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2007年10月28日 (日)

楽劇「心中天網島」近松ナウ

近松祭は本日だが,イベントの一環として楽劇の祭典「心中天網島」を27日(土),尼崎ピッコロシアターで鑑賞した。
脚本・演出・近松門左衛門/玉井敬友
大夫/豊竹英太夫,三味線/鶴澤清友
尺八/福本卓道,民族楽器/ヤススキー
小春・おさん/古澤侑峯,紙屋治兵衛/上村吉弥

近松の代表作「心中天網島」の異種芸能コラボレーション。
北新地河庄の段,天満紙屋内の段,大和屋の段,道行き名残の橋づくしと休憩なしの1時間40分。基本は義太夫だが,全段だと半日かかりとなるため,近松さんに扮した玉井さんが語り,民族楽器と尺八にのせて創作舞踊を連れ舞う。上村吉弥丈は,26日まで歌舞伎座にご出演だったので,東京で3日間で振りを付けられたとか。
先に書いてしまう。
吉弥丈の紙屋治兵衛にくぎづけ!きゃー,きゃー,わー,わー。
実はワタクシは,紙屋治兵衛を,坂田藤十郎丈,吉田玉男さん,桐竹勘十郎さんしか拝見したことがない。歌舞伎の紙治の形は,藤十郎丈のやたけた,むちゃくちゃ,わや,難儀なお人,大坂の男に巣くう自己崩壊プログラムという人物造形が刷り込まれていた。この作品は,舞踊劇なので,象徴的に創ってあった。
そこまで誉めることはないと言われても,あてにはそう見えましたんやかから誉めますわいな。源太の首,28歳,玉男さんが遣われた紙治みたいでしたで。
きりっとしてて,色気があって,別に死なんならんことあらへんのに死神に取り憑かれたはる。見果てぬ夢と消え果てた男盛りに見えましたな。

吉弥丈の紙治を歌舞伎で観たい!おさんは間違いなくサイコーやろし,いつか演っていただけると思うが,小春もイケまっせ。けど,とにかく治兵衛!

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歌舞伎

ぜーぜー。
名台詞と聞かせどころは,浄瑠璃だ。英大夫さんの腹力のある暖かい語りと,清友さんのきっちりした演奏を堪能した。
冷静に記述すると,素浄瑠璃,浄瑠璃と舞踊,民族音楽と舞踊,語りで進められる。耳から脳内で構築される人形振りと,二人が同時に動くこともある振りに違和感があったか。また,小春とおさんを同一人物で演じるということは,匿名性に挑戦することに他ならない。この浄瑠璃の主題の一つは,「女同士は相身互い」,「あてが立ちます」というキーワードに集約される。小春とおさんは,立場が異なっただけで,義理と意気地に生きる同じ大坂の女だ。ありえないメルヘンではない。互換性のある同じ女を,命懸けて見変えてしまった治兵衛の皮肉な選択に迫って欲しかったところだ。
見果てぬ夢と消え果てたこそ,近松に永遠の生命を与えられ,愛され続けるというメインの主題は,全くぶれていなかっただけに惜しい。
近松をこよなく尊敬し,近松に心酔しておられる玉井さんの思いは熱く伝わった。ええもん見せてもろたことに感謝!

追記
ムンパリさまとプチオフ会させていただき,楽しい時間を過ごせました。ありがとうございました。吉弥丈よろしやろという連呼にご納得頂けましたでしょうか。

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コメント

>ムンパリさま
近松の最高傑作と言われながら人気と影響力は曽根崎の後塵をけがしている紙治。初めから心中ありきというプロットもさりながら、どちらと心中しても差し支えないという運びが怖いです。鬼だ。
とうとう言うてしまいますが、上方男の恋を舞台上に具現化し、全国区に出来るのは、頬かむりの中に日本一の顔が必要です。400人しか見なかったのはもったいない限り。公式にお写真アップを待ちましょう。

投稿: とみ | 2007年11月 1日 (木) 21時45分

とみさま。
すばやく、するどく、あつ〜いレポ、さすがです。
> 「女同士は相身互い」,「あてが立ちます」
ひゃあ、すっごくわかりやすい言葉です。
>治兵衛の皮肉な選択に迫って欲しかった
はぁ〜、そうなんですね! そこまで深くは私も読めませんでした。出直します(笑)。
それにしても、吉弥さんはほんとに色気があって素敵でした。こんなエエ男をふだんはしまってあるなんて。もったいな〜い!!(笑)

投稿: ムンパリ | 2007年11月 1日 (木) 00時54分

>どら猫さま
吉弥丈がオトコマエやったとしか書いてません(爆)。これから,源太は全部吉弥丈のお顔に置き換えて文楽観ます。玉女さんの治兵衛はきっと吉弥丈のようでしょう。妄想ふくらみます。

投稿: とみ | 2007年10月28日 (日) 23時54分

>藤十郎さま
コメントありがとうございます。秋に逝かれた近松さん,玉男師匠,思いを馳せながら,演じられ継承され続ける近松を拝見することは,限りなく贅沢です。
紙屋治兵衛を本舞台で吉弥丈が演じられる日は無くとも,おさんはきっと実現すると思われます。忘れません!
オトコマエでしたで~♪

投稿: とみ | 2007年10月28日 (日) 23時45分

相変わらず気の利いたエントリで、感服いたします。吉弥さん、本当に素敵でしたね。どら猫も歌舞伎で治兵衛を拝見したいと思いました。しかし、3日の振り付けであそこまでやれる演者の力ってすごいです。

投稿: どら猫 | 2007年10月28日 (日) 23時06分

もうこのごろ、「行きたいなぁ」「行けたらなぁ」の繰り返しです。
この催しもいろんな意味で面白そうだと思っておりました。
それにしても、美吉屋さんの治兵衛というのは想像しただけでぞくっとします。さぞかし実際はよろしかったのでしょう。
地が二枚目なので、素顔で出はっても大丈夫(というわけにはまいりませんか)。
いいプロデュースされましたね、河内さん。

投稿: 藤十郎 | 2007年10月28日 (日) 22時46分

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