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2007年8月13日 (月)

八月納涼大歌舞伎初日第二部

開幕前に完売になっている第二部。渡辺えり子さんへの期待の高さがうかがえる。これは,「今昔桃太郎」の完全勝利と中村勘三郎丈の新しい試みへの期待に他ならない。開幕前に勝負は決したのだ。
運よく初日,拝見できることとなったので,心して鑑賞し,ネタバレなしで書ききる。
一、ゆうれい貸屋(ゆうれいかしや)
配役
桶職弥六/三津五郎,辰巳芸者のゆうれい・染次/福助,家主平作/彌十郎,ゆうれいお千代/七之助,魚屋鉄造女房・お勘/右之助,隣人・魚屋鉄造/秀調,弥六女房お兼/孝太郎,ゆうれい又蔵/勘三郎
あらすじ
桶職の弥六は,怠け者で,働き者の女房に去られた。目覚めると粋な姐さんが家屋内に居る。女は,辰巳芸者・染次のゆうれいで,弥六に惚れたので女房にしてほしいと言う。生来の怠け性に叶った暮らしをさせてもらえるので,夫婦同然の暮らしを始めるが,さらにゆうれい貸屋という儲け話を思いつく。恨みを持った人に幽霊を貸し出そうというものだが,屑屋のゆうれい又蔵や浮気娘のゆうれい千代など,とんでもない連中が集まり,商売は大繁盛するが…。

山本周五郎原作のシニカルなブラックコメディ。歌舞伎では,48年ぶりの上演とか。福助丈の粋な辰巳芸者のゆうれいという役どころが,このうえなくはまるので,たっぷり楽しめる。貸し出されるゆうれいの老人の権一丈,隣家の魚屋夫婦など,素敵なキャストが江戸情緒を盛り上げてくださる。

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歌舞伎

二、新版 舌切雀(したきりすずめ) ―花鳥の森・夏の星―
配役
人間
強欲婆・玉/勘三郎,その子息・森彦/勘太郎,森彦の嫁・お夏/七之助,村長/秀調,小人・与太郎/三津五郎
鳥等
雀・すみれ丸・蓮の精/福助,鷹蔵/彌十郎,孔雀王/孝太郎,鶴姫/芝のぶ,雀・芥子丸/松也,ひばり/新悟,梟の局/亀蔵,鷲丸/市蔵,雉/高麗蔵,蚊ヨ/扇雀  
あらすじ
鳥の世界の夏の森。今宵は,外国からの賓鳥を招いての歌と踊りのフェスタだ。しかし,森一番の歌い手・すみれ丸の姿が見えない。程なく,彼は舌を切られ歌を失った哀れな姿で帰還した。いろいろあって…。強欲な玉婆が,大きなつづらをよこせと,鳥の世界に侵入してくる。

『今昔桃太郎』で大評判を得た渡辺えり子氏と中村勘三郎丈が,再びタッグを組む。舌切雀の世界に,ナルニア国物語など古今東西のファンタジーをコラージュし,人間性の回復や,自然との共生などの壮大なテーマをスパイスに,欲をかくとろくなことにならないというベーシックな教訓に回帰したアイロニカルな寓話である。
ひびのこずえさんのお意匠が可愛らしく,お衣装だけでも笑える。笑えるだけでなく,実はお似合いだ。笑いに対する真摯な取り組みにも敬服する。
楽しませていただいたことに感謝し,渡辺さんの力量を最大限に讃えたうえで,一つだけ注文がある。歌舞伎としていかがかという議論には,参加できる素養が皆無なので,置いての発言だ。役者の心身の美しさ及び身体能力等,演者の美と技術をお見せするという基本に忠実に作劇していただきたい。

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コメント

>cocoさま
これは,夏祭。壮大気宇なメッセージ,はけ口のない現代の病理への怒りなどのテーゼ&アンチテーゼを4つ5つ削除し,楽しみながら玉婆をボコボコに叩きのめせばすっきりすると思われます。

投稿: とみ | 2007年8月14日 (火) 21時04分

拙ブログへのコメント&TBありがとうございます(^^)
おっしゃるように、「今昔桃太郎」の出来からの期待感、というのがこの完売状態の原因のひとつ、かと思います。私も笑える楽しい二部、を期待していた初日・・・

「舌切雀」の明るい舞台装置、衣装、楽しげな雰囲気に期待が高まった開幕に ・・・なにやらどの場面も消化不良感が残り、後半は笑えなくなってしまいました。あれだけの座組みで装置が揃っていて面白くならないはずがないのにどうしてだろう、もったいない・・ という気分です。が、毎日のように渡辺えり子さんも劇場においでのようですので後半へ向けてすっきり楽しい舞台となるよう、祈る次第です。もちろん、とみさまご指摘の

>>演者の美と技術をお見せする

という点、まったく大賛成!!!!それが「もったいなーい」の気持ちの原因かも。

投稿: coco | 2007年8月14日 (火) 13時02分

>六条亭さま
初日一度切りと割り切っての鑑賞です。それ以降は升酒のこぼれ酒。無くともよし,頂ければさらに良し。本当のうま酒を知らない貧乏人の戯言です。続報楽しみにしております。
対照的なのが第一部の磯異人館。ここで舞台回さんかったら舞台監督にトマト爆弾やと思っていましたら回り,期待どおりの風景が現れました。それまでも裏表にしつらえてあったはずなのに,必然が無いから回してないのですよ。ブラボー。
また,尾上菊之丞氏の回り舞台をヴィヴィッドに使うお手並みは,レ・ミッズのジョン・ケアード氏と互角であられます。
ぜひ,第一部のご観劇をオススメします。

投稿: とみ | 2007年8月13日 (月) 22時35分

早速とみさまの感想を拝見しました。

一回の観劇で、よくそこまで内容を理解されたと関心いたしました。私など話の展開が見えず、居心地が悪くついて行けませんでした(笑)。

ご指摘の通り、歌舞伎役者としての身体能力を美しく見せるという歌舞伎舞踊の基本を守っていただきたいですし、定式幕と黒衣の扱いにも疑問を感じました。

私は後半再見しますので、手直しを期待したいです。

投稿: 六条亭 | 2007年8月13日 (月) 21時56分

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さてさて、この第二部だけ連日完売状態ということで大人気となっていますが、どうなり [続きを読む]

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