歌舞伎鑑賞教室 in 南座 秘めた恋ほど深く激しい吉弥丈の花子
20日初日の鑑賞教室も明日で千秋楽。14公演も殆ど満席ということで、美吉屋の春は満開だ。
解説 桂九雀
京鹿子娘道成寺
白拍子花子 上村吉弥
強力 片岡千志郎
同 片岡千次郎
後見 片岡當吉郎
同 上村純弥
所家さんにずらっと並んでいただきたいところだが、上方歌舞伎の本隊は歌舞伎座に御出演ということで、強力二人で所家二十人分の御働きをなさっておられた。後見二人も獅子奮迅の働きのところをさりげなく。
道行は無く、問答無用で、御舞候へということに。強力さんたち、安直じゃないかえ。
第二段乱拍子から花子が舞始める。烏帽子は飛ばさず、中啓に乗せる形。きりっとした佇まいの吉弥丈の持ち味にぴったり。鐘への恨みは慎ましく深く程よい。
「いわず語らず」の若い娘は若干苦戦。欲目、贔屓目、応援団モードに見ても、恋を知り初めた娘のときめきはお得意ではない。「恋のわけ里」の毬歌は振りの面白さがあるので、可愛さ勝負に持ち込まずクリアー。振り出し傘は花子のみで、強力は素踊り(v^ー゜)ヤッタネ!!
圧巻は「恋の手習い」のクドキ。舞踊というより恋の物語を演じる場面なので、ここでは情熱を抑えながらの濃やかな丈の芸風が生きる。贔屓目抜きでも勝負可能と見た!!!
「おもしろや四季の眺め」の羯鼓の山づくしも、マラソンなら32キロ地点のきつさと言われているが、幾度かのかどかどの決まりがきっぱりとしておられたので、技術以上に気力でいい見映えに。
「ただ頼め」の手踊は省略。賢明か。
「園に色よく」の鈴太鼓の早乙女の踊りを経て「鐘入り」になり、鐘の上で赤金の鱗模様の衣装で見栄。
初役で1日2公演は、ハーフマラソン1日2回、1週間続けられたくらいの体力を使われたとお察しします。力入りました。(._.)アリガト
客席も、おおむね綺麗ねというお声で満足で帰られたのでホッ。想像以上にパワフルながら、深く静かに潜行する恋の執念を演じておられた。♪
![]() 歌舞伎 |
終演後はお抹茶で祝杯!
| 固定リンク
「歌舞伎」カテゴリの記事
- 松尾塾子供歌舞伎公演2014 in 国立文楽劇場A組 ああ、一巴大夫さん、この時間は一巴大夫さんが生きておられたかった時間…(2014.08.19)
- 三月花形歌舞伎 in 京都四條南座(2014.03.02)
- 坂東玉三郎特別賞舞踊公演(2014.01.13)
- 京都四條南座・顔見世興行初日・ゆるゆると幕が開きました(2013.12.03)
- 松尾塾子供歌舞伎公演2013 in 国立文楽劇場(2013.08.18)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
>紅娘さま
コメントありがとうございます。
吉弥丈の花子は、一生懸命だけで感動をとっておられるのではなく、抑えに抑えた情熱が悲しみとなってにじみ出ているところに個性があられます。おひとりの力で満場の心をつかまれたので晴れがましいことでございました。
千秋楽、もいちど拝見しました。
投稿: とみ | 2009年4月26日 (日) 20時07分
こんにちは
吉弥さんの娘道成寺私も水曜日に見に行きました。良かったですね。その時に良かったとは思ったのですが、どこがどう良いのかうまく説明できずに歯がゆい思いをしておりました。こちらの記事を拝見して、派手ではないものの、奥に秘められた思いを感じたのかもしれないと思いました。
投稿: 紅娘 | 2009年4月26日 (日) 17時54分