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2007年3月31日 (土)

「成田人形・暫」の実物にまみえる。

Photo_9 京都の郷土玩具・伏見人形「成田屋人形」のひとつ「暫」の実物に宮川町のお茶屋で遭遇した。京都のお茶屋の文化の集積パワーに今更ながら思い至る。純朴で力強く愛嬌がある。

京都市伏見区の伏見稲荷大社は稲荷信仰の総本山として参詣客も多く,稲荷詣では,庶民の大きな楽しみであった。そんななか,門前には,江戸時代初期頃から数十件もの人形屋が並び,お土産として「 伏見人形 」が売られていた。日本最古・全国にある土人形の原型といわれ,種類も多く,それぞれのデザインに曰くがあり興味は尽きない。

これは,「成田屋人形」という。七代目団十郎は,天保年間に奢侈禁止令のお咎めを受け,江戸十里四方追放となり,やむなく大坂で舞台をつとめ大当たりをとった。晴れて帰還がかなったのは追放8年目のことである
そこで,七代目は,日頃信仰している伏見稲荷大社へ詣り,参道前の人形屋「割松屋・高木九兵衝」のところで,自分の十八番「助六・暫・矢ノ根」の三つの舞台姿を作らせ,三百体を江戸への土産にしたという。
そして,歳月は流れ,平成16年末,京都南座顔見世の市川海老蔵襲名披露興行の際,記念に復刻版が百体ほど造られて配られたそうだ。みんなが欲しがったあれである。

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