吉弥丈の英執着獅子
桂九雀さんの趣向をこらした解説と,吉弥丈の妖艶な舞いで沸いた春の南座歌舞伎鑑賞教室の千穐楽を鑑賞した。
例年,装置を取り払って南座の機構を紹介なさるが,今年は置き舞台で,京鹿子娘道成寺の装置がしつらえてあった。オープニングは,九雀さん,紋付き袴に金の烏帽子に中啓という珍妙な拵えで鐘を見込むところまで。つかみオッケー。
「京鹿子娘道成寺」を題材に歌舞伎舞踊のあれこれを語られ,実演は,何と
鞠歌を純弥さんが素踊り
きゃーきゃーわーわーヽ(*^。^*)ノ
いつか,純弥さんの京鹿子娘道成寺を見届けるゾ
英執着獅子(はなぶさしゅうぢゃくじし)
振付/藤間勘祖,藤間勘十郎
傾城後に獅子の精/上村吉弥
力者/片岡千次郎,片岡佑次郎
後見/上村純弥,片岡當次郎
姫ではなく傾城の今公演スペシャルバージョン。美吉屋形英執着獅子だ。
桜の襖絵の中央が開き,黒地の豪華な打掛をまとった全盛の傾城が登場。じわが来る吉弥丈のあでやかさ。よく見ると紫の病鉢巻で夕霧風の儚げな風情。
二匹の蝶は純弥さんと當次郎さん。大活躍に力が入る。
懐紙,手紙,手踊りの後,打掛を脱いで紅白の扇の手獅子で春の風情。病も全快のようだ。
引き抜きで白地に朱系の麻の葉模様に変わり夏から秋に…。
蝶と戯れるうちに獅子の精霊が乗り移りやがて、蝶に引っ張られるようにして花道に引っ込む。
装置は襖が飛んで石橋になる。
獅子の精の拵えで後シテが登場。隈取りは鏡獅子と違い控えめ。
力者は千次郎さんと佑次郎さんお二人だけだが頑張っておられた。引き抜きとぶっかえりがあり,飽きさせないし華やかな趣向だ。
息を詰めて見守った毛振りだが,女形らしく綺麗な円弧で大きな軌道を緩やかに描き,大過なく見得が決まった。美吉屋!
結論:吉弥丈の夕霧が見たい!鑑賞教室が益々期待される。
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コメント
>ムンパリさま
夏の松嶋屋鑑賞教室はもっとお得。本公演ベストキャストに近く、若衆の活躍の場面もしっかり。今年も、大阪新町の厚生年金で何公演かあります。演目も俊寛ですし…。そろそろ、学習にかかってます。近日中に取材もしたいナ。
投稿: とみ | 2008年5月 2日 (金) 11時52分
とみさま。
南座の歌舞伎鑑賞教室はずっと吉弥丈だったのですね。
今回は艶やかな傾城と華やかな狂いの舞で、鏡獅子とは全然違う趣きなのが素敵でした。観賞教室って贅沢だし、おトクですね(笑)。
> 吉弥丈の夕霧が見たい!
あ、そうですよね。夕霧太夫のお墓は京都の清涼寺にあるんだし、南座でぜひ!
投稿: ムンパリ | 2008年5月 2日 (金) 02時00分