歌舞伎セミナー・女形の魅力を探る〜上村吉弥〜
12日夜、上村吉弥丈のトーク&舞踊ショーが開催されるという企画があったので、兵庫県西宮市の兵庫県立芸術文化センターに出向いた。
プログラムは以下のとおり。
歌舞伎セミナー・女形の魅力を探る〜上村吉弥〜
第一部
鼎談「女形の虚と実」
出演:上村吉弥(歌舞伎俳優)
ゲスト:玉岡かおる(作家)
聞き手:河内厚郎(文化プロデューサー)
第二部
化粧の実演「女形ができるまで」
実演者:上村純弥
解説:上村吉弥、水口一夫
第三部
舞踊「申酉(さるとり)」
芸者/上村吉弥、若い者/上村純弥
![]() 歌舞伎 |
いつも凛とお綺麗な吉弥丈に河内さんと玉岡さんが語ってもらう。お役を外見、内面双方から作ってゆく秘訣や心掛けは、特別なようであるが、実は人間の内面に思いを馳せるという地味な日常の延長にあるという。
吉弥丈は芸域が広い。娘から花車方、片はずし、時代婆から世話婆まで何でもこなされるが、やはり、若く美しい娘役は特別嬉しいとか。年輩のお役は、その女性が若いときからその歳まで生きてきた人生全てを表現すると思い直せば、それが楽しくなるそうだ。そのため、現代劇やテレビドラマも日常的に見て、ちょっと気になるこんな人いるよねのストックを持つようにしておられる。
4月は京都南座で第17回鑑賞教室があり、今年、吉弥丈は京鹿子娘道成寺を舞われる。短い休憩で2回はきついが、光栄なことなので、心して務めると決意を示された。
2部では、舞台上で純弥さんが野崎村のお染になる。顔をするプロセスから、年代を考慮し、プチ整形をしておく。眉は落としておき、耳のうしろや襟足は見られているから注意と厳しいチェックが…。仕草もこの段階から女らしく。純弥さん、上手になりはりました。
3部はお祭り。美吉会では白地に首抜きの着物だったがこの日は、藍地に波模様の粋な芸者姿。祭りの酒でほろ酔い加減。愛しい男との恋バナを仇っぽく舞いながら、純弥さんの若い者との絡みも見せる。純ちゃん、とんぼも切りはるんや。華やかに決まって幕。
吉弥丈の話で、そのかみ、南座の顔見世が終わった次の日、素人顔見世というのがあり、会社の社長さん方の素人芝居があったとか。その指導もお仕事のうち。京都財界の力や昔の旦那衆のありようがわかるエピソードだった。
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コメント
>rikaさま
蟻とキリギリス。今頑張って一生お芝居が見られる生活を。
南座の鑑賞教室は道成寺、5月花形歌舞伎、松嶋屋の教室・すし屋と、しばらくこちらにおられます。よいお役をなさっていただきたいです。
投稿: とみ | 2009年3月14日 (土) 18時15分
>ムンパリさま
上方と江戸の違いについては多くを語られませんでした。上方は義太夫狂言で江戸は世話、上方は情とリアリティーで江戸は様式と美にこだわるとか言われてますが、演技の根幹に大差は感じないとか。
お染の衣装で背中に付いている飾り布は、襟袈裟という名称で上方の娘独特で、文楽人形みたいに可愛らしなるそうです。そういえばお半ちゃんお染ちゃんにあって、お七ちゃんにはないです。
観客の言いたいことはただ一つ。美しさに無頓着な女形さんを舞台にあげて、なにを見せようというのでしょうか。
投稿: とみ | 2009年3月14日 (土) 18時05分
とみさん、こんにちは。
いいなぁ~~行きたかったなぁ~~。
今度吉弥さんの舞台観られるのはいつかなぁ~~。
そのときまでとみさんのいろいろなレポを頼りにしていますね(笑)。
投稿: rika | 2009年3月14日 (土) 17時29分
とみさま。
私もすっご〜く気になりながら、結局いけずじまいでした。
素敵なレポをありがとうございます。
女形さんがどうしていろんな女性の役を演じられるんだろうと
思ってましたが「こんな人いるよねのストック」に納得です。
化粧の実演は純弥さんだったのですね♪
プロセスから手抜きなし、キモに命じますです〜。
投稿: ムンパリ | 2009年3月14日 (土) 16時15分
>スキップさま
普段使える情報ありました。首筋を白く。メイクの仕草から美しく。眉は集中して描く。目はつり目、頬はふっくら、衣装は汚さない。キャッツと同じで耳のうしろ。
松竹さん、みがいた美しくさを正しく評価してください〜。
投稿: とみ | 2009年3月14日 (土) 09時47分
とみさま
このセミナー、行きたかったのですが、
平日夜の兵芸ということで泣く泣くあきらめ(涙)。
とみさまのレポで、様子を知ることができて
うれしかったです。
「年輩のお役は、その女性が若いときからその歳
まで生きてきた人生全てを表現すると思い直す」
というのはステキなお言葉ですね。
投稿: スキップ | 2009年3月14日 (土) 07時55分