グラン・トリノ
原題:Gran Torino
監督・製作:クリント・イーストウッド
製作:ロバート・ローレンツ、ビル・ガーバー
製作総指揮:ジェネット・カーン、テアダム・リッチマン、ティム・ムーア、ブルース・バーマン
脚本:ニック・シェンク
音楽:カイル・イーストウッド、マイケル・スティーブンス
主題歌:ジェイミー・カラム
キャスト
クリント・イーストウッド、ビー・ヴァン、アーニー・ハー、クリストファー・カリー、コリー・ハードリクト、ブライアン・ヘイリー、ブライアン・ホウ、ジェラルディン・ヒューズ、ジョン・キャロル・リンチ他
おはなし
元自動車技術者のウォルト(クリント・イーストウッド)は、朝鮮戦争で朝鮮の少年兵を幾人も射殺したトラウマを持ち、教会にも行かずに、地域から孤立していた。妻に先立たれ、2人の息子たちとも疎遠で、引退後は老犬との無為な暮らしだ。ある日、愛車グラン・トリノが盗まれそうになったことをきっかけに、隣家のアジア系移民の弱っちい少年タオ(ビー・ヴァン)とはつらつとしたその姉他一家との交流が始まった。
『ミリオンダラー・ベイビー』以来、4年ぶりにクリント・イーストウッドが監督・主演を務めたヒューマンドラマ。主人公(ポーランド系)は人種的偏見に凝り固まった国粋主義の食えねえジジイだ。白人社会の秩序を乱す者として、アジア系やアフリカ系の少年にすぐキレて銃で脅す。イタリア系の散髪屋の親父に毒付く。青二才と神父をバカにする。息子とその嫁や孫にも当たり散らす。ただ、こまめに散髪し、車を磨き、芝を刈り、星条旗を掲揚し、お家も綺麗にし、向いのお家の汚いのまで許さない。痩せ我慢と自分だけの正義を生きる支えにしているウォルトだったが、温順なモン一族との友情を通じて暖かな心を取り戻す。
遠くの親類より近くの他人…。ウォルトは、タオ少年とその家族を救おうと、生涯分の優しさと矜持を賭ける。実は救われたのは、タオ少年ではなくウォルトだった。
少年もジジイも同じ男。男のあり方を教える姿がほのぼのと可笑しい。エンドロールの歌も監督が歌っておられるようだ。グラン・トリノは、合衆国の力とウオルトそのものを象徴して優雅だ。映画を知りつくした監督の映画を愛する人々への花束のような監督の美学が詰まった作品だ。
監督の作品は絶対だという神話は揺るがない。まさか、出演はこれきりではないでしょうね。
| 固定リンク
| コメント (8)
| トラックバック (2)
最近のコメント