スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師
舞台は19世紀の英国ロンドン。若い理髪師は,美しい妻に横恋慕した判事に,無実の罪で終身刑を宣告され,妻も娘も奪われた。彼は脱獄し,名前も姿も変え,15年ぶりに,ロンドンのフリート街へ戻ってきた。そして,ミートパイ屋を営むラベット夫人の店の2階で理髪店を開業し,復讐の機会を窺う。正体を知り強請ってきた男を殺したのをきっかけに,殺人理髪師スウィーニー・トッドが誕生した。
胸には復讐,目には狂気,そして手にはカミソリを…。同時に,謎の材料を使ったラベット夫人のミートパイ点は大繁盛。
一年待ちに待ったジェニー・デップ主演の映画版が今日公開された。とるものもとりあえず,馴染みのシネコンに突進だ。サブタイトル長い。
ミュージカルスターは一人も出演していなく,全て俳優が歌う。ジョニー・デップもヘレナ・ボエム・カーターもアラン・リックマンも歌う。映画版は,脇役のナンバーと群衆のナンバーを省略し,主演の主筋中心に進行し,緊迫感が持続する。
T・バートン監督独特の暗く押さえた色調の映像,白塗り隈取り風メーク。怖いが似合う。似合うが顔だけどもムショ送りだ。血は破裂した水道管のように,或いはバケツをひっくり返したように勢いよく噴出する。鮮血の色より少し暗めだ。基調は猟奇,サイコ,グロテスクであるが,愛と風刺の物語でもある。
舞台より舞台らしい。群衆が少なく,大騒動が控えめで,心理サスペンス風に仕上がった。欲を申し上げれば,映画というメディアの可能性の極限の手前で手加減して欲しくなかった。回想と夢のシーンは美しい色調とアニメちっくで,ティムらしさ一杯。
宮本亜門版舞台のエントリはこちら
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コメント
>悠さま
世界一まずいミートパイ屋の描写が感動でした。アニメというか,映像ならではの楽しさがてんこもり。アニメを実写でやっておられるというのですね。
ヘレナさんのイメージはそりゃ「眺めのいい部屋」,「ハワーズ・エンド」です。ジェームス・アイボリー系の英国映画に偽装したアメリカ映画にご出演されてました。キーラ・ナイトレイ路線でした。
投稿: とみ | 2008年1月22日 (火) 20時50分
やっと、見てきました。
顔メーク、歌舞伎から学んだんじゃないか、と思うほどでした(笑)。
毛はえ薬のシーンのあとの、パイ屋の亡くなった旦那の写真でわらってました(おもしろうて、やがて悲しき、、、なんですけど)。
投稿: 悠 | 2008年1月22日 (火) 19時32分
>たけさんさま
佐野さんは主演が似合いそうです。なかなか四季には、うろんなお役向きの俳優さん、少ないですね。
投稿: とみ | 2008年1月21日 (月) 00時49分
見たくて見たくて、ウズウズしています。
それに拍車をかけるような、レポ。
映画っていうのが、みそですね。
観劇より、はるかに安いです。
投稿: たけさん | 2008年1月20日 (日) 22時34分
>どら猫さま
映画はいつでもというのがあぶないですよ。CLOSEDあー終わらないで。
投稿: とみ | 2008年1月20日 (日) 13時09分
>hitomiさま
歌唱も良かったですねえ。ミュージカル映画は、引く方も多いですが、演劇的でした。素敵なナンバーが難曲なのと、耳に残るナンバーが平凡なので、もう一度聞きたいです。
投稿: とみ | 2008年1月20日 (日) 13時04分
とみ様
すばやいですねぇ。どら猫も前売りを持ってますけど、上映期間中に忘れないようにいかなくちゃ。
楽しみにしてましたけど、よさそうな映画でますます期待が高まりました。
投稿: どら猫 | 2008年1月20日 (日) 00時51分
私も冷たい風の吹く中、試写会に走りました。2列目の横からですが文句いえない出来でした。
投稿: hitomi | 2008年1月19日 (土) 22時29分