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2007年12月16日 (日)

南座顔見世は,歌舞伎の今が分かる充実の舞台

Nec_0087_3折り返し地点の15日,昼夜通し(4等席)で観劇した。午前10時30分開演で終演は10時10分,ほとんど仕事と同じタイムスケジュールだ。上方で年一度歌舞伎を鑑賞する者のために組まれた座組と演目は,さすが豪華で,役者さん達の今が分かる。もっと見たい,役不足と思うくらいで丁度よいようだ。
総じて音曲が冴えて,高いところの者には得した気分。
昼の部
将軍江戸を去る
唯一の新歌舞伎。真山青果といえば梅玉丈。朝一向きの演目もこの方。梅玉丈の「将軍とて裸になりたいときがある。」に膝を打つ。単細胞の若侍陣は上方の若手花形さん。
勧進帳
何故か遠目に吉右衛門丈に見えた幸四郎丈の弁慶。千回になんなんとするが,上方に頻繁に来られないのかワタクシは初見だ。錦之助丈の富樫は最高。浅葱の長袴がこれほどお似合いの方もおられますまい。お声の苦しさは気迫でカバー。四天王も老若東西バランス良く,存在感一杯の藤十郎丈が全体を束ねられる。
義経千本桜・すし屋
菊之助丈のお里が上手過ぎ。しかも,演目と配役が手堅すぎて,本日唯一沈没してしまった。梶原さんは富十郎丈。もっと見たいゾ。
二人椀久
仁左衛門丈と孝太郎丈の連れ舞は息もぴったりで,切ない悲恋に見え,大変お綺麗だった。この演目は,仁左衛門丈と玉三郎丈で舞われると,白鳥の湖になってしまい,松山の幻影と椀久の狂気が際立ち,歌舞伎舞踊と異なるものだったのかもしれない。富十郎丈のやば~い椀久も見たいな~。

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歌舞伎

夜の部
梶原平三誉石切

3つの演目に梶原さんが登場する。矢筈の紋が目についた。ここでは勿論幸四郎丈。夜一番でも,上方若手花形役者さんが単細胞系のお役で登場。高麗蔵丈の純情娘役は初めて拝見するが,思いの外お似合いで刮目。
寿曾我対面
先日,梅枝丈の舞鶴を拝見したが,顔見世では,御父君に…。力紙は細面に似合うようだ。スリムなはずの錦之助丈の五郎時政は,大きく立派に見え美しいこと美しいこと。ナマズの梶原パパは團蔵さん。
京鹿子娘道成寺
省略した部分。道行き(あの美しい紫のお衣装が見たかった)。禅問答,ぼんさんの舞舞づくし,鴇色,茄子紺のただ頼め。ぶっかえりは赤金の鱗模様。
目出度さ一杯を通り越し,若々しく瑞々しい花子に,がんばらなあかんという気にさせていただいた。
天衣紛上野初花・河内山
これも,手堅い演目と危なげない配役だが,しっかり鑑賞した。上方言葉も江戸言葉もどうして仁左さまはイケるのかしらん。
三社祭
菊之助丈の花のかんばせが善玉のお面で見えないことが残念。松緑丈とさしで勝負なさって遜色なかったのでホッ。扮装が4回変わるバージョンもあったように思うが記憶違いか。
俄獅子
これを見て気持ちよく帰ろう。若いみなさんの大立ち回り。趣向を凝らした振付とお衣装,小道具。これが,無病息災を祈願し一年の無事を寿ぐ顔見世ならではの追い出しだ。

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コメント

>どら猫さま
考えがまとまれば早いです。まとめる必要がないという決断が早くできました。

投稿: とみ | 2007年12月16日 (日) 13時32分

とみ様
長時間の南座観劇、お疲れ様でした。感想もすばやくお書きになられて。どら猫はお先に失礼したものの他で遊びすぎて、まだ書けておりません。
お着物、素敵だと思いましたけど。鮮やかなお色で、お人形柄が可愛かったです。

投稿: どら猫 | 2007年12月16日 (日) 12時06分

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