冥途の飛脚MAP
初春興行の大阪松竹座及び国立文楽劇場の両小屋で,「恋飛脚大和往来」v.s.「冥途の飛脚」対決が見られる。
恋飛脚大和往来 冥途の飛脚
「封印切」 「淡路町,封印切,道行相合かご」
亀屋忠兵衛 坂田藤十郎 亀屋忠兵衛 桐竹勘十郎,吉田玉女
傾城梅川 片岡秀太郎 遊女梅川 桐竹紋寿
丹波屋八右衛門 片岡我當 丹波屋八右衛門 吉田玉也
井筒屋おえん 上村吉弥 花車 桐竹亀次
槌屋治右衛門 坂東竹三郎 越後屋の主人 ?
仲居 上方若衆 仲居 大ぜい 決定的な違いが八右衛門の人物像である。梅川を張り合って忠兵衛を陥れる卑怯者が改作の歌舞伎,荒療治が結果として裏目に出る友情に厚い男が原作の文楽となっている。このため,封印が切れるプロセスも,アクシデントで切れる歌舞伎と,本当に横領してしまう文楽という違いが出る。
文楽は淡路町の段から道行までなので,カップルが逃避行に至った経緯がよく分かる。ただし,傾城恋飛脚「新口村の段」ではなく,道行相合かごなので,ペアルックで逃げ,新口村で孫右衛門にまみえるくだりはない。
お勧めは,先に文楽劇場の企画展示室(無償)で冥途の飛脚MAP↑(無償ヨ!)を入手し,わずか一日に起きた忠兵衛の転落の軌跡を把握しておくとより楽しめる。あとは野となれ大和路や…。
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コメント
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投稿: スーパーコピー 時計 柵 フェンス | 2021年10月13日 (水) 17時39分
>戸浪さま
ご高名と博識はかねがね承っております。
ようこそ拙宅へ。
細々と,蝉丸法師,関寺小町,芭蕉翁,義仲さんを心の友として逢坂の関から粟津の浜で綴っております。
生まれは難波橋の近く,小学校と隣り合わせの北浜証券取引所の喧噪をBGMに育っていますので,文楽に書かれた価値観は理解できる素養はあります。
ワタクシの初封印切は,蜷川さんの近松心中物語初演です。ここでも,自分の身を一ランク下の女郎に売って金をこしらえるというくだりあります。これが大坂の女です。ちょっとちょっと,なんぼなんでも男はんに都合よすぎるとお思いになりませんか。
梅川の「どんだけ生きてもおなじこと。」という台詞もありました。梅川固有のものでなく,金がかたき(拝金主義)の正徳の大坂という時代拝啓や,遊里に生きる女たちの真実の恋への渇望がヒロインとして造形されていると思います。
また,大阪もんなら決して忘れてはならない千日前というトポス。文楽を見るたびに,日本一平均寿命が短いとされる大阪の女たちの幸福を祈らずにはいられません。
投稿: とみ | 2007年1月 8日 (月) 11時21分
とみさま
初めてお邪魔します。今年もよろしくお願いします。
近松の「冥途の飛脚」は人気演目で良く出ますよね。
歌舞伎は近松原作を書き換えた「恋飛脚大和往来」の
「封印切」「新口村」での上演なので、文楽と話しの運びは良く似てはいますが、私は「別物」と思っています。ことに八右衛門の人物造形が文楽と歌舞伎では全く異なっていると・・思います。
数年前の新春浅草歌舞伎で、松嶋屋型と鴈治郎型の競演があり、一日で両方見られてとても面白かったのを覚えています。封印を切る場面はとみさまも書いておられるように封を「切った」「偶然切れた」と「階段」の位置の違いなどがあるでしょうか。
「松嶋屋型」の方がどちらかと言えば文楽に近いように思いました。
ネタバレになっちゃいますが、原作版(文楽)と改作版(歌舞伎)との違いは八右衛門もそうですが、梅川です。文楽の梅川は、八右衛門の忠告を忠告と聞けない頭に血が上った忠兵衛を諭すだけの分別と最下層の女郎になっても、忠兵衛一人くらい養ってみせる・・と「女気」<あるのか?この言葉?>を見せます。この梅川の「くどき」は歌舞伎にはありません。
私の独断と偏見ですが、梅川は忠兵衛の見栄っ張りで刹那的な性格を危惧しつつも、彼女自身も多分に刹那的で破滅的な部分があるように思うのです。
それは浄瑠璃の「あとは野となれ大和路・・」という詞章を聴くたびにそう感じてしまうのです。
とみさまやみなさまはどうお感じになるでしょうか?
投稿: 戸浪 | 2007年1月 8日 (月) 07時57分
>まこさま
観劇しなくともMAPはもらえますが,筋書きにも付けてくださいます。恋飛脚大和往来は鴈治郎型と松嶋屋型とがあり,確かにアクシデントで切れてしもうたと気が付いたら切ってたと微妙に違いました。階段も違います。いずれも八っつあんは,げじげじの八っつあんです。染五郎丈の忠兵衛,仁左さまの八っつあん&孫右衛門,孝太郎丈の梅川,秀太郎丈のおえん,新口村付きのは良かったぁ。
懐手で切れてたと違い,はっきりとした意志を持ってお金を出したはりました。淡路町の段から見ますと,卑怯さ極まります。
さて,筋書きは清之助さんが遣う人形のお衣装です。はい,あの夏向きの柄です。
投稿: とみ | 2007年1月 6日 (土) 00時01分
>スキップさま
書こかやめとこか悩んだんですが,蜷川さんの近松心中物語,宝塚歌劇の心中恋の大和路,北野氏のDolls!近松は永遠です。で,蜷川さんの近松,平幹版,坂東八十助版,阿部寛版見てますが何と言っても,お亀と梅川を演じ続けておられる寺島しのぶさんの存在が大きいと思います(結局,音羽屋に話を持って来ますが…。)。
実在の二人は心中ではなく,刑死と出家というのも哀れです。心中させてやりたいという観客の願いが,どんどん物語を美化していっているのですね。大阪の男女というのが今でもその辺にいそうな感じで,感情移入してしまいます。
投稿: とみ | 2007年1月 5日 (金) 23時43分
藤十郎さん(鴈治郎さん)は”切れてもうた”で、
松嶋屋さんは”切ってもうた”だと聞いた気もします。
文楽だとどうやって切るんでしょう。
勘十郎さんと玉女さんは違うのでしょうか。
早く見たいです~
投稿: まこ | 2007年1月 5日 (金) 21時52分
とみさま
ご挨拶が遅れました。あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申しあげます。
まだ歌舞伎を知らぬ若い頃、宝塚で瀬戸内美八さんと遥くららさんの梅川忠兵衛を観ました。今から思えばよく訳もわかっていなかったのに、雪の降りしきるフィナーレに大泣きした覚えがあります。それから平幹二郎さんと太地喜和子さん版や文楽も観ました。
歌舞伎を観始めた頃、八右衛門の小ずるい悪党ぶりや封印を切るくだりが「切った」のではなく、「切れてもうた」感があり、もやもや違和感を覚えたものです。
とみさんのこの記事を拝読して、すっきり整理できました。ありがとうございました。
松竹座も文楽も、“本番”のエントリ、楽しみにお待ちいたします。
投稿: スキップ | 2007年1月 5日 (金) 02時57分