« 300 | トップページ | 吉弥結び完成 »

2007年6月16日 (土)

バベル

モロッコの砂漠をゆく合衆国観光客を乗せたバスに一発の銃弾が打ち込まれ,夫婦で旅行中の妻が肩に重傷を負った。
合衆国で働くメキシコ人のハウスキーパーは,息子の結婚式のため帰郷したいが,依頼人が戻らない。仕方なく,姉弟を連れてメキシコに越境する。
日本の聴覚障害を持つ女子高校生は,父一人子一人。超高層マンションに住み,父には愛されているが,孤独感に苛まれ,奇矯な行動を起こす。
世界3カ所で脈絡無く始まるストーリーが,やがてある物により関連づけられる。
旧約聖書のバベルの塔の枠組みを借り,言語を乱され,お互いの意思疎通を阻害されている人間たちが,痛みと絶望の中から一筋の光りを見出す物語である。

砂漠の遊牧民は旧約聖書の時代とさして異ならない生活文化を維持しているが,訪れる合衆国観光客は異邦人である。厳然とした人種による格差社会が構築された現代の合衆国。遊興と無神の街・現代の東京は,さながら,神が滅ぼそうとしたソドム,ゴモラであるかのよう。
贔屓目抜きにしても,最も光っていたのはチエコを演じた菊池凛子さんだ。命に関わる孤独の深さに打たれずにはいられない。また,ハリウッド大スターが演じる普通の夫妻というのも,もったいないけどよいものだ。さらに,モロッコの兄弟も健気,エル・ファニングちゃんと弟役の少年も可愛く,当然とは言え,少年少女の存在が時代を超えて,赦しと救いになっている。

|

« 300 | トップページ | 吉弥結び完成 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: バベル:

« 300 | トップページ | 吉弥結び完成 »