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2009年5月10日 (日)

蜉蝣峠 in 梅田芸術劇場・血の祝祭の欲望を背負って走れ!

Kagerou_touge_1b_55月6日(水)ソワレを梅田芸術劇場メインホールで観劇
いのうえ歌舞伎壊PUNK
「蜉蝣峠」
作:宮藤官九郎
演出:いのうえひでのり
メインキャスト
蜉蝣峠で誰かを待つ男・闇太郎/古田新太、ろまん街の侠客・天晴/堤真一、天晴の情婦・お泪/高岡早紀、旅役者・銀之助/勝地涼、立派の子息・サルキジ他/木村了、盲目の飯屋・がめ吉/梶原善、立派の用心棒・流石先生/粟根まこと、立派の女将・お寸/高田聖子、ろまん街の侠客・立派/橋本じゅん 他
ものがたり
蜉蝣峠は地獄の分水嶺。照りつける強い陽射しのせいで大気が揺れ、見えるはずのないものが見えるという。
蜉蝣峠でじっと誰かを待つ男・闇太郎には若いころの記憶はない。そいつが何かに導かれるようにふらりと8里先のろまん街にやってきた。
ろまん街は、死んだ親分の跡目を継いだお寸立派の夫婦とお寸の弟・天晴の二つの組が抗争を繰り広げ、蟻地獄のように荒廃しきっていた。天晴れの情婦・お泪は、25年前、一揆で両親を失い、直訴に出かけたまま戻らない初恋の少年・闇太郎を待っていた。
さて、闇太郎に出会った盲目のがめ吉は、25年前の惨事を語りだす。それは、突然、ろまん街の大通りに、魔物のような大男が現れ、包丁で道行く者の首を切り落としたという。100人余りの人々が殺傷され、生き残ったのが、光を失ったがめ吉と記憶を無くした闇太郎だった。
お泪と闇太郎が出会ったことで、運命の歯車が回りだした。

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一幕は、蜉蝣峠で、シャモリ(軍鶏の被り物)で堤さんが登場し、ああだこうだがあって、サブプロットの勝地さん演じる売れない旅役者・銀之助が去勢され、銀之助と出会い、ろまん街に訪れるまでが、段取り良く進む。てか、複雑怪奇な人間模様が提示され、これはとんでもない大騒動でどっばーんと終わることを予感させる。上手い!シャモは小劇団系のお楽しみの約束事と割り切ろう。スカトロジー実験とトランスジェンダー騒動は、ろまん街がどれほどの糞溜めかを体感するために必要だ。できれば、溜めに飛び込む演出が見たかった。(これにびびっていたのでは、スラムドッグ&$ミリオネアは見られないゾ。)臭いが届かない席にいたのが残念。
二幕は、回想シーンを交えながら物語が動く。シャモリ(軍鶏の被り物)で堤さんが登場で再び大喝采。確かにシャモリ姿はカッコよろしい。それと、パロディは、それぞれのテレビ視聴や観劇度合により、はまるはまらないがあるので、臆面もなく乱発してほしい。
紗幕と映像のあしらいも大変美しいが、25年前の大惨事は、震撼する長台詞で語って欲しかったという物足りなさが残る。出すのも少し早い。明らかになった真実の因果の糸車の回転音も弱い。
しかし、舞台は戯曲だけで成立するものでない。演出と演技の総合芸術であるため、結果は大成功である。
何といっても問答無用の剣戟場面の美しさが全てを浄化する。死に場所を求めるかのように剣を抜くたび血の雨を降らせていた男と、得体のしれない魔物の申し子として殺戮装置の運命を担った男。クソと阿呆との果しあいがなぜこれほど感動的なのか、わかる必要はなく感じるだけでよい。

新太さん、イノセントでいいなあ。堤さん、立ち振る舞いそのものがかっこ良過ぎ。高岡さん、色っぽいけれどもピュアで素敵。

物量でとる感動は、観客の求めるものがどんどんエスカレートする。今回は美で答えてくださった。上手に宣伝なさり、観客の期待を誘導していただきたいもの…。

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コメント

>ムンパリさま
メタル・マクベスのクドカンさんの脚本の凄さをゲキシネになってから気付きました。だからきっと何か仕組んであると思うのです。やっぱ、1回ではあきません。
とはいえ、御存じのとおりチケ取りの甲斐性なしなんで、一度がやっとです。ゲキシネを待ちましょう。

投稿: とみ | 2009年5月12日 (火) 22時09分

とみさま。新感線は開幕まもない前半と、中日を過ぎた
後半では盛り上がり方が違うとよく聞きます。
スカトロジーで始まって感動で落とすためには演じ手サイドも
時間がかかると思われ(笑)、大阪で見られた私たちはラッキー
だったのではないでしょうか。

>クソと阿呆との果しあい
新太さん、堤さん。さすがですね。
それにしても、とみさまのレビューはくっくっくっ!
スカッとしますわ〜♪

投稿: ムンパリ | 2009年5月12日 (火) 19時24分

>かずりんさま
ネタ数が少く、リピートが気になりました。短気なんで、同じネタで笑い続けるの嫌いです。
でも、マイ「ドン引き」は、生命は大切、戦争や殺人はいけないというメッセージです。カゲロウは、そんなもん「くそくらえ」という難儀なメッセージでした。エライ。首百個、溜めに飛び込み客席降りは見たかったかも。

投稿: とみ | 2009年5月12日 (火) 12時35分

>クソと阿呆との果しあいがなぜこれほど感動的なのか、わかる必要はなく感じるだけでよい。

とみさん最高!!ファンになりそうです!!!あなたの・・・♪

投稿: かずりん | 2009年5月12日 (火) 11時06分

>麗さま
百人の首が再び飛ぶと観客は待ってますから、それ以上のカタルシスがないと落ちません。美しかったですね。
メッセージ嫌いのワタクシはすっきり良い気分でした。なんでしょね。オイディプスやろか。ちょっと考えてみます。

投稿: とみ | 2009年5月12日 (火) 08時33分

>クソと阿呆との果しあいがなぜこれほど感動的なのか
うはは!
明確な表現に爆笑です。(笑)
冒頭での阿呆が、ラストではあんなに格好良く見えてしまうなんて、ある意味反則技ですよぉ。
しかも斬られても斬られても、待たせた女の元に向かう姿が、
なんとも切なくて。。。

堤さんの格好良さは、もう何も言うことないですが、
今回、高岡早紀嬢がハマり役だったのが大収穫だったと思います。

投稿: | 2009年5月12日 (火) 00時09分

>スキップさま
記憶喪失もんは謎解き命。破局にひた走るスピード感や宿命的な何かによる支配が要るのですが、なぜ賢くなったか最も重要なトリガーが「二時間半阿呆はつらい。」で始まりました。ここも演劇的総合力で乗り切りました。いのうえかぶきたる所以ですね。原作ものは排除し、「壊」路線で頑張って頂きたいです。

投稿: とみ | 2009年5月11日 (月) 08時22分

とみさま
>舞台は戯曲だけで成立するものでない。演出と演技の総合芸術である
まさしく今回の舞台はこれでしたね。
クドカンのオリジナル脚本を新感線流、いのうえ流に
やってのけた、という印象が強いです。力技でした。
特に新感線については観客は貪欲ですから。
秋の公演も楽しみであり、これ以上のものを、
とすでにハードルを上げています(笑)。

投稿: スキップ | 2009年5月11日 (月) 01時09分

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