« YOMIURIONLINEに「芸の真髄」シリーズの第1回公演「文楽太棹 鶴沢清治」の記事が掲載 | トップページ | 浪花花形歌舞伎第二部「雨の五郎」,「色彩間苅豆」,「曽根崎心中」 »

2007年4月10日 (火)

浪花花形歌舞伎第一部 「敵討天下茶屋聚」

7日(土)観劇した。魅力的な敵役が活躍する仇討物の人気狂言。大坂らしい演目ということとで楽しみにしていた天下茶屋はいかに!
浪花花形歌舞伎第一部 
敵討天下茶屋聚(かたきうちてんがちゃやむら)
序 幕 四天王寺の場
二幕目 東寺貸座敷の場
大 詰 福島天神の森の場
     天神の森川下の場
     天下茶屋村松並木の場
     同 敵討本懐の場
配役
安達元右衛門・片岡造酒頭/翫雀,人形屋幸右衛門/進之介,東間三郎右衛門/愛之助,安達弥助/薪車,早瀬源次郎/亀鶴,染の井/孝太郎,早瀬伊織/扇雀
あらすじ
関ヶ原の合戦の後の大坂。岡山藩で家老職を務める父を闇討ちにされた早瀬伊織と源次郎兄弟は,下僕の元右衛門と弥助兄弟を供に,敵・東間三郎右衛門を追って大坂に出てきた。酒乱癖のある元右衛門は,東間の計略に嵌り酒を飲まされ,四天王寺境内で大騒動を起こし解雇される。
元右衛門は東間に寝返り,座頭のふりをして早瀬兄弟が潜伏する東寺の長屋に侵入し,弥助を殺害し,伊織に重傷を負わせ,金を盗んで逃走した。
その後,東間と元右衛門一味は,福島天神の森の小屋に潜む早瀬兄弟を再び襲撃し,伊織を惨殺し,源次郎をも川へと投げ込んだ。
不幸ここに極まった源次郎だが,九死に一生を得,人形屋幸右衛門の助けを借りて,東間を追い詰める。

にほんブログ村 トラコミュ 歌舞伎へ
歌舞伎

浪花版法界坊のイメージだ。端敵役を主人公に据え,立敵の魅力を加味して運ぶ筋立てである。アル中元右衛門の支離滅裂,場当たり的,きっかけ無き豹変,目先の欲望のみに支配される展開は,初見者は置いてゆかれないようにしなければならなかった。
珍しい翫雀丈の悪役だが,自分の危険に小心でドジなところと,弱い相手に対するためらいの無さや目を覆う残虐さは,今風且つ大阪的リアリティがあって好きだ。
対し,善人方の旗手・前髪若衆の亀鶴丈。不幸のどん底から幸右衛門の加勢を得て起死回生の逆転本懐となるわけだが,終始,端正で折り目正しく,芯になっておられた。
それぞれの役者さんが,いつもより少し幅を広げたところで勝負しておられるところが,花形歌舞伎らしさ一杯。

|

« YOMIURIONLINEに「芸の真髄」シリーズの第1回公演「文楽太棹 鶴沢清治」の記事が掲載 | トップページ | 浪花花形歌舞伎第二部「雨の五郎」,「色彩間苅豆」,「曽根崎心中」 »

歌舞伎」カテゴリの記事

コメント

>HinemosuNotariさま
続けてのコメントありがとうございます。
>翫雀さんの健闘ぶりは観ていて気持ちよかったです。
ええお声やし,滑舌もすっきりなさってますから,そう悪いお人に見えしません。しかし,戻りがあると期待しておられたらあっさり斬られてしまうというのが,法界坊的ですね。そういえば,これも,吉右衛門丈がなさいます。
大星由良之助役者が法界坊をなさるというのも歌舞伎ですね。綱豊卿も上演とか。東京はよろしなぁ。また,いこ。5月は,美吉屋さんと大和屋さんがありますので,お江戸は我慢します。

投稿: とみ | 2007年4月15日 (日) 00時09分

>支離滅裂,場当たり的,きっかけ無き豹変,目先の欲望のみに支配される展開は,初見者は置いてゆかれないようにしなければならなかった。

ほんとそんな感じでした。法界坊もそうですが、個人的にはこの手の悪役はどうにも許せないというか、みていて後味が悪いです。でも、翫雀さんの健闘ぶりは観ていて気持ちよかったです。今回の舞台が今後どう生きてくるのか、ちょっと楽しみです。

投稿: HineMosNotari | 2007年4月14日 (土) 23時19分

>スキップさま
扇雀丈の立役大好きです。かわいそでした。
あれよあれよという間に形勢逆転というのも,説明不足が一貫していてむしろ気持ち良かった!
孝太郎丈が強いのも愉快!
朝から目は亀追いモードにスイッチオンでした。

投稿: とみ | 2007年4月12日 (木) 17時43分

とみさま
扇雀・亀鶴の早瀬兄弟は花道の出から品よく美しく、それだけに後の悲惨な状況が一層涙をそそり、最後の最後に大ドンデン返ーし!的な一発大逆転も、いかにも大阪らしくて楽しく拝見できました。

投稿: スキップ | 2007年4月12日 (木) 03時14分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 浪花花形歌舞伎第一部 「敵討天下茶屋聚」:

» 「浪花花形歌舞伎」@松竹座(1) [rikaのいろいろ。]
第一部 『敵討天下茶屋聚』           このお芝居のみどころって一体どこなんだろう? 観ていて楽しくないわけでもないし、「このお芝居苦手やわ~~」って思うわけでもないけれど、 どうもいまいち掴みきれないと言うか、なんというか・・・・・。 それぞれの場面... [続きを読む]

受信: 2007年4月17日 (火) 09時26分

« YOMIURIONLINEに「芸の真髄」シリーズの第1回公演「文楽太棹 鶴沢清治」の記事が掲載 | トップページ | 浪花花形歌舞伎第二部「雨の五郎」,「色彩間苅豆」,「曽根崎心中」 »