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2007年11月 1日 (木)

芸術祭十月大歌舞伎大和屋編2

羽衣
天女/玉三郎,伯竜/愛之助
長唄囃子での羽衣。能の羽衣に忠実な玉三郎丈の独自のものと思われる。
天女と伯竜との色模様の真似事や,返す返さないのやり取りや天女の嘆きがもっと人間らしさがある振りだった記憶があるが,静謐でストイックで天女らしい天女の玉三郎丈だ。
敢えて申し上げると,その分伯竜はしどころが少ない。じっと行儀良く,或いは天女の神々しさに金縛りになっていなければならない。愛之助丈の伯竜は,美しく爽やかで胆力のある立派なものだった。
玉三郎丈は出から,観客全ての息を持っていってしまわれる。お姿もさることながら,お声の美しいことは天上の音楽を聞くよう。迦陵頻伽の声とはかくあるや。
舞はふんわり優しく美の力で屈服させるものではない。いつものように美のビームを飛ばしまくりなさらないことと,鳴り物のリズムの心地よさに,落ちておられる方多数。
気がつけば,花道に優雅に舞い昇ってゆく天女。本舞台に残る伯竜はそれを見送るばかり。

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歌舞伎

奴道成寺
狂言師左近/三津五郎
舞踊中,口上があり,玉三郎丈の一門の玉雪さんと功一さんの名題昇進披露があった。
鞠唄しか書いていなかったので続きを…。鞠唄は本当に楽し過ぎた。
ええと,中央に出ての絡みは,おまえ背が高いゾと言われる隼人丈,新悟丈,萬太郎丈,右近丈,壱太郎丈…。こましゃくれた鶴松丈,鞠と間違われるのが小吉丈のはず(^^ゞ。
恋の手習の三ツ面の踊りは,お手本のような綺麗さ。鞨鼓をつけての踊りでは,花四天との気持ちよい所作立て。 花四天を左右にやり過ごして,赤地に枝垂れ桜のぶっかえりで鐘入となる。 このメンバーで今見られたことに感謝あるのみ!

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歌舞伎」カテゴリの記事

コメント

>hitomiさま
最初の娘らしい拵えも,鞨鼓をつけた天女も,とうてい貧しい女将さんと同一人物には見えませぬ。様々な玉三郎丈を楽しめた一日でした。

投稿: とみ | 2007年11月10日 (土) 00時43分

羽衣は最初歌いながらの出だったんでしょう。3階B席では妙なる歌声しか聞こえず見えずで哀しかったです。早く放送ないでしょうか。

御園座で数年前、購入したシャンソンのCDは私のお宝です。映画「夜叉ケ池」が見たいものです。

投稿: hitomi | 2007年11月 9日 (金) 18時23分

>るるるさま
お峰の汚い方の拵えのときは,筋骨逞しく感じられましたが,羽衣では,重力を感じさせないたおやかさ。どのような筋力か,芸術を支える身体というものに感服しました。
本当にリピートなさった方がウラヤマシ~。

投稿: とみ | 2007年11月 7日 (水) 22時41分

そうですねえ。
もうね。溜息つくのに疲れてしまうほど取込まれますよね。
はふうっ^^:

舞踊公演、観たいなあ★
その日仕事と稽古のダブルパンチなのでゆけない・・・

投稿: るるる | 2007年11月 7日 (水) 11時34分

>スキップさま
先の楽しみもさることながら今のタノシミも。
すらっと美形の農夫さん,すすっと音もなく素早い後見のような動きの手代さんが微笑ましかったですね。サ行五段活用の大和屋さんでした。
それはそうと,般若湯は20歳を過ぎてからですぞえ。

投稿: とみ | 2007年11月 4日 (日) 00時22分

とみさま
「奴道成寺」は本当に楽しい舞台でした。
三津五郎さんの踊りのすばらしさもさることながら、若い所化さんたちを観ていると、この子たちが将来花子を踊り、知盛や、弁慶や、それからそれから、と楽しみはつきません。それまで元気で長生きしようっと(笑)。

投稿: スキップ | 2007年11月 3日 (土) 16時59分

>みゆみゆさま
書き進んだエントリもいよいよ怪談牡丹燈籠を残すのみとなりました。玉三郎丈のお芝居は,いつまでも記憶に残るので,ついつい暖めがちになります。
素敵な振付でした。愛之助丈も大口がお似合いで立派でした。良い香りが漂ってきそうでした。

投稿: とみ | 2007年11月 3日 (土) 00時22分

『羽衣』素敵でしたね。
素敵な玉三郎さんの天女の舞でした。

投稿: みゆみゆ | 2007年11月 2日 (金) 23時30分

>どら猫さま
江戸時代は、芝居に行ってきた人をどうだったどうだったと取り巻いて、評判を形成したとか。見たことは、見られなかった方の思いも背負っています。感謝の心の相手は、やはり全ての方です。

投稿: とみ | 2007年11月 2日 (金) 21時53分

うう、何方のエントリを見ても「羽衣」の美しさが偲ばれるので、悔しい思いをしております。夜しか見る時間がなかったのが返す返すも悔しい。我が家の悔しいに追加しておかねば。
24日の舞踏公演で、拝見できるのを楽しみに待っているどら猫でございます。

投稿: どら猫 | 2007年11月 2日 (金) 00時01分

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» 「羽衣」と「怪談・牡丹燈籠」 [薔薇・猫・映画・演劇・旅ファン]
 1カ月ぶりに芝居らしい芝居を堪能してきました。(^-^)v 子供の頃の絵本にこれがあった。講談社は高畠華宵などロマンチックな絵本を出していた。バラバラになっても「小公女」「羽衣」はとってある。 松の木に掛かった天の羽衣を手にした漁師。羽衣を返してもらうため...... [続きを読む]

受信: 2007年11月 9日 (金) 18時26分

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