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2008年8月30日 (土)

ガラスの仮面・蜷川幸雄 in Osaka エイジレス&エンドレスな芸道

ミニ本

オーディションから1年余りをかけて制作されていた企画をついに拝見できた。
演劇を志す若い方々へのエールに満ち満ちたたいへん元気の出る作品だ。観客席も、「ガラかめ」エイジの女性たちと、出演者たちの親世代が一致し、ハナから応援団モード。座頭の夏木マリさんをマリちゃんと呼ぶ祖父母世代まで集め、観客が舞台の半分を造るというコンセプトも達成だ。
舞台上は、若い俳優さんが大多数で、群衆の使い方には定評のある蜷川さんのあしらいが冴える。劇画の画像パネルと鏡だけのシンプル演出ながら,本水とフライングという降物と飛物は押さえてあるメリハリの効いた演出はさすが…。

主演の夏木マリさんは、正に劇画から抜け出してきた「月影千草」そのもので、芸道一筋に命を燃やし続ける巨星ぶりを発揮。ヒロインの「北島マヤ」役の大和田さんが芸能界一家のサラブレッドで,「姫川亜弓」役の奥村さんがオーディションで選出された新人という状況が,ガラかめ世界そのものだ。全てのお役が,それぞれ劇画のイメージを踏襲した人選と役づくりで、作者の美内氏への限りない敬意が見られ、蜷川さんも大人になりはったんやとしみじみ感じた。不良親父にハラハラしながらも、大人しくなって心配する娘の目線で見ているようだ。
「月影千草」の「100年後は貴方も私もこの世にいない。だから,生あるうちに舞台で何かを伝えたい。」の台詞はガラかめのテーマだが,蜷川さんの叫びでもあり,見事に共振していた。
写真はおまけのミニ本

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ミュージカル」カテゴリの記事

コメント

>ぴかちゅうさま
このような息の長いプロジェクト大好きです。制作決定からメイキングドキュメント創って、さい芸に常設ライブラリーとして置いてほしいです。
奥村さん、凛としておられ、やはりバレーの子は違うと感じました。
それにつけても脚本がよいとうまくゆくのですね。原作の膨大なメッセージの中から,詠うと心地よいものをチョイスしておられるところなど,心憎いです。雨音は喝采の音は,夏木さんだから決まります。あー,かっこええ~。
さい芸と異なり,大阪の劇場はにわか普請ですので,外の豪雨や雷鳴がお芝居のサウンドエフェクトになるのです。外は雨かと思って出ましたら晴れていました(爆)。

投稿: とみ | 2008年9月 1日 (月) 08時30分

コメント有難うございます。
まず写真にびっくり。「ガラスの仮面」第1話完全収録のおまけのコミック冊子はさい芸千穐楽ではいただけませんでした。スポンサーの歯磨き会社の本社が大阪なので地元でサービス強化なんでしょうか。ちょっと羨ましいです(^^ゞ
さて、本題。美内さんとは10年越しの約束を果たされたようですね。その原作をきちんと踏まえたいい脚本(青木さんは初めてですが原作者と演出家のリクエストにきっちり応えていたと思います)と美内ワールドを熟知した音楽家と素晴らしい演出でした。
キャストスタッフとともに観客も一緒に作り出す演劇というものの魅力をここまで高らかに謳いあげてくれて本当に嬉しかったです。若い世代にも熟年世代にも観劇初心者にも見巧者にも楽しませる仕掛けたっぷりの舞台だったと思います。
二度の雨にからませて雨音を喝采の音というこの舞台オリジナルの台詞、天女のフライングには唸りました。
次の「表裏源内蛙合戦」もますます楽しみになってきました!!
PS.TBがうまくいかなかったようなので名前欄に記事のURLを入れさせていただきましたm(_ _)m

投稿: ぴかちゅう | 2008年8月31日 (日) 23時27分

>スキップさま
またもやご一緒でしたか。お声掛けられずザンネン。
良質という詞がぴったりでした。子供向け演劇は大好きで,外さず見ていますが,総じて,反応に容赦ないお子ちゃまに対し真剣に勝負なさっています。
蜷川よりガラかめの方が認知度が高いという謙虚さの上に成り立っているところが素敵でした。

投稿: とみ | 2008年8月31日 (日) 08時26分

とみさま
幕間に客席通路でとみさまをお見かけしたような気が
したのですが、やはり幻ではなかったようですね。
蜷川さんは、「幅広い年齢層が楽しめる作品にしたい。
でも全員が同じように楽しめることは目指していません」
とおっしゃっていますが、蜷川さん、ほんまに大人になり
はったというか、やればできるやん、という印象でした(笑)。
この振り幅の広さ、やはりタダモノではありませんね。

投稿: スキップ | 2008年8月31日 (日) 04時10分

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