ゲキシネ×メタルマクベス サブプロットを付加したクドカン氏は戯曲マクベスを完成させた
なんばパークスシネマで上映中のゲキシネ「メタルマクベス」を鑑賞。なんばパークスシネマには、実は初めて入場したが、劇場のような豪華なインテリアに、シートも木を多用して快適だ。
原作:W・シェイクスピア、脚色:宮藤官九郎
演出:いのうえひでのり
出演:内野聖陽、松たか子、森山未來、北村有起哉、橋本じゅん、高田聖子、粟根まこと、上条恒彦、他
古典のシェイクスピア、ヘビメタにこだわる新感線と、言語のマジシャン・クドカンのコラボ。80年代のメタルバンドと近未来が交錯する凝りに凝った衝撃のマクベスが、スクリーンに再現。
ゲキシネを拝見して気がついたことがひとつ。こんな重要なことをなぜ今まで気がつかなかったのか…。新鮮で褒めることが多すぎて幻惑されていたようだ。ライブの感想はこちら。
マクベスは短いがメタマクは長い。マクベスは主筋だけだが、メタマクは副筋もある。マクベスは気の短い王様に奉げられたが、メタマクは芝居好きの民衆のために執筆された。けど、どちらも大成功。
リア王、ハムレット、十二夜、夏夢、シェイクスピア劇で副筋のないのは少ない。飽きっぽい某王のために非常に短く作って成功したとか。しかし、偉大な劇作家は、きっと、サブプロットも書きたかったに違いない。上演時間4時間という当時のスタンダードな長さ、ずっしり感は、むしろシェイクピア劇らしさが増幅したようだ。これって凄くない。ゾゾ~。
そういえば、「明けない夜はない。」と金融界で叫ばれている。実は「明けない夜は長い。」(松岡和子氏訳)が正解だとしたら…。そもそも、金融界はグローバルな一続きのもの。朝も夜もない。また、朝は12時間後に来るとは限らない。スコットランドの朝は半年後としたら…。こちらの方が今の世界の状況に相応しそうだ。
言葉は言霊。間違って使えば、使ったものに帰ってくる。もうひとつゾゾ~。
ライブに比べて臨場感は薄れ、音と震動はは小さめだが、その分台詞が聞き取れる。ゲキシネとはいえ、観客はほとんど演劇ファンなので、お客さんの反応は上々。椅子の幅が広いため、椅子から転げ落ちかけても、馬鹿笑いにも対応しているのがうれしい。
また行こっと。
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コメント
>スキップさま
あ、プレミアムシアターだったのですね。道理、道理。
SHIROも行きます。
さて、ライブのときは、台詞が聞き取りにくかったのと、他の中島かずきさんのように戯曲が出回っていないので、ホンの凄さを見落としていたようです。
メタシアターの構成にして演出した気になっている尊大な演出家は頭を垂れよ。現代に置き換えたつもりが、衣装と装置をチープにしただけ、時代を日本の戦国時代に置き換えたつもりが、単なる装置と衣装の使い回しの演出も、演出家は赤面よ。
才能とは、凄いことを楽しげに遊びたおすということと思いました。
投稿: とみ | 2008年10月12日 (日) 11時16分
とみさま
時代を置き換えて、ヘヴィメタのリズムを響き渡らせておいて
「むしろシェイクピア劇らしさが増幅した」と思えるのはやはり
すごいです。舞台を観た時にも感じたことですが、クドカン、
おそるべし!ですね。
メタルマクベス、確かに長いですが、一気に駆け抜ける疾走感
があって、それが王の座に一気に駆け上がって堕ちて行った
マクベスの生き様とも重なって、長さを感じませんでした。
なんばパークスシネマは今のところ私が一番お気に入りの映画館。
とみさまにも気に入っていただけてうれしいです。
投稿: スキップ | 2008年10月12日 (日) 01時56分