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2007年9月 4日 (火)

松竹大歌舞伎中村信二郎改め 二代目中村錦之助襲名披露2日びわ湖ホール

平成19年(社)全国公立文化施設協会主催 西コース松竹大歌舞伎
中村信二郎改め 二代目中村錦之助襲名披露
2日(日),昼の部を,至近のびわ湖ホール中ホールで鑑賞。本公演でもめったに揃わない素晴らしい演目をそろえて来られた。梅枝丈と隼人丈も来はったし~。3月中旬に情報を得て,待つこと約半年,待ちに待った甲斐のある充実と暖かさのある公演で寿命が延びた。

一 正札附根元草摺(しょうふだつきこんげんくさずり)

   曽我五郎時致/玉太郎改め松江,小林妹舞鶴/梅枝
五月人形のように華やかな拵えの曽我五郎時致と,素襖に力紙,紅白梅の飾りつきの烏帽子姿に太刀をはいだ小林朝比奈妹・舞鶴。時蔵丈が梅枝さんの時代が思い出され,美しさと清新さで潤々になった。こんなんやったんや~。表情に硬さはあるが,所作の切れ味が良く,颯爽,すっきり,上品,クラシカル。名のとおり,ほころぶ白梅のようなかぐわしさ。
松江丈は血気に逸るという印象が薄めの方だが,華やかな立ち姿で映りもよろし~。
二 二代目中村錦之助襲名披露口上
  信二郎改め錦之助,幹部俳優出演
  時蔵,隼人,松江,錦之助,梅玉,松緑,梅枝,錦吾,東蔵

座頭が梅玉丈なので,おっとりほんわかとした口上となった。 松江丈のご披露でもある。これだけ,各ジェネレーションのオトコマエを揃って一度に見る機会は無いゾ!
幼くして花の盛りのお父上を亡くされた萬屋兄弟を,親代わりとして育て上げられた先代の功績とお人柄をしのぶ麗しいものだった。もちろん,新錦之助丈は,錦絵から抜け出したようなまばゆさ。一回見たら忘れない!

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歌舞伎

三 番町皿屋敷(ばんちょうさらやしき) 岡本綺堂作
  青山播磨/梅玉,腰元お菊/時蔵,腰元お仙/梅枝
  放駒四郎兵衛/信二郎改め錦之助,渋川後室眞弓/東蔵

Nec_0292旗本白束組の青山播磨と腰元のお菊は,主従の身分を超えて愛し合っているが,播磨の縁談にお菊は気もそぞろとなる。お菊は,家宝の皿を手づから割り,播磨の心を試すが,真を疑われた播磨は逆上し,お菊を手打ちにする。
岡本綺堂氏が各地に伝わる皿屋敷伝説を,彦根藩での実話をモデルに,大正ロマン溢れる恋愛至上の戯曲に改作した皿屋敷ものの決定版とか。
真の恋なればこそ手打ちじゃ!分かっておりまする。
筋運びだけ聞けば,短慮,理不尽&身勝手の権化のような播磨のビヘイビアだが,当代ベストキャストにかかると,二人には最も相応しい恋の終わり方であったとナットクさせられてしまう。
放駒の錦之助丈は,ウエービーヘアーの鬘が細面に映え,ド派手な着流しもキマリ。おみ足の露出があればなおよろしと期待してはいけないかしらん。朋輩の腰元のお仙ちゃんの梅枝丈は,隣に御父君がおられなければ,充分にいい役者さんに見えるが,並ぶと完敗。厳しい試練を課せられておられるのも見どころ。

四 戻駕色相肩(もどりかごいろにあいかた)
  吾妻の与四郎実は真柴久吉/信二郎改め錦之助
  禿たより/中村隼人
  浪花の次郎作実は石川五右衛門/松緑

襲名披露狂言に,松緑丈がこの上ない助っ人としての合力。京の春の野辺。駕籠かきの吾妻の与四郎と浪花の次郎作,島原の禿も加わり,あれこれあって,実は,与四郎は真柴久吉,次郎作は石川五右衛門と正体を現し,ぶっかえって絵面引っ張りの見得。
歌舞伎らしすぎる。
浅葱の頭巾が似合いの錦之助丈,パワフルで憎体の松緑丈。隼人丈の禿は長身小顔がきつそうだったが,一生懸命でマル。

これほど見たい演目と座組揃いという公演も稀。こういうのが見たかったんや!松羽目かんにん!もう顔見世見られへんかっても思い残すことはあらしまへん。
盆と正月が一度に来たようなびわ湖ホール。隣の大ホールでN響を続けて聴くという愚を犯した。出待ちをしてサインいただこうと色紙にお写真セットのうえ,江戸前の縞柄の紬なりとめかし込んでのぞんだが,音圧に撃沈しぺしゃんこになった。あー,錦之助丈は小松へ…。

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コメント

>悠さま
>戻籠がおもしろかったです
>番町も、大正の心理劇ってこうなんだよな、でも、播磨、短気ですよね
豪華な巡業でしたね。大抵松羽目ものひとつは含まれるのですが…。お江戸の方から御覧になると地味だそうです。水準の違いが悲しいですが,めげずにありがたく鑑賞します。
鳥辺山,修善寺,皿屋敷…。みな,凡夫凡婦の行動原理と掛け離れた論理で動き,美しい台詞で語り上げますね。子供の頃夢中になりました。
うそでぇと思いますがお二人は説得力ありましたねぇ。

投稿: とみ | 2007年9月 5日 (水) 12時46分

とみさん、昼でしたか。私は、夜でした。
私は戻籠がおもしろかったです、番町も、大正の心理劇ってこうなんだよな、でも、播磨、短気ですよね、女性も、男性も、やっぱり短気にふりまわされてるほうが、幸せかも、などとみてました(笑)

投稿: 悠 | 2007年9月 5日 (水) 00時16分

>cocoさま
田舎者には刺激が強すぎた一日でした。
>萬屋の親子二組共演も、年をとる楽しみ、
時蔵丈のお若い頃よりおっとりと素直そうな面持ちですが,手に負えない悪ガキにも見えてええ感じです。
隼人丈は歌舞伎役者にするのが惜しいような…。
松戸が楽しみですね。
23日に歌舞伎座の予定です。次の日も行きたくなってしまうではございませんか。

投稿: とみ(風知草) | 2007年9月 4日 (火) 23時56分

>asariさま
>襲名なのにイマイチ地味か?
えー。地味なのですかぁ。正札は南座で玉三郎丈と海老蔵丈の組み合わせで拝見しましたので,ド派手な演目と思ってました。皿屋敷は井戸から化けて出るバージョンよりこちらが好きです。
おそらく,江戸歌舞伎にしては地味,上方歌舞伎を見慣れた者には派手というラインでしょうか。
>ご挨拶が遅くなってしまい申し訳ありませんm(__)m
24日が凱旋公演でしょうか。23日に歌舞伎座に行く予定をしていますので,24日は気になるところです。皆様立派になっておもどりのことでしょう。

投稿: とみ(風知草) | 2007年9月 4日 (火) 23時47分

とみさま、

西コース満喫された様でナニヨリです(^^)
本当に歌舞伎らしさに溢れた良い狂言立てですよね。
襲名なのにイマイチ地味か?と僻み気分だった錦之助さんのお役が、どれもトビキリ素敵だったのも嬉しい誤算(?)でした。

先日歌舞伎座でお目にかかってから既に1月近く…。
ご挨拶が遅くなってしまい申し訳ありませんm(__)m
またどこかの劇場でお目にかかれるのを楽しみにしています。

投稿: asari | 2007年9月 4日 (火) 23時09分

先にオケのエントリが上がっていらしたので、「こ、これはもしやご覧になれなかったか!」とドキドキしていました・・・ とりあえず、こちらを先にご覧になっていらしたのですね、ほっとしました。

>>出待ちをしてサインいただこうと色紙にお写真セットのうえ,江戸前の縞柄の紬なりとめかし込んでのぞんだが

まぁまぁ、そこまでとは・・・ 返す返すもザンネンでしたねー。とみさまの無念を胸に、24日の松戸千穐楽では代参つかまつらん~(*^.^*)

「十二夜」の大篠左大臣とは一味違う、襲名してさらに男前になった錦之助丈をご堪能いただけたと存じます。萬屋の親子二組共演も、年をとる楽しみ、なんてことも考えたりして(^^;

投稿: coco | 2007年9月 4日 (火) 22時22分

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受信: 2007年9月 5日 (水) 00時23分

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