クィーン
クィーン THE QUEEN
2006年/イギリス、フランス、イタリア
監督:スティーヴン・フリアーズ
脚本: ピーター・モーガン
出演:ヘレン・ミレン,マイケル・シーン,ジェームズ・クロムウェル
第79回アカデミー主演女優賞にヘレン・ミレンが輝いた話題作。
1997年8月31日,元英国皇太子妃ダイアナは,フランスのパリでパパラッチ達に追われ,恋人とともに事故死した。世界の様々な憶測や思惑に対し,クイーンとして誇りと使命感をもって毅然と沈黙を守ったエリザベスであったが,英国王室は国民から孤立する。そんなエリザベスに敬愛をもって客観的な進言を行ったのが首相に就任したばかりの若きブレアであった。
政治劇にも愛憎劇にも陥らず,天命として全てを国歌と神に捧げた謙虚な女性の苦悩を,ストイックに品位を持って映像化したヒューマンドラマだ。
物語中,クイーンは,美しい牡鹿が狩人に射殺された姿をダイアナに仮託し,肩を震わせる。女神ダイアナはエンディミオンを牡鹿に変え弓矢で射殺すが,ダイアナ妃は,マスコミという狩人たちに追われ無惨に果てた。あからさまに感情を見せないよう自己に課してきた魂の気高さを象徴的に表現した作り手の良識が素敵だ。
ダイアナ妃の葬儀の映像は本物。ルチアーノ・パバロッティ氏のお姿も見うけられた。合掌。
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コメント
>hitomiさま
浅学の徒のワタクシには、英国民と王室との関係の在り方について全く言及できる知識はありませんが、国民が求める王室像が変わったことを納得なさる心のゆらぎが美しかった。
ただ、ど庶民としては、会ったこともない人、知らない人のために泣けるのは確か。そこのレトリックがちょっと甘めでした。鹿のためだって泣けますもの…。
投稿: とみ | 2007年9月 9日 (日) 17時09分
ヘレンが見事でテレビドラマのエリザベス1世もみました。その前にフツーの主婦がヌードカレンダーを撮る映画も観たのですがそのときはこんな有名女優とは知りませんでした。日本ではこういう映画が作れそうもないのが寂しいです。TBさせてください。
投稿: hitomi | 2007年9月 9日 (日) 09時55分