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2007年1月 7日 (日)

文楽初春公演・第二部

P1010101 1月3日,初日の国立文楽劇場の夜の部は封印切をトリとする充実のラインアップである。
←床のお飾り
文楽初春公演第二部
二人禿(ににんかむろ)

 三輪大夫/南都大夫/貴大夫他,清友/団吾/龍聿他
 禿:玉英&和右
京都島原の禿のようだ。おませな女の子が,「おっちゃーん。綺麗なべべ着て気楽そーにみえるけど,うちらかて,人によーゆわんつらいことあるしー。」という踊りだ。そこは子ども,羽根つきであっさりゴキゲンになる。千春ちゃんと澪夏ちゃんでも見たいゾ。

嫗山姥「廓噺の段」
 口 呂勢大夫&喜一朗/切 嶋大夫&清介,清丈
 沢瀉姫:紋秀/局藤浪:清三郎/腰元更科:清五郎(お福)
 腰元歌門(娘):箕一郎/太田太郎:玉志/坂田蔵人時行:和生
 荻野屋八重桐(娘&角なしのガブ):箕助
坂田金時の出生の秘密が解き明かされるお話。語りの聞きどころと人形の見せ場がある近松門左衛門作の時代狂言。歌舞伎と異なり糸萩は登場しない。
廓でライバル傾城と時行を張りあって傷害と器物損壊の大騒動のくだり(廓噺)が楽しく,妹・糸萩が敵を既に討って,あんたは唯の阿呆で甲斐性無しとそしる。それなら,敵の残りを始末するという時行に,間抜けも程々にせいと叱咤し,そこまでゆわんかてと思っているうちに自害させてしまうのだが,箕助さんの遣う八重桐の見所である。おおこわ。いきなり懐妊し,ハイパワーになって大乱闘という,やんややんやで幕。投げ飛ばされるかわいそうなツメ人形たちにも注目!

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文楽

冥途の飛脚「淡路町の段,封印切の段,道行相合かご」
 
淡路町の段 咲大夫&燕三
 封印切の段 綱大夫&清二郎
 道行相合かご 英大夫,文字久大夫,津国大夫他
           団七,清志郎,清馗他
 亀屋忠兵衛:勘十郎/丹波屋八右衛門:玉也/母妙閑:紋豊
 下女まん:勘弥/遊女梅川:紋寿/花車:亀次他
原作である文楽版は,忠兵衛と八右衛門の確執と,遊郭での見栄の物語である。
淡路町の段がこれほどの緊迫感とストーリー展開に聞き入るとは思わなかった。燕三さんの三味線はリズム楽器だ。物語を牽引しておられる。梅川を身請けする手付けの五十両は,八右衛門の金を横領したものだ。そればかりか,借りたことにしてやろうという八右衛門の情けに感謝の気持ちが全くない。また,あっさり忠兵衛を袖にする下女まんの勘弥さんが,忠兵衛の卑怯さに花を添えてナイス!
さて,堂島へ行くはずが新町に向かう川筋の場面は,梅川に会いたいと言うより,意志の弱さが際立っている。
さらに,封印切の段では,確信犯として公金横領をしでかしてしまうが,梅川を取られたくないというより,一時の見栄だ。恋飛脚でなく,冥途の飛脚というタイトルを付けた近松は,何とも凄い。
勘十郎さんは,昨年11月心中天網島の治兵衛では,中年男の愛ルケ願望のいやらしさと,しょーもない遊郭での見栄を見事に遣っておられたが,忠兵衛では反省心のかけらもない短絡的若者にちゃーんと見えていて絶品と思われる。夏祭浪花鑑での三河屋義平次の鮮烈な印象が残る玉也さんはエエ勝負しておられた。玉女さん相手ではどうなるか楽しみは尽きない。

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コメント

>ハヌルさま
お忙しいところコメントありがとうございます。平日のちょっと寄ってみようというには,映画より廉価で世界最高水準の技芸が鑑賞できるのですから大満悦です。
さて,忠兵衛。遊里という社会装置があった時代だからこそ真実の恋への憧憬が深かったのでしょう。文楽人形の方が人間らしいというのも逆説的です。そして,人形が演じることで命の永遠性のようなものをより強く感じると申せば穿ちすぎでしょうか。
今でもいそうな大阪のにーやん。気いつけなあきません。

投稿: とみ | 2007年1月11日 (木) 20時56分

とみさま。
ちょっと寄ってみよかな~っと軽い気持ちで劇場を覗き、「冥途の飛脚」を幕見で観られ満足いたしました。
文楽の方が忠兵衛という、若さゆえの?浅はかな愚青年ぶりがよく描かれているので面白かったです。
堂島へ行くか、新町へ行くか、の場面は可笑しかった。
梅川にもうメロメロなんですもん。
「西」、「千日前」など、何気ない言葉の中の深さ、不吉さにゾゾッとしました。 さすがです、近松さん!

投稿: ハヌル | 2007年1月11日 (木) 00時18分

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