマリアンを打ちのめす悲劇が起こる。
解説
「ジーザス・クライスト=スーパースター」、「キャッツ」、「オペラ座の怪人」、「サンセット・ブールバード」、「エビータ」、「スターライト・エクスプレス」、「アスペクツ・オブ・ラブ」など数々の作品で知られる天才作曲家、アンドリュー・ロイド=ウェバーの2004年の作品。2004年にウエストエンドで開幕し、05年に閉幕。ブロードウェイにおいて06年まで上演。2007年には、笹本玲奈主演により日本公演が実現し、今回は、笹本さんと光枝さん以外はキャストを一新しての再演となった。
3公演だけの大阪。日曜日は完売だが、土曜日の2公演は当日券があるということで、トークショー付きのソワレに出かけた。
ホリプロのミュージカルは、歌唱力に優れたスター出演者を揃え、オーケストラも生オケとハイクオリティ。愛と陰謀のラブサスペンスをロイド・ウエッバーの流麗でミステリアスなメロディーが綴る。愛の喜びにふるえ、愛の喪失に打ちのめされ、疑惑に慄き、理不尽に憤る深層心理を表す変拍子、転調、不協和音の分厚いスコアが圧巻。ドラムスだけでなく、ヴァイオリンも採用せず、主旋律はヴィオラが奏でるというところがなるほど…。
お役によって主題が割り当てられ、変奏によって繰り返し繰り返し、同じ心理の場面でリプライズされる。あかん、酔いそう。習慣性があるのに公演は明日で終わりだ。
主演の笹本さんのお役は、若さと美貌と莫大な財産を持つ貴族の妹に寄り添って影のように生きてきた36歳、無一文、平民のハイミス(笹本さんは24歳)。知的で果敢だがそこはヴィクトリア朝の世間知らずの娘、かけがえのない妹を守りきれない。主演だけあってデュエット、トリオと出ずっぱり。歌い上げる苦悩の難曲のソロが5曲はあり凄い凄い。
ローラ役の大和田さんは、どちらかといえば明るい庶民系のお役が似合いそうだが、そこは実力派、透明で高貴ではかなげな令嬢になっておられ、終幕の勇気を振り絞って悪に立ち向かうところの難曲でも気を吐いておられた。
白いドレスの女・アンの和音さんもパワフルな娘がタイプだが、謎めいて悲劇的なキャラクター、不安定なメロディライン、暗い場面で密かに出入りするというハンディにもかかわらず存在感を示しておられた。
ウォルター役の田代さんは、絵に描いたような美青年のテノール。すらーとした容姿からは想像もつかないほど歌唱は安定しておられる。井上さんと人気を二分する日も近い。
最悪の極悪人役のパク・トンハさん。こわかった〜。熱演。お歌も絶叫にメロディがついているので難しそう。夢に出そうだ。
フォスコ伯爵役の岡さんは、気ままなボヘミアンでスマートな悪人。胡散臭さが最高。陽気な持ち歌を割り当てられ、自在に演じておられ、暗いお芝居のアクセントになっておられた。
もう余命はいくばくもないが口癖の叔父上は光枝さん。相変わらず渋さと明るさの程の良さいがいぶし銀。笹本さんのお歳の4倍とおっしゃっていたがほんまやろか。
ウエストエンドでもブロードウエイでもロングランにならなかったということは、あちらのレベルはさぞ…↓よろしかったらポチッとお願いしますm(_ _)m。
キャスト
マリアン・ハルカム/笹本玲奈
ウォルター・ハートライト/田代万里生
ローラ・フェアリー/大和田美帆
フォスコ伯爵/岡幸二郎
アン・キャスリック/和音美桜
パーシバル・グライド卿/パク・トンハ
フレデリック・フェアリー/光枝明彦
アンサンブル
佐山陽規、秋園美緒、家塚敦子
池谷京子、板垣辰治、今泉由香
岩田元、大峯麻友、岡田誠
神田恭兵、小関明久、斉藤直樹
鈴木結加里、俵和也、中川菜緒子
南智子、山田展弘、石丸椎菜
全プリンシパル歌唱者が舞台上に登場してのトークショー。それぞれにこのミュージカルに出演できる喜びを述べておられた。オーケストラが頭上に配置されているので、指揮は足元のモニターをご覧とか。
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