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2007年10月16日 (火)

菊之助丈の高僧籠絡作戦は一勝一敗・御園座顔見世興行夜の部

7日夜の部を観劇した。麗しい菊之助丈は記憶の保ちが良いのでエントリが遅くなった。
一、歌舞伎十八番の内 鳴神(なるかみ)
鳴神上人/團十郎,雲の絶間姫/菊之助
白雲坊/右之助,黒雲坊/市蔵
時の宮廷に深い恨みを持つ鳴神は,龍神を北山の滝壺に封じ込め,雨を降らなくした。宮中一の美女・雲の絶間姫は,勅命により,色香で鳴神の法力を破ろうと,庵室に乗り込む。

雲の絶間姫が,色仕掛けで上人を破戒させる前半の色模様と,騙されたと知った上人が,怒り狂う後半の荒事芸の対比が歌舞伎味溢れる歌舞伎十八番。鑑賞教室にも登場する健康的な艶笑コメディだ。やはり,落とされるのは,このおおらかさがお似合いの團十郎が一番。
菊之助丈は,登場の粛々とした健気さ,亡夫との逢瀬を語るときの挑発的な口説,いよいよ即物的に色仕掛けで迫るときの大胆さ,貫禄があって強かで,とても若い娘とは思えないのに品位を崩さない。若さと美しさと上手さのアンバランスが菊様の身上だ。
知的に諜略を仕掛ける工作員というアプローチをなさる役者さんもおられるが,菊之助丈は,もてあます美しさで真っ向体当たり。獲物はイチコロ,簡単すぎる。純情な上人様がかわいそー。
ためらい,手加減,反省,後悔,全くないところがまたよろしい。

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二、達陀(だったん)
僧集慶/菊五郎,青衣の女人/菊之助
練行衆/團蔵,秀調,市蔵,亀三郎,亀寿,男女蔵,権十郎,萬次郎,堂童子/松緑
東大寺二月堂の「お水取り」を舞踊劇に仕立てた菊五郎劇団の人気狂言。
お水取りの儀式が始まり,僧集慶が過去帳を読み上げていると,生き霊とも幻影とも分からない青衣の女人が現れ,集慶に恋の復活を迫る。

音曲は,下座に加えて,琴,太鼓,シンバルなどの多国籍楽器により,女声,声明など聖俗混交の不思議な高揚感に満たしてくれる。
春の小袖で忽然と現れた菊之助丈は,凄絶で端正。秋の小袖に変わり,しっとりと悲しげに儚げに…。何をなさっても確かだ。
クライマックスは,青衣の女人の妄執を振り切った集慶を中心に,練行衆総出で,舞い上がる火の粉を浴びながらの群舞となる。荘厳で力強く感動的だ。
かくして,菊之助丈の高僧籠絡作戦は一勝一敗。勝っても負けてもハッピーエンド。爽やかで美しい幕切れだった。

四の切りは別エントリで…。

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コメント

>かいちょさま
実力,華,向かうところ敵なしと思われますが,脚本が負けのものもあります。ワタクシ的には全勝です。
若く美しいのに上手いというのが異星人であられます。

投稿: とみ | 2007年10月20日 (土) 09時14分

とみさま

それで一勝一敗なのですね。
なるほど~

菊之助さんは、確かですね。
あれ?っと思う演目がないです。
常に真摯ですし。
この先も、きっとよいでしょうが 「今」のよさを強く感じました。

投稿: かいちょ | 2007年10月20日 (土) 00時10分

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