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2009年7月 4日 (土)

六月大歌舞伎 in 歌舞伎座・イッキ書き

歌舞伎座
六月大歌舞伎のラインアップと配役は全天候勝負。クリームもスポンジもおいしいロールケーキ。どこからかじってもおいしい。昼の部は、上方の演目、夜の部はオール黙阿弥。役者も東西のバランス良く、全員がはまり役に当たり役。気後れ気味の田舎婆でものこのこ出かけた。
正札附根元草摺
中村魁春、尾上松緑
御免なさい。地方公演でよく見る朝一演目なのでさぼりました。
双蝶々曲輪日記 角力場
松本幸四郎、中村吉右衛門、市川染五郎、中村芝雀ほか
これも上方で歌舞伎及び文楽ともよく上演される。
芝雀丈の吾妻、お付きの吉之丞丈、歌江丈、宗之助丈が、さっと登場であっさり引っ込まれるのに驚く。これが歌舞伎座の贅沢だ。
吉右衛門丈の放駒?という気がするが幸四郎丈の濡髪と並べばええ感じ。見得はこれぞ錦絵。熱血少年と大人に見えるのが役者だ。
蝶の道行
中村梅玉、中村福助
衣装と装置が豪華でシュール。歌舞伎舞踊というより宝塚歌劇の日舞のショーのような感じだ。おそらく同時代の発想だろう。お似合いのカップルで、地獄の責苦と被虐が似合う舞踊家さんで見たい演目だ。
女殺油地獄
片岡仁左衛門、片岡秀太郎、片岡孝太郎、片岡千之助、中村梅玉、中村歌六、中村梅枝
一世一代の仁左衛門丈のことは早書きしてしまったので、全体をさっくりと。
開幕前の客席のびーんと張りつめた緊張感が歌舞伎座らしくて圧倒された。仁左丈が実年齢に近い方が良いというのは、個人の芸ではなく、相手役や家族との人間関係ということが分かる。
情理をわきまえた役が似合う役者に対する尊敬の念を封じ込めて、どないしょうもないあほんだら!わかっててもかわいいという気持ちをぶつける。そしてそれぞれの爆発の破壊力の総和がお芝居の総合力だ。ベストキャストと考えられるキャストだが、いつでもベストキャストだったはず。ただ、おとーちゃんはもっとぐちゃぐちゃで、おかんは鬼のように強く、兄は愚直、妹は純情が好きだ。

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歌舞伎
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門出祝寿連獅子 四代目松本金太郎初舞台
松本幸四郎、市川染五郎、松本金太郎、中村梅玉、中村魁春、中村福助、中村芝雀、尾上松緑、市川高麗蔵、大谷友右衛門、中村吉右衛門、松本金吾
金太郎ちゃんが客席の視線を独占だが、凝った華やかな舞台だった。
「天竺清涼山で孫獅子が生れたそうな」(爆)
大名、左近夫婦、右近夫婦と令息、村人、後見皆豪華だ。
劇中に口上があり、衣装のまま居並んで襲名を寿ぐ。幸四郎丈は、「金太郎が一人前の役者になって様々な役を演じるには、あと20年か30年かかりますが、末長くご支援いただきたいとのこと。」
そんなに待てしませんので、すぐにもミュージカル界にデビューしてくださいね。
極付幡随長兵衛 公平法問諍
中村吉右衛門、片岡仁左衛門、中村歌昇、中村福助、市川染五郎、尾上松緑、中村芝翫ほか
めったに上方ではお目にかかれない演目。しかも、吉右衛門丈の長兵衛、仁左衛門丈の水野ということで必見。
吉右衛門さんの幡随院長兵衛。若党を束ねるリーダーがこれほど似合いのお方もおられない。口入稼業(派遣社員斡旋業)を仕切る町奴が、旗本と同じ力を持つというのが上方もんにはようわからへんところやけど、そうなんや。つまり、旗本の敵、大名をバックグランドに持ち、江戸の治安を預かる者である。徳川譜代ながら石高が低く金は無いがプライドだけは高い旗本衆と小競り合いが常態となる。
子分衆が豪華なことが歌舞伎座。染五郎、歌六、松緑、松江、男女蔵、亀寿、亀鶴、種太郎…。威勢のいいこと、かっこいいこと、お江戸の皆さんは、こんなん毎月見たはるんや。
ちょっと神経質で癇性な仁左さまの水野を拝見し、なぜかほっとしてしまう。
梅雨小袖昔八丈 髪結新三
松本幸四郎、中村歌六、中村福助、市川染五郎、市川高麗蔵、市村萬次郎、坂東彌十郎ほか
幸四郎丈の髪結新三を初めて拝見する。小悪党ではなく大悪党に見えるが、悪事を働こうという強い意志があって素敵。幸四郎を見せるのではなく、新三を演じておられるところがいい感じ。こんな話やったんかと初めて分かったような気が…。これまでの観劇では、何が起こっているのかさっぱ分からなかった。
彌十郎丈&萬次郎丈の大家夫婦の存在感、歌六丈の侠客のたそがれ感も際立っていた。

さよなら公演ということでまだまだ豪華なラインナップ&キャスティングは続くが、あと一度は行きたいナ。

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コメント

>スキップさま
もしかして心は9月と国立へ?9月はワタクシもうろたえてます。例年秋は、関西で歌舞伎興行ありませんねえ。
大型バカンスを羨まず、手近で細々、あせもと戦う夏です。平日なのでこれもあやういですが、終演後、職場に戻ることもできますし、頑張ります。

投稿: とみ | 2009年7月 6日 (月) 10時10分

とみさま
六月大歌舞伎の一気書き、一気読みさせていただきました(笑)。
「仁左様の与兵衛」「金太郎くんの初舞台」ばかりに目を奪われがちですが、こうして見るとバラエティに富んだ力作揃いですね。
「幡随長兵衛」の豪華キャストの子分衆、ほんとにカッコよかったですね。お江戸の方々はこういった配役が当たり前かと、やはりうらやましいです。
次々繰り出される歌舞伎座さよなら公演、地方の者にとっては、演目や配役が出るたびにため息をつく悩ましい日々です。

ところで、左サイドバーのご予定を拝見したのですが、とみさま、「三響会」も「染五郎さんの傾奇おどり」もいらっしゃるのですね!
いいな、いいなぁ、私、どちらも行けないんです。とみさまのレポ、楽しみにしています(涙)。

投稿: スキップ | 2009年7月 6日 (月) 01時49分

>ぴかちゅうさま
お江戸の皆さんは毎月こんなんばっかし見たはるんかと思うと、ますます気後ればかりの田舎の年寄りでございます。
すぐわかる仕掛けはかわいいですが、7月の玉様の強引な関連付けが楽しみです。記事にしてくださいませ。

投稿: とみ | 2009年7月 5日 (日) 12時16分

私も千穐楽は夜の部だけ観ました。21日の昼と合わせて昼夜概観の記事を書いたのでTBさせていただきましたm(_ _)m
昼は仁左衛門の一世一代の与兵衛と吉右衛門がさよなら公演スペシャルの放駒長吉で大満足。「双蝶々」つながりの舞踊二題で前後を挟むという凝った企画だったんだと後からわかって感心しました。
夜も金太郎初舞台で高麗屋三代が揃い、他にも三代揃う舞台が昼夜で並んでいることも気づいて、六月歌舞伎はなかなかのものだったと噛み締めています。

投稿: ぴかちゅう | 2009年7月 4日 (土) 23時45分

>火夜さま
コメントありがとうございます。昔からある曲をリニューアルした武智歌舞伎というそうですね。文楽でも最近かかりました。新歌舞伎と同じでむしろノスタルジックでした。
あー、長い一日。堪能しました。

投稿: とみ | 2009年7月 4日 (土) 20時56分

待ってました!
行った気になりました!

実はいちばん気になってたのが蝶の道行。やっぱシュールでしたか。
昔みたはずなのになぜか記憶からぬけおちてます。

投稿: 火夜(熊つかい座) | 2009年7月 4日 (土) 18時36分

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» 09/06/27 千穐楽に六月大歌舞伎を概観 [ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記]
{/silver/} 六月大歌舞伎千穐楽夜の部を観る前に、ご一緒するさちぎくさんとオフ会だけの玲小姐さんと3人のミニオフ会。私は娘を医者に行かせる大仕事を片付けてから(笑)合流。デニーズもドリンクセットがコーヒーしかお替り自由でなくなって注文少なく粘るお客を抑制するようになってしまった。それでもしっかり3杯飲んだけれど(^^ゞ {/cups/} {/cups/} {/cups/} 週末には風邪がぶり返して、減感作療法の注射を打ちに行きながら風邪の薬もいただいてきて飲んでいる。だから睡魔と闘いながらの... [続きを読む]

受信: 2009年7月 4日 (土) 23時38分

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