落下の王国
The Fall
監督:脚本:ターセム、衣装:石岡瑛子氏、プロデューサー:ニコ
出演: リー・ペイス、カティンカ・アンタルー、ジャスティン・ワデル
ものがたり
1915年のアメリカロサンゼルスの病院。アレキサンドリアは、オレンジ農園の手伝いをしていて木から落ちて、左腕を骨折し入院中の5歳の少女。人懐こく想像力豊かな彼女は、足の怪我でベッドから起きられない青年から、彼が作った壮大な物語を聞かされる。その青年ロイは映画のスタントマンで失恋し自殺願望に取りつかれている。物語は、アレキサンドリアの関心を買い、自殺のための睡眠薬を取ってきてもらうための口実だった。だから、お話はなかなか進まない。
『ザ・セル』のターセム監督が構想26年、撮影に4年の歳月を費やして完成させた、壮大なスケールの叙事詩。CGに頼らず、世界遺産を含む世界24か国以上で撮影された華麗な映像に息をのむ。
物語と現実は交錯して進む。ロイは仮面の盗賊、看護師がお姫様、氷屋のおじさんが勇敢な戦士、ロイの恋敵が宿敵オウデュアス総督と思いっきり楽しい。ロイは、アレクサンドラの気をひくことだけが目的なので、行き当たりばったり。6人の戦士が正義と復讐のために悪漢オウデュアスに立ち向かうという荒唐無稽なものだがアレキサンドリアは夢中になる。
世界各国の世界遺産で撮影された映像が圧巻の美しさでこれがCGでないとすると、絶景や壮麗な迷宮を創造したした造化の神や人間の英知に驚嘆する。
ロイは自殺願望なので物語を絶望のうちに終わらせようとするが、そんな話は嫌いとアレキサンドラちゃんも戦士として加わって、強引に大団円となる。
全編に落下のモティーフが心象風景として登場する。落下は、映画黎明期のサイレントの重要なキーアイテムのようだ。列車から馬に飛び乗ったり、鉄橋から落ちたり、おっとっとで笑いをとっているが、CGなどあるはずもなく実写でスタントマンさんが頑張っておられるのか愛おしい。ターセム監督さんの映画制作にかかわった皆さんへの敬意と賛美に心打たれる。
マイ2008年日本映画ベストは「パコと魔法の絵本」としていたが、あれは大泣きに泣かんならんので、泣きながらも観終わった後のよかったね感が残るこちらも推す。物語は人間の宝物とまたまた確信を深めた。
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コメント
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投稿: 偽物ブランド時計 | 2020年5月27日 (水) 10時41分
>ななさま
このような入れこになっている物語はキャスティングがキモですね。主人公も女の子でなくてはなりません。心に残る作品でした。
投稿: とみ | 2009年3月 9日 (月) 08時16分
こんにちは
CG使わずにここまでできるんだ!って感動でしたよ。
>世界各国の世界遺産で撮影された映像が圧巻の美しさでこれがCGでないとすると、絶景や壮麗な迷宮を創造したした造化の神や人間の英知に驚嘆する。
まったくそうですね。
昨今のDG慣れした眼には,かえって新鮮に映りました。
造化の神や人間の英知を侮ってはいけませんね。
投稿: なな | 2009年3月 8日 (日) 15時00分
>ミチさま
ニューシネマパラダイス的な映画造りへの感謝と賛美が気持よかったですね。
アレキサンドリアちゃんの参入はナイスです。ペアルックも可愛かった~。
投稿: とみ | 2009年2月11日 (水) 00時43分
こんにちは♪
「パコ~」は苦手なテイストの予感がして未見です。
「落下の~」は大好き♪
風景も素晴らしいし、映画へのオマージュが感じられるシーンもいい!
ロイの語るストーリーの中にすぅっと入っていけました。
投稿: ミチ | 2009年2月10日 (火) 21時53分
>☆みかん星人さま
トラコメありがとうございます。
蝶のリーフには腰抜かすというか魂飛びました。お衣装も、ジュリー・ティモアさんのタイタス・アンドロニカスを彷彿とさせます。
潜水服は蝶の夢をみるもそうですが、ものがたりこそ全ての欲望や五感を封じられても残るクリエーションと思いました。
作品としてはベストと言いきれます。ヴィゴ・モーテンセンの全裸に目が眩んでいるようでは修業が足らんと恥ずべきか、健全と喜ぶべきか。
投稿: とみ | 2009年2月 9日 (月) 00時04分
こんにちは。
私にとっては、間違いなく2008年のベスト映画です。
そうですね、当時の映画に取っての「落ちる」は、
最も自然であり、そして「結末」でもあるのでしょう。
いまも、多くの場面が心の中で踊っている名画です。
TB失礼します。
投稿: みかん星人 | 2009年2月 8日 (日) 22時22分