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2007年8月13日 (月)

八月納涼大歌舞伎初日第一部

11日(土),歌舞伎座初日第1部を観劇した。いずれも2度目の上演で,さわやかな気分になること確実。暑い日には歌舞伎座に行ってみよう。
一、磯異人館(いそいじんかん)
配役

薩摩藩のガラス職人・岡野精之介/勘太郎,人質となっている琉球国の王女・琉璃/七之助,薩摩藩士外交方・五代才助/猿弥,精之介の弟で武闘派・岡野周三郎/松也,英国人技士・ハリソン/亀蔵,薩摩藩士・折田要蔵/家橘,薩摩藩士集成館総裁・松岡十太夫/橋之助
あらすじ
明治維新前夜。生麦事件を引き起こした薩摩藩士・岡野新助の長男精之介は,藩の御用工場・集成館で働くガラス職人だ。弟の周三郎は,集成館の警護役で,武芸で身を立てようと考えている。琉球国の王女・瑠璃は人質として集成館総裁・松岡十太夫の養女の身分で,精之介に心を寄せていた。
精之介は,藩で外務を担当する五代才助から,薩摩切り子のパリ万博出展と精之介のヨーロッパ留学を勧められ,瑠璃王女に夢を語る。
しかし,イギリス人技師のハリソンから,瑠璃を妻にという話が持ち出され,二人の恋はあっけなく引き裂かれる。

集成館を舞台に,激動の時代を懸命に生きた若者達を描く,骨太で清冽な作品だ。装置が,集成館の居間,工房,テラス,玄関とよく出来ているうえ,回り舞台としてのセオリーに忠実な回し方が良心的だ。
何より,主人公が,勘太郎丈のために書かれたようなはまり役。健気で正直,ひたむきでピュア。七之助丈も光っている。ヒロインが琉球の王女という設定のため,お衣装があでやかな黄色の紅型。これが痩身の七之助丈に似合う。あんたが悪い!短気な弟の松也丈も長いおみ足と美声で可愛いから許す。猿弥丈は説得力,忍耐,胆力,先見性のある好漢を好演。
気持ちよく泣けるよう作劇されているので,勘太郎丈ファンなら,あっさり降参して泣こう。日本手拭い一本分は泣ける。

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歌舞伎

二、越前一乗谷(えちぜんいちじょうがたに)
配役

小少将/福助,朝倉義景/橋之助,愛王丸/鶴松
羽柴藤吉郎/勘太郎,式部大輔/亀蔵
郎党/七之助,松也,新悟,市蔵,高麗蔵,彌十郎,三津五郎,勘三郎
あらすじ
戦国の世,五代続いた名門・越前領主の朝倉義景は,戦に勝ち抜くより文化を愛する雅な武将だった。織田との戦は避けられない。従兄弟・式部に寝返られ,越前一乗谷は灰燼に…。愛妾の小少将と一子愛王丸を残して義景は自刃する。

水上勉作,尾上菊之丞が流麗な舞踊劇に仕立てた作品で,歌舞伎座では初めての上演となる。中央が小高くなった盆とせりを活用した抽象セットが美しい。扇を剣に見立てた騎馬武者の一騎打ちを舞う勘三郎丈と三津五郎丈,颯爽と登場する勘太郎丈,義景と共に早掛けする騎馬武者群の若者たち…。エキサイティングだ!
主人公二人の舞に叙情的かつ哀切な情感が漂えば,素晴らしい作品だ。
箏曲も流麗でマル。

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コメント

>ぴかちゅうさま
ウェルメイドなお話ですが,主演が説得力があれば映えるものと感動しました。
>せっかくいい気分で出てきたのに、二部終演後は一部二部続けて観なければよかったなぁと思ってしまったのでした。それが残念!
そういうときは三部まで見るとよいように思われます。
続けてのご見当をおまちしています。

投稿: とみ(風知草) | 2007年9月 3日 (月) 02時04分

観劇日程をこなすだけで気力体力チャージを使い果たし、感想アップが滞り気味でお恥ずかしい次第のぴかちゅうです。
一部は若手中心の2本とも楽しめました。「磯異人館」は初演の勘九郎よりも今回の勘太郎の方がよかったんじゃないかなぁとオフ会で盛り上がっていました。その記念に精之介/勘太郎と琉璃/七之助のツーショットを1枚買いました。納涼はこの1枚だけにしたので扱いの破格差をご理解いただけると思います(^^ゞ
「越前一乗谷」は若手の騎馬武者の群舞が素敵でした。そのあとで勘三郎・三津五郎の一騎打ちだし、橋之助・福助もよかった。この作品が一番予想を裏切ってくれました。
ただ、せっかくいい気分で出てきたのに、二部終演後は一部二部続けて観なければよかったなぁと思ってしまったのでした。それが残念!

投稿: ぴかちゅう | 2007年9月 2日 (日) 00時19分

>cocoさま
釈迦に説法。失礼致しました。
ものわかり良すぎ甘すぎ。角が取れてつるつるになった金平糖みたいなおとみでございます。
レ・ミッズはこじつけですが,主演が立っていると時代ごとの集団がまわってきてもみくちゃになって拵え変わり,また次の集団がまわってくるという,一瞬でも寝たら終わり(笑)という演出あります。
真ん中が高くなった盆ははじめて見ましたが,ご出演のみなさんの負担は大変なものと想像されます。

投稿: とみ | 2007年8月14日 (火) 20時38分

酷暑の東京遠征の最終日、歌舞伎座制覇はたいへんおつかれさまでした<(_ _)>

第一部はすっきりと納涼らしい幕開けとなった初日と思います。とくに、20年ぶりという「磯異人館」は主役にハマリ役の勘太郎さんを得て松竹がプロモーションにつとめたのもわかります(^^)

「一乗谷」はせりをつかったり廻り舞台を駆使したりという、大舞台と役者を生かした舞踊劇、だったのですが暗い客席はちょい苦手です・・・(-.-; 尾上菊之丞さん、レ・ミゼの演出のコトご教示ありがとうございました♪

こちらからもTBさせていただきました♪

投稿: coco | 2007年8月14日 (火) 12時42分

>とおりすがりさま
脳内巻き戻し再生致しました。
確かにあのエロオヤジが勘太郎丈でした。はい,間違いございません。
この舞踊劇,本当に素敵です。小少将/七之助丈,朝倉義景/勘太郎丈で再演希望!

投稿: とみ | 2007年8月13日 (月) 23時34分

こちらこそ、くだらないことをいちいち指摘しまして申し訳ありません。
実は私も勘太郎丈の大ファンでして。
大ファンゆえ、エロ爺;;役の勘太郎もちゃんと認識していただきたかった、というのが本音であります。
いかがでしたでしょうか(笑)。

投稿: とおりすがり | 2007年8月13日 (月) 23時08分

>とおりすがりさま
ご覧頂きありがとうございます。
はい,正直三階で観劇しました。「さっそう」は全て勘太郎丈に見える勘太郎丈ファンです。若者が駆けるシーンはのぼせて見ておりました。
七之助丈の美しさと健気さにも参ったところでした。刮目して拝見致しまする。ありがとうございました。

投稿: とみ | 2007年8月13日 (月) 21時54分

たぶん見間違いだと思うのですが・・・
一乗谷で「さっそうと登場する」のは勘太郎ではなくて七之助では?
二人はとても似ていますものね。
勘太郎は、義景の死後、福助に迫るいやらしい藤吉郎役なので、普通「さっそう」とは見えないと思います。余計な指摘でしたらご削除ください。

投稿: とおりすがり | 2007年8月13日 (月) 21時28分

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 初日の今日、第一部と第二部を続けて拝見してきました。筋書をまだ購入していないた [続きを読む]

受信: 2007年8月14日 (火) 12時31分

» 07/08/19 納涼歌舞伎一部?「越前一乗谷」 [ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記]
{/face_en/} 納涼歌舞伎一部2つめの演目は長い舞踊劇なので居眠り防止にイヤホンガイド!眠気にも襲われることなく、けっこう楽しんで観ることができて大正解!! 【越前一乗谷(えちぜんいちじょうがたに)】 本興行では初めての上演で、水上勉が台本を書き上げ、尾上菊之丞が流麗な舞踊劇に仕立てた作品とのこと。あらすじは公式サイトよりほぼ引用。 「越前領主の朝倉義景は、織田信長方に寝返った従兄弟の式部大輔景鏡らに追いつめられ、妻の小少将と一子愛王丸を残して自刃。非業の最期を遂げた義景も壮絶なら、生き残り... [続きを読む]

受信: 2007年9月 1日 (土) 23時28分

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