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2007年3月11日 (日)

ピッコロ劇団のハムレット

Casttop1 栗田ハムレットかワレリーハムレットか,それが問題だ。安寿ハムレットか剣ガートルードか,それが問題だ。兵庫県立芸術文化センターはすんごい難題を出してくれた。
兵庫県立芸術文化センターで,ピッコロ劇団・ワレリー・ベリャコーヴィチ演出のハムレットを観劇した。11日(日)は,終演後,演出家,翻訳家,演出助手,出演者らによるアフタートークも開催された。
原作:W.シェイクスピア,翻訳:堀江新二,台本・演出・美術:ワレリー・ベリャコーヴィチ
キャスト
ハムレット/橘義,クローディアス/岡田 力,オフィーリア:平井久美子,ガートルード/剣幸(客演),亡霊/孫高宏,ポローニアス/福島栄一,ホレーシオ/梁瀬満,レアティーズ/穂積幸良,ローゼンクランツ/吉村祐樹,ギルデンスターン/原竹志,マーセラス/風太郎,墓堀1/内藤裕敬(客演),墓堀2/奇異保,座長/森好文,オズリック/今仲 ひろし,宮廷の侍女/安達朋子,宮廷の侍女/木全晶子,宮廷の侍女/和田友紀,宮廷の侍女/本田千恵子
ワレリー・ベリャコーヴィチ氏
モスクワ・ユーゴザーパド劇場主宰・演出家。
モスクワ南西(ユーゴザーパド)地区で,弟や友人と青年演劇サークルを指導し,現在のユーゴザーパド劇場に育て上げた。1987年に上演した衝撃的な「ハムレット」により,一躍世界的な評価を得た。
日本とのご縁は,3年前にピッコロ劇団を演出した「ハムレット」が好評を博し,2度目の来日となった。劇団員さんたちとのコミュニケーションも,迫力と情熱を共通言語に,楽しみながら築かれたご様子。宝塚歌劇もご贔屓とか。スターの剣幸氏と一緒に仕事が出来たことをお国で自慢なさるそうだ。次なる機会にも並々ならぬ意欲を示されておられた。
ロシア民族のパワーを見せつける大きく暖かな風貌にして,緻密かつ細部に拘りのある芝居づくり。オリジナリティの高いメソッドを駆使なさる非凡な才能が光る。
自身がご出演のときの持ち役はクローディアス。

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演劇

Nec_0520 ←お衣装が展示されていた。簡潔で力強く若い肉体を引き立てる。
あらすじ
デンマーク王国では2ヶ月前,剛勇無双のハムレット王が変死し,王弟クローディアスが,先王の后ガートルードと再婚し,王位を継承していた。クローディアスは,酒色と軍拡にいそしむ俗物に他ならない。留学先から帰国したハムレット王子は,鬱々とした日を過ごしていたが,友人ホレイシオや忠義な番卒たちの計らいで,父の亡霊に見え,亡霊の口からクローディアスに毒殺されたと聞かされる。
復讐を誓ったハムレットは,狂気を装い真実を探るが,邪推,誤解,陰謀と不幸な偶然から,死が死を呼ぶ惨劇へひた走る。
感想
パワフル,スピーディ,軍事ミステリーを彷彿とさせる衣装や音楽。劇場の機能を最大限に活用した軍靴の行進を思わせる地鳴りのような音響が物語へ引き込んでくれる。イメージとしては,ジュリー・ティモア氏が撮影された映画「タイタス・アンドロニカス」と似ているか。
ワレリー演出は,台詞に音楽をかぶせる,舞踊に近い小道具なしのマイムに近い動き,台詞のシャッフル,舞台に複数組の俳優を上げ交互にフリーズ,速いぞ。終幕には,装置があっと驚く変容をする。さすが軍事大国ロシア!日本人にはこの発想はないだろう。
主演のハムレットには,花組芝居から今年入団した橘義氏。復讐心に燃えながらも悩む若者を,深刻になりすぎず,さわやかに好演。オフィーリアは,劇団生え抜きの平井久美子氏。少し力が入っていたか。クローディアスには,ハムレット役の橘氏とそう変わらない若くセクシーな岡田力氏。とぼけた味はいままでにないクローディアスだ。ガートルードに客演の剣幸氏は,凛とした威厳と気品が王妃らしく,元宝塚トップスターの格を見せて頂ける。
違和感を2点申し上げる。
通常,フォーティンブラスは,ハムレットと同年代か,より若い俳優を起用し,立ち位置はセンターだ。フォーティンブラスを,秩序の回復者とすっきり演出するか,邪悪な若者として更なる暴君による不幸な時代への暗転とするか,終幕の最重要事項だ。ワレリー氏は,意表を突き,立ち位置は下手。クローディアスやポローニアスより年長のベテラン俳優さんを起用し,ノルウエーのフォーティンブラス王の亡霊が,30年後にデンマークに復讐したという結末とされた。しばらく悩んだ。今も悩んでいる。ワレリー氏の真意は…。
また,デンマーク領内を通過するノルウエーの行軍を眺めてのハムレットの独白,さらに,「1羽の雀が落ちるのも天の摂理」はカットして欲しくなかった。迷いに迷った末,自分の力を信じ,運命に立ち向かう若者を表す台詞だ。

しかし,今を知るためにも,世界の演出は,こまめに見ないといけない。

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コメント

>絢女さま
はじめまして。ようこそ拙宅に…。
このようなコメントを頂きますと本当にうれしく,心を込めて鑑賞しようと思います。
演劇の部活!いいな!青春しておられます。ピッコロ劇団入団を目指し頑張ってくださいませ。兵庫県立文化芸術センターは,演劇を地域文化として育む良い企画ありますし,神戸市は市民劇団の活動が盛んです。一生の友としてお続けになることをお勧めします。ぜひ,ご家族を演劇好きにし,常時行けるよう企んでくださいね。
以上,元演劇少女のつぶやきでした。
みなさん,お若くエネルギッシュでした。演出は,何と言っても世界水準の舞台ですから驚愕しました。

投稿: とみ | 2007年3月15日 (木) 23時43分

初めまして!
こんにちわ。私もこの劇を部活の関係で見に行ってたんです!(←演劇部所属
そして記事を見て「おおッ!!」と思ったので来てみました。
部員のみんなは「難しかったー。」といっている人もいたんですけど、私はいつもは見る事のできないプロの劇を見て一人感激してたんで...(苦笑

亡霊の役の人は凄い!!と思いました!
何が凄いといわれると一言では言い切れないのですが..とにかくもうすべてが新鮮で、ただただ圧倒されてましたね。(^^;

ちょっと同じときに見に行ってた人に出会えた!!という嬉しさの勢いでコメントさせていただきました。

投稿: 絢女 | 2007年3月15日 (木) 20時08分

>midoriさま
いつも拝見しております。
見識高いmidoriさまにコメント頂き光栄です。
はい,確か百鬼夜行抄にご出演なさっておられました。花組芝居といえば,3月31日と4月1日,「歌舞伎座の怪人」が新神戸オリエンタル劇場で上演されます。30日のグッドラックハリウッドといい,日が悪過ぎます。しかし,最後まで諦めないぞ。
では,終わりましたのでネタバレします。
装置:王宮の内部空間を表す列柱が,終幕,「ハムレットに礼砲を」というところで,斜めに傾き,大砲に化けます。
台詞:レイアティーズとの決闘にのぞむ前,「一羽の雀…。」のところで,「このままでいいのか,いけないのかそれが問題だ。」となります。最後まで迷うハムレットでした。
フォーティンブラスは前述のとおり。

投稿: とみ | 2007年3月14日 (水) 20時39分

コメントは、お久し振りになってしまいました。
(^^;
全く、チェックできていなかっただけに、とても興味深く
拝見しました!
しかも、花組芝居の新鋭が参加してたんですね。
(*><*)
劇団を離れての活躍、実際に目撃したかったことでは
ありますが…。
でも、とみさまのレポで読むことが出来て、嬉しかった
です!
ハムレットは、シェイクスピア作品の中でも実に多様で、
多彩なアプローチがなされるなぁ…、と、そんなことにも
想いを馳せました。
日程が近いタイミングで上演された、栗田版の感想を
アップしていたので、トラバさせていただきます。
(*^^*)

投稿: midori | 2007年3月14日 (水) 10時39分

>藤十郎さま
お目汚ししてしまいました。えらいこっちゃでございます。ちゃんとリライトしました。
やっぱ,一つ一つのエントリ渾身で書かんとあきません。
軍靴による行進ような,地響きのような音響が凄かったですね。
ハムレットもレイアティーズも同じ運命に翻弄された若者。好感持てました。
ミリタリー路線なので,女性の描き方に手が回ってなかったと見ました。
ワタクシメの初ハムレットは,劇団四季の平幹二朗氏&影万理江氏でした。平幹氏の一世一代ハムレットも鑑賞済ませました。ですから,今は余生でございます。

投稿: とみ | 2007年3月12日 (月) 18時35分

あまり理解が深くない私にとって、偶然同じ日に鑑賞されたおとみさんのリポートはありがたいです。
オフィリアの人物像がつかみきれなかったのですが、おとみさんはじゅうぶんですか? ハムレットは違和感はもちろんあります(それは演出家も承知の上というか、むしろ意図するところなのでしょう)けれども、面白く拝見しました。レアティーズは一途でけっこう。声もよく響いていました。
フォーティンブラスについては同じような印象を持ちました。
剣幸は麻実れいに続けるか? 私は大いに期待しています。

やはり最後には見せますね・・・。

投稿: 藤十郎 | 2007年3月12日 (月) 17時40分

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» 「Song & Dance ハムレット」 [好きなことは止められない♪]
安寿ミラが演じる“ハムレット”。初演・再演とは、大きくキャストが変わりました。この芝居の“肝”だと思っていたホレイショーも、華だと思っていたオフィーリアも、要(かなめ)だと思っていたクローディアスも!まあブッチャケ、ハムレット以外は“総とっかえ”です。... [続きを読む]

受信: 2007年3月14日 (水) 10時41分

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