花組芝居・かぶき座の怪人
花組芝居20周年記念公演は「かぶき座の怪人」から!
新神戸オリエンタル劇場に何とか潜り込んだ。脚本は,2001年版を基本に時点修正されたものだ。
脚本:福島三郎,加納幸和,演出:加納幸和
配役
九重八重子(文明座の女優)/加納幸和,色出しのぶ(文明座の新進女優)/植本潤,春杉夏希(欲望列車を十八番とした文明座の大女優)/北沢洋,男女川恋助(歌舞伎界の風雲児と称される俳優)/山下禎啓,男女川恋松(恋助の芸養子)/小林大介,玄上乱十郎(歌舞伎界の看板役者)/水下きよし,玄上乱太郎(乱十郎の子息)/嶋倉雷象,六代目宇治乃川霧(かつての名女形・かぶき座の怪人)/八代進一
あらすじ
天地座の今月の舞台は,文明座の「欲望列車」で,今全盛の新劇女優・九重八重子の楽屋には,評論家,台湾のルポライター,先輩女優,かつての愛人達と,様々な人物が訪れていた。多くの男達と恋を重ねてきた八重子も52歳だ。次月は歌舞伎公演「恋助十種の内 姥ケ池」で,稽古が行われている。
かねてから噂があった六代目宇治乃川霧の亡霊が出るという噂はどうやら本当らしい。新任の天下り支配人に川霧からの手紙が届いた。
そんななか,恋助が病に倒れ,恋松が「姥ケ池」の主演・鬼女を務めることとなる。
![]() 演劇 |
タイトルから「オペラ座の怪人」のパロディのバックステージものかと思われるが,一筋縄ではゆかない複雑な構成と強烈なメッセージの脚本・演出だ。
「オペラ座の怪人」は枠組にしっかり反映されている。ろうそくの代わりに提灯,東桟敷の5番席を空けておくようにという手紙は勿論,マスカレードもどきもある。劇中劇には,「欲望という名の電車(欲望列車)」,歌舞伎の「京鹿子娘道成寺」,「俊寛(愛の鬼界ヶ島)」,スーパー歌舞伎「黒塚(姥ヶ池)」などのパロディが楽しい。登場人物も実在人のパロディであるが,野田秀樹さん,寺島しのぶさん,平井賢さんのように新しい方もある。
演劇界に巣くう新旧及び血筋と芸の力量の葛藤や,色欲の連鎖,演劇評論家や天下り役人の節操の無さなど様々なメッセージをぎゅーぎゅーに詰め込んでおられるが,基本は厳しい芸と奔放な恋に生きた八重子をめぐる母恋いの物語でしっかり泣かせてくれる。
1989年初演の小劇場から巨大な商業演劇に挑戦なさった熱さは,メジャーにおなりの今は沈静化されているが,何より演劇創設以来,現在過去全ての演劇にかかわる人たちへのオマージュに満ち満ちて感動的だ。
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コメント
>みどりさま
小劇団のみなさんの精進と奮闘を拝見するにつけ,夢に向かって生きておられることを尊敬せずにはいられません。
こまめなみどりさまのブログを拝見させてくださいませ。キャッツ情報も楽しみにします。
投稿: とみ | 2007年4月 8日 (日) 22時21分
こんにちは、TBありがとうございました。
こちらからもTBしようとしたのですがなぜか
エラーになってしまいできませんでした。
ごめんなさい。
お芝居お好きなんですね、私も好きですが歌舞伎はまだまだ初心者です。
またおじゃまさせていただきます。
投稿: みどり | 2007年4月 8日 (日) 09時18分
>スキップさま
勤め人が前売り買えるわけないやろなと突っ込みを入れたくなるスケジュールでしたがなんとかで拝見できました。神戸へ向かう欲望列車に乗ったときは嬉しかった~。
加納さんの若い演劇人を育んでおられる生き様と重なります。あのシーンは,分かっていてもどぼどぼに泣かされました。
今年は花組芝居から目が離せません。
投稿: とみ | 2007年4月 6日 (金) 12時38分
とみさま
またニアミスでしたでしょうか。
3歳から歌舞伎を観ていらっしゃるという加納さんの叡智も思い入れもあふれる舞台でした。
花組芝居はほんとに久しぶりで、知らない若い役者さんが沢山入っていて、しかも舞台でご活躍なさっているのはうれしい驚きでした。私にはいささか盛りだくさんで、整理して再度観劇希望です。
投稿: スキップ | 2007年4月 6日 (金) 01時35分