文楽4月公演第1部・渡海屋・大物浦の段
文雀さんの女房おりう実は典侍局は25年前から変わらずとか。典侍局の若々しく美しいこと。白布を敷くため船底への上がり降りも元は天皇の乳人らしく上品。知盛は、銀烏帽子、白地織物の直垂、波模様の白の紗の水干、銀欄の大口袴。悲壮感漂う武将の滅びの美学の結晶。立派だぁ。手負いになって検非違使から文七になる。オトコマエだぁ。
この公演の眼目が、このたび切り場語りに昇進された豊竹咲大夫さんの晴れの舞台。勇壮、悲痛、哀切、温情ぜ〜んぶ引き受ける大きい語りで感動を持っていかれる。燕三さんの三味線は、風、波、怒り、悲しみ、後悔、諦念と多彩に感動を増幅させる。他の舞台芸術なら、主演級役者2人の対決で見せるが、大夫と三味線と人形という手間ひまを通じて有情無常、悲喜こもごも、ごちゃ混ぜの感動を喚起させ、英雄的な気分になる。
幼帝を義経に託し、昨日の敵は今日の友と海中に身を投じる知盛の一瞬の安堵も空しく、義経の船は難破し、幼帝は水底の都へ…。わーん。
全編の主題の尊い犠牲やリベンジが報われないことの連鎖はどこまで続くのか。大物浦レポはこちら。
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