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2009年2月17日 (火)

ディファイアンス

Defiance1原題:Defiance
監督:エドワード・ズウィック
製作:エドワード・ズウィック、ピーター・ジャン・ブルージ
原作:ネハマ・テク
脚本:クレイトン・フローマン、エドワード・ズウィック
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演:ダニエル・クレイグ、ジェイミー・ベル、リーブ・シュライバー、アレクサ・ダバロス、アラン・コーデュナー、マーク・フォイアスタイン、トマス・アラナ、ジョディ・メイ、ケイト・フェイ、イド・ゴールドバーグ、イーベン・ヤイレ、マーティン・ハンコック
おはなし
1941年の東欧。ナチス・ドイツのユダヤ人迫害は、森と湖の美しい小国ベラルーシまで迫っていた。村に侵攻してきたドイツ軍に両親を殺されたユダヤ人の、トゥヴィア(ダニエル・クレイグ)、ズシュ(リーヴ・シュレイバー)、アザエル(ジェイミー・ベル)、アロンのビエルスキ4兄弟は、復讐を胸に子供の頃から遊んだリピクザンスカの森に身を隠す。やがて森には、ドイツ軍の迫害から逃げてきたユダヤ人が次々と助けを求めて集まってくる。生きるため、民族の尊厳と家族愛のため、難民たちは狩猟、食料の略奪、ドイツ軍にユダヤ人を売り渡した者への復讐、ソ連軍と協力等、パルチザンとして生き抜こうとする。食料難、寒さ、伝染病、空爆、逃避行、肉体も精神も極限状態の日々の中で兄弟はそれぞれの選択をするが…。

ナチス・ドイツの独裁政権下、ベラルーシの森で生き抜き1,200人のユダヤ人の命を救った兄弟がいた。彼らは自ら語らなかったが、救われた者の子孫が勇気ある兄弟の偉業を記録していた。『ラスト・サムライ』や『グローリー』、『戦火の勇気』などを手がけたエドワード・ズウィック監督は、歴史上の知られざる事実に着目し、時代の流れに翻弄されながらも、果敢な行動により秩序を貫く主人公を描く。ビエルスキ兄弟の長兄トゥヴィアを演じるのは、新生ジェームス・ボンドとして活躍するダニエル・クレイグ。
実在の人物、実話であるため、物語は淡々と進む。極限の暮らしの中でも、愛もあれば歌もあり、ユダヤの戒律も守られている。雪が舞う中で厳かに行われる三男の結婚式場面は静謐で美しい。負担が増えるので多くの難民の受け入れに難色を示し、戦闘可能な男たちを連れソ連軍と行動を共にする次男に対し、少しでも多くの同胞を救おうとゲットーに潜入し森への逃亡を進める兄。この兄弟の葛藤がドラマチックで共感を呼ぶ。
老人、女子供も銃を取るので映画としての戦闘シーンの華やかさは全くないが、実話ならではの重みが…。宿営地からの絶対絶命の脱出行で、後ろにはドイツ軍、前には広大な湿地という危機にあって、トゥヴィアはモーゼの出エジプト記を思い起こすが、もう一歩も前に進めなくなる。決断不能になったトゥヴィアに「奇跡は起きない。起こすのは人間の行動だ。」とアザエルが道を示す。ここ、圧巻、最高。これこそ奇跡だ。長いが、淡々としたドキュメンタリータッチとドラマチックのバランスが絶妙で満足度大。

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