フール・フォア・ラブ
見たい芝居を見ているとそれがシリーズであったことに後で気付く。
フール・フォア・ラブを2月28日に観劇。音羽屋贔屓としては,愛ルケも見たのだから,言わんやこれは外せない。
豪華キャストの4人芝居だ。
脚本:サム・シェパード,演出:行定勲
出演:香川照之/エディ,寺島しのぶ/メイ,
甲本雅裕/マーティン,大谷亮介/老人
あらすじ
ニューメキシコのモハベ砂漠に建つモーテルに住むメイのもとへ,かつて愛し合った仲のエディがやってくる。はるばる会いに来た,逃さないというエディ。激しく反発するメイ。メイの今のボーイフレンドであるマーティンが登場し,状況は一瞬緊迫するが,二人の男は一緒に酒を飲み始める。
エディはマーティンに,「本当は俺たちは母親違いの兄妹だ」という話を始める。そして,二人の生い立ちと自分たちの母親たち,父親に言及する。
なぜか,部屋には一人の老人が…。
演劇 |
逃れても逃れても逃れられない宿命の愛に翻弄される男女が主人公。
舞台演出は初めてという行定監督は,最高のキャストを登用し,奇ををてらわない正攻法の演出で真っ向勝負に出られた。愛とは痛いものである。宿命とは血である。
メイとエディの間に暗い影を落とすふたりの父親は,身勝手な風来坊である。それぞれの母親は舞台上には登場しないが,過激な女性のようだ。反発し合うのはそれぞれの母の血,惹かれ合うのは同じ父の血。抗おうにも抗えない運命を「フールフォアラブ」は描いている。
香川さんの舞台は,「桜の園」以来二度目。不勉強につき,格別に追っ掛けていなかったが,饒舌で攻撃的で魅力的。寺島さんは珍しく赤いドレス姿を拝見したが,緩急自在で生々しい女。お声の透明感が崩れていない女を表し,不可思議な…。
甲本さんは,ピュアで飾らない印象があって良いが,圧倒的な主演二人の前には分が悪い。父親と目される大谷さん。あんたがいっとう悪い!
さて,分かったか分からなかったか分からない結末。呪縛の愛に殉じたか,潔く決別したか。3人で見たが,意見は分かれた。
そーゆーときはタイトル回帰だ。
アスペクツ・オブ・ラブ→達観したタイトルなので別れる。
愛の流刑地→有罪
書く女→愛は消え,書くことが残った。
フール・フォア・ラブ→恋に狂って…。
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コメント
>スキップさま
演技は主演二人のサシの勝負は見応えありました。寺島さんは赤目やテンペストの印象が強すぎるのか,白いドレスのイメージあります。赤いドレス,お綺麗でした。
しっかし,平日のみの3公演はないよ~。
投稿: とみ | 2007年3月 5日 (月) 19時28分
とみさま
二人の応酬を客席が固唾をのんで見守る、という雰囲気でした。
1時間25分 このテンションでひっぱり続ける力はさすがです。
確かに演劇らしい演劇でした。
寺島しのぶさんはもとより、香川照之さんの意外にも(?)ほっそりした容姿にオドロキ。
投稿: スキップ | 2007年3月 4日 (日) 23時37分
>木蓮さま
見応えある名作揃いのパルコスタンダードシリーズ。みんとあきませんね。演劇らしい演劇,外連無しの演出は,原点にもどる意味でも定期的に鑑賞したいものです。
寺島さんは見逃してませんが,香川さん要チェックです。
投稿: とみ | 2007年3月 4日 (日) 01時12分
濃厚な、85分でした。
やはり父親が一番悪いですよね~
だけどそんな父親の血をそのまんま受け継がれている
香川さん・・・
母にそっくりな寺島さん
繰り返されていくストーリーに
終わりなし???
しのぶさん、可愛かった~色気もあるしカワイイし
素敵でした~!
投稿: 木蓮 | 2007年3月 3日 (土) 12時23分