「表裏源内蛙合戦」は主演2人で勝ち戦
表裏源内蛙合戦
作:井上ひさし、演出:蜷川幸雄
音楽:朝比奈尚行
メインキャスト
平賀源内(表)/上川隆也、平賀源内(裏)/勝村政信
青茶婆(花扇) :高岡早紀 、大久保一学・鈴木春信/豊原功補、松平頼恭・司馬江漢/ 高橋努、白石茂左衛門・鳥山検校・田沼意次/六平直政、女房お初・母・遣手婆/立石凉子、雲井太夫・笠森お仙/篠原ともえ、高井源之助・杉田玄白・将軍家治/大石継太ほか
あらすじ
享保13年、讃岐の国高松藩の貧しい米蔵番の倅として四方吉は出生した。幼いころより四国一の神童と称され、眉目秀麗、頭脳明晰、明朗闊達、奇跡の男として、公費で長崎留学を果たす。名を平賀源内と改め、江戸遊学の願いも叶い、当代一の万能の天才ともてはやされていたが、徳川家直参になりたいという野望が頭をもたげたことから運命が暗転し、浪人の身に…。
才能と出世のギャップに憤り、大衆にも山師と蔑まれ、失意と貧困のどん底のなか、次第に狂気とうつつの境をさまよううようになる。
12月13日(土)マチネ、何と2階最前列センター;:゙;`(゚∀゚)`;:゙。運をかなり使った。
蜷川さんの演出メソッド棚卸の大盤振る舞いの超娯楽舞台。チョンパで幕が開くと、正座してずらりと居並ぶ役者さん達。「表は天下の大阪城。裏は京橋ビジネス街・・・」と始まるかっこよろしい口上。なぜか、勝村さんは黒衣(笑)
源内を演じるのは二人の表裏の男たち。正統本格派ヒーローの中のヒーローが務まる大型舞台俳優上川隆也。軽妙洒脱、変幻自在、敵か味方か、性格俳優にしては男前過ぎ、悪役にしては可愛い過ぎ勝村政信。姿よし、声よし、技術揃って最高のバランス。
役者さんたちは、井上戯曲の言葉の洪水をクリーンに伝えていただいているが、悲しいかな、言語能力とインテリジェンスがついていけないよ~。「天保十二年のシェイクスピア」、「藪原検校」、「道元ンの冒険」見たはずなんやけどヾ(_ _*)ハンセイ・・・
繁栄にひた走る昭和の日本を、幕末に向かう民衆のエネルギーとシンクロさせ、人間の欲望の奔流を活写したものではありそうだ。早く生まれすぎた天才科学者、経済の本質が見えすぎた政治家、色、欲、金に飲み込まれた男と女。すべての愛しき人間たちへの賛美と鎮魂にしんみり。
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コメント
>ムンパリさま
名前や出来事をよく忘れ警告されます。思い出せない、忘れたで諦めると、認知症まっしぐらだそうです。踏みとどまって、3日後でもよいから頑張って思い出すと現状維持が可能とか。
とはいえ、台詞が掛け詞になっていたり、詩ですから難しいんだなこれが…。
その場で感得できるスポンジパワーを見習いたいです。貴宅をはじめ、よそ宅巡回します。
投稿: とみ | 2008年12月27日 (土) 08時47分
とみさま。タイトルロールのお二人は元々上手なんだと思いますが、お互いに相乗効果でパワーアップしたとみえ、大阪では凄いことになってました(笑)。
私はこの舞台を3回見ましたが、洪水のまま。ただただ圧倒的なエネルギーを浴びただけで終わってしまいました。グスン。
ただ、今よりも脚本が書かれた時代(あるいは源内の生きた時代)のほうが目指す方向がわかりやすくて、日本も元気だったのはたしかだと思います。私もよ〜く考えようっと。
投稿: ムンパリ | 2008年12月27日 (土) 01時44分
>しろうさま
ものづくりの創意を持ち続け、ものをつくる人への感謝と尊敬を忘れない限り、日本は大丈夫と思います。しかし、虚業で乱舞していないといいきれるか、考えさせられるお芝居でした。考え続けないと芝居を楽しむ感性も枯渇します。頑張ろうっと。
投稿: とみ | 2008年12月25日 (木) 23時06分
>花かばさま
源内さんの憤りは、若き日の井上ひさしさんの世の中への警鐘と思われるのですが、見果てぬ夢が源内さんの滅んだ理由としたら残念です。
成仏なさったとは考えにくいですから、機会を見つけて参ってみたいです。
投稿: とみ | 2008年12月25日 (木) 22時54分
とみさま♪
東京公演を観たころに比べ、日本の状況は驚くほどの勢いで悪くなる一方。
世に誇る英知を結集しているはずの日本企業、日本社会がいよいよ源内に見えてきます。
某大企業たちは秋田での源内。
こんなときクリスマスに呆ける街は両国?
心に美しい明日を持っているか。
源内のように狂い死にしないことを祈りたいです。
投稿: しろう | 2008年12月25日 (木) 19時54分
平賀源内のお墓が南千住にあり何度か訪れました。
最後は刃傷事件を起こして小伝馬町で獄死するのですが、入牢してから3ヶ月ほどだったそうです。
山師と呼ばれたそうですが、たぶん夢が大きすぎて一般人には理解できなかったのではないかと思います。
東北方面他あちこちで、金の鉱脈を探したりしながらが最後の仕事だったみたいです。
投稿: 花かば | 2008年12月25日 (木) 08時57分