山桜
いつものミニシアターで鑑賞
原作:藤沢周平『山桜』(短編集「時雨みち」所収)、監督:篠原哲雄、主題歌:一青窈『栞』
キャスト:田中麗奈、東山紀之、壇ふみ、篠田三郎、村井国夫、富司純子
物語
江戸時代後期の庄内藩。武家の妻野江は、叔母の墓参の帰り、山桜を見つける。花に手を伸ばすと1人の武士が手折ってくれた。その男は、野江が一度目の結婚で夫を失った後、今の婚家に嫁ぐ前に縁談を申し込んできた手塚弥一郎だった。
藤沢周平氏の世界観を映像化した静謐な作品。主人公を女性に設定し、諦念の中にいた女が光を見出すプロセスを感動的に見せる。もちろん、義に生きる男もしっかり登場する。
四季の移り変わりに心を重ね、大地の恵みに感謝し、天変地異におそれおののき、自然と共に生きる美しい日本人の心が、藤沢ファンの多さの理由だ。与えられた運命に従いながら、役割を果たすことに生きる意味を見出そうとするのは今も変わらない。
圧政に苦しむ農民の怒りを自分の義憤とし、身を捨てて一人クーデターを決行する寡黙な男。不幸な結婚に耐える毎日、もしかして夫婦になれたかもしれない男とのたった一度の邂逅、男の決死行を知ったとき、耐えに耐えた女心が奔流となる。
二人に未来はないが、何も行動しなかったより、満たされるであろうことを想像させ映画は終わる。
主人公二人が寡黙なだけに、脇を固める温かい皆さん、悪に徹した村井さんがひかり、しんみりなりました。
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コメント
>ミチさま
コメントありがとうございました。
他の藤沢映画は予想より明るく饒舌だったので、ここまで寡黙なのは、逆に藤沢らしすぎて驚きました。
淡々とした抑えめの前半のおかげで、男のブチ切れが引き立ちましたね。
投稿: とみ | 2008年10月14日 (火) 23時31分
こちらにも・・・。
藤沢周平作品の映画化はどれもいいですね~。
あの世界観と登場人物のキャラクターが好きです。
この映画ではジャニーズのヒガシが主人公ということでちょっと不安もありましたが、台詞が極少で助かりました(笑)
投稿: ミチ | 2008年10月14日 (火) 22時47分