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2007年3月 4日 (日)

ミュージカル・マリー・アントワネット

千穐楽間近の3月3日(土)マチネを鑑賞した。
原作/遠藤周作,脚本・作詞/ミヒャエル・クンツエ,音楽/シルベスター・リーヴァイ,演出/栗山民也
出演:涼風真世/マリー・アントワネット,新妻聖子/マルグリット・アルノー(孤児),土居裕子/アニエス・デュシャン(修道女),井上芳雄/アクセル・フェルセン,石川禅/ルイ16世,山路和弘/ボーマルシェ(劇作家),髙嶋政宏/オルレアン公,山口祐一郎/カリオストロ(錬金術師)
あらすじ
1779年パリ。
フランスでは,人民達が貧困に喘ぎ,王室と貴族は贅沢と快楽の限りを尽くしていた。王は錠前造りに,王妃はドレスとスエーデン貴族フェルセンとの恋が最大の関心事。王位を狙うオルレアン公,風刺劇で人気を博したボーマルシェ,悪魔的な錬金術師カリオストロ達は王家への叛意を募らせている。
もうひとりのM.A.マルグリッドは,天涯孤独の最下層の孤児で,誰よりも王家を憎んでいた。王室への反感は,首飾り事件を発端にに革命に向かって野火のように広がる。
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ミュージカル

原作は遠藤周作氏の小説「王妃マリー・アントワネット」。ウイーンの才能を導入し,世界に向けて発信する和製ミュージカルの初演である。
歌曲は,魅力的なメロディラインで編曲も綺麗。ロックンロール調の曲を2曲程度追加頂けると申し分ない。全体に上品な色調と装置も知的。
千穐楽近くに一度だけ見るという愚を犯さなければ,間違いなくリピートしていた。音が分厚く和声も,しっかり聞き分けたかった。
演技者さん達の役作りも,それぞれに自在にお役を生きておられる域に達しておられる。
本当に良心的なミュージカルであるが,ブレイクしているとは聞いていない。
欠けているものは,はっきりしている。演劇としての中心軸の弱さだ。マリー・アントワネットに対立するもう一つの物語の主人公にマルグリッド・アルノーを配し,支配する暗黒面にカリオストロを据えたが,関係性が分かりにくいのと,分かってもふーんで感動には結びつかない。
圧倒的な主人公,主人公を喰う魅力的な副主人公の創出のため,ほんのわずかな加筆を…。

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ミュージカル」カテゴリの記事

コメント

>ぴかちゅうさま
うれしいお知らせありがとうございます。オリジナルキャストさんがどうこうと言うことではなく,演劇は集団芸術でしかも一期一会ということでしょう。このようなことが起こりますから,やはりこまめに劇場に行かなければなりませんし,軽々な評は禁物です。
身が引き締まります。

投稿: とみ | 2007年4月 8日 (日) 22時49分

帝劇凱旋公演初日を観てきました。手直しが入り、主要キャストが2人変わりで大化けしたと感じました。興奮の勢いにのって書いた記事はTB不調。URL書かせていただきますm(_ _)m
http://blog.goo.ne.jp/pika1214/d/20070406
初日のカテコで涼風さんのご挨拶でいろいろとわかったりもして作品を磨き上げるキャストスタッフの皆さんのご苦労がしのばれました。ドイツでの上演も決まり、世界初演として恥ずかしくない舞台になってきたようです。

投稿: ぴかちゅう | 2007年4月 8日 (日) 21時41分

>ぴかちゅうさま
コメントありがとうございます。
手が入りバージョンアップしてゆくのを見守るのも楽しみの一つです。
何と言ってもMAは中高年女性の娯楽。女性がエエ気持ちになって憂さが晴れるという視点で手を入れて頂きたいものです。
流血禁止,ギロチンもご勘弁。暴動も程々に,ラブロマンスはどこまでも甘く。ラブレターはラブレターでなければならなく,軍事介入の要請文ではフェルセンさんでなくとも泣きます。カリオストロ卿にはマスクとヘルを!(`´)ノ☆(((*;・)ゴメンナサイ

投稿: とみ | 2007年3月 7日 (水) 00時37分

12月に一度観た感想をTBさせていただきました。
全国にまわった後、翌年東京で凱旋公演があるとわかっていたので一回しか観てません。キャストの入れ替えがあるのもいいかもしれないと思ったので東京公演待ちでした。
>欠けているものは,はっきりしている。演劇としての中心軸の弱さだ。
その通りです。私のきいた話では、どうもカリオストロにもう一曲増やすなど、手が入るらしいです。手が入ることによってもう少しスッキリすると思うのです。どうぞ東京公演に足をお運びください。お待ちしてま~す(^O^)/

投稿: ぴかちゅう | 2007年3月 6日 (火) 21時46分

>あさこさま
意見交換しているうちに考えまとまってきました。
おとみは雑食ですので,どーしょーもない噴飯ものの脚本に遭遇することもあります。そんなときでも,人物が書き込まれていない脚本に対し,ご出演者の皆さんがそれぞれの解釈で渾身の演技をなさり,舞台が想像を絶するパワーを発揮する瞬間にも立ち会ったこと少なくありません。
演劇の醍醐味です。黙して拍手以外ありません。
全員が力を発揮なさり,一曲ごとに泣かされました。終わってみたら,ステキなお歌を聞かせていただいたあの方は何のお役だったのでしょう状態でした。
オケはウイーンで100人編成くらいの大編成で録音したらよかったと思われました。

投稿: とみ | 2007年3月 6日 (火) 19時43分

とみさん、こんにちは!
そうそう、ものすごくいいのに「何か足りない」と
思わされる舞台でしたねー。なんででしょう~?
ここまで俳優さんたちがそれぞれの役に魅力を持たせてしまったら
これから改善する側もたいへんろうなーと思います。
本当は原作通りもっとマルグリットを怖くした方が
話としてはわかりやすくなるんでしょうね。
で、アニエスにもうちょっと比重を置いて・・・
なーんてことしてたらフェルセンの出番減るし・・・
うーん!むつかしいっ!!
それにしてもとみさんには複数回数ご覧になっていただきたかったです・・・。

投稿: あさこ | 2007年3月 6日 (火) 17時43分

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受信: 2007年3月 6日 (火) 21時31分

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