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2007年1月 7日 (日)

鹿鳴館NHKBS2中継

劇団四季の鹿鳴館はまもなく大千穐楽を迎える。実は,ワタクシが2006年に最も多く鑑賞した舞台は,劇団四季の鹿鳴館だった。見ても見てもまた見たくなり,際限ないので,東京凱旋公演は,福井さん(=゚-゚)ノニャーン♪がお出にならない限り見ないとしゅぱっと諦めた。うれしいことに,1月2日初芝居NHKBS2の放送は,その東京凱旋公演版だったのでお年玉を頂いた気分だ。
で,風知草は,基本的に観賞したもの以外記述しないという主義を一貫してきたが,
「…女は決まった評価,それも自分で作った定評を死んでも壊したくないものです。それを今夜私はこわしてお目にかけますわ。」
そんな大げさなと突っ込みを入れられそうだが…。
ということで,石丸さんの清原永之輔の印象を中心に記述する。私が拝見した石丸さんのストレートプレイは,ハムレット,オンディーヌ,ユリディス,ラ・ソバージュなど,ミュージカルは,数知れずだが,ストレートプレイではユリディス,ミュージカルではアスペクツ・オブ・ラブが最も優れていると確信している。いずれも,野村さんや保坂さんと組み,女性を失望させる役どころがよいと考えている。
2006年の鹿鳴館6回,劇団四季のストレートプレイも,平幹ハムレット,平幹アンドロマック,奥方が影万里江さんの時代から拝見しているので,テレビ中継に論評することを切に切にお許し願いたい。
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石丸さんは,容姿,お声及びたたずまい全てにおいて女性観客を魅了する条件を備えておられる劇団四季のリーディングアクターである。私見であるが,とりわけ,ヒロインを裏切るのではなく,ヒロインへの愛が変わらないにもかかわらず,ヒロインかから絶交を通告される役が似合うという点が,益々女性観客の気を良くする。これはなかなか得難いことだ。」
一幕で,優れた点を列挙すると,野村さんが演じる伯爵夫人朝子が,清原の姿を認め,ただ恋する女になっただけでなく,子まで成した離れがたい二人という安らかな表情になったことである。「私たちが会う。するとその時から昔の時間が始まる。」ひとすじに思い続けてきたという,外そうともしない視線のポイントが高い!
二幕では,何と言っても釈明の台詞の順序に説得力ある。裏切ったと誤解し責め続ける朝子に,「いいんだよ。一つだけ釈明することがある。ここへ現れた壮士たちは私の手下ではなかったのだよ。」と最後にいうのが石丸清原らしい。それでこそ,「清原さんについてまいります。」となるのだが…。
では,田邊久雄はどう出るか,自分が慕っても愛を得られないという以上にしっかり父上を憎んでおられた。「あいつは僕ばかりか,お母さんまで,裏切ったんだ。よし!どうするかみていろ!」自分の憎しみだけでなく,母への裏切りの報復を加算して駆け出された。お母さんが欺瞞で自分を言いくるめたと,つゆ疑わないところに注目。深化を続ける田邊さんに敬服するしかない。
反面,広瀬清原の方が大甘台詞が決まる,理想をめぐる父子の相克が勝るという恨みは残るが,この水準になればどちらがどうということはもはやなく,楽しんだものの勝ち。

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コメント

>みかん星人さま
お待ちしておりましたわ。
ジグゾーの最後のピースが埋まったようなステキな清原さんでした。
石丸さんで拝見したお役の数,たくさんございましょう。それだけ見たのになぜ福井さんなのか?「きかれてもなあ。」というところでしょうか。
>なぜ、20年前に身請けされなかったのか?
朝子を愛していれば,二人の子である久雄を愛さないはず無いです。三島さんは,相当,ご父君に反感を持っておられたので,かなり矛盾ある人物になってしまったのでしょう。
全体像修復仮想上演できますが,それでも,橋の上に現れた清原の出端は見たかったぞ。
それはそうと,三島戯曲の上演はないのでしょうか。
現在,近代能楽集,鰯売恋引網,黒蜥蜴くらいがポピュラーですが,いいもの眠っていると思われます。

投稿: とみ | 2007年1月19日 (金) 00時03分

とみさん、TBとコメントありがとうございました。

さて、、、と(笑)

テレビを通して観た演劇は、
確かに「舞台演劇」とは言い難い部分がありますね。
なにしろ「クロースアップ」という技法は舞台にはありませんし、
マイクを通してラインで録音された台詞には、
劇場独特の「響き」が無く、寂しいものです。
私も、件の中継録画を観ましたが、
まるで舞台に上がりこんでしまったかのような違和を感じました。

それでも、こうして改めて石丸清原をアップで見ると、
「なるほど、こいつは厄介な輩だ」と感じます。
この人の前に居ると、言い知れぬ不安を感じるのではなかろうか?
あまりにも「出来すぎ」ていて、怖い。
どんなに「愛してる」と言われても、
その余りの気高さ(の様なもの)に気圧されてしまって、
いつか、唐突に、嫌われるのでは無いか?と予感してしまう。
「なぜ、20年前に身請けされなかったのか?」
の理由を、この石丸清原のアップは感じさせてくれました。

これがもし、もう一人の清原であったなら、、、
そこに映っていたのは、
「政治しか目に入らない身勝手な男」
だったかもしれませんが、、、
これこそ「見てない」のでなんとも言えませんなぁ(笑)

テレビで見て感じたもうひとつは、
「朝子の幼さ」でしょうか。。。。
失礼かもしれませんが(笑)
ロビーでインタビューに応じていた野村さんそのままの方が、
ずっと「朝子」に近い雰囲気があった気がします。
・・・っと、これは失言かも(爆)

投稿: みかん星人 | 2007年1月17日 (水) 23時27分

>ぴかちゅうさま
お気遣いありがとうございました。
これは,鹿鳴館フレーズで会話するという共犯者とのゲームです(;^_^A アセアセ…。
しかし,ゲームのふりをした真実でもあります。
観劇記には台詞回しもさることながら,台詞を言っていない側の表情なども書きますから,テレビ中継では限界有りますね。
また,楽しく語り合いましょう。

投稿: とみ | 2007年1月14日 (日) 19時26分

テレビ中継で観たのに舞台を観たと詐称しているなら大問題ですが、中継を観ての感想アップをそんなに恥じ入らないでくださいませ。
私の感覚ではインテリっぽい美学はそれとなく伝わるくらいがよいのです。今回の作品のように押しつけがましいなと思うと引きます。まぁ一回は観てよかったと思うのですけれど。
とみ様の文章はそんな風に感じませんから、これからもどうぞよろしくおつきあいくださいませm(_ _)m

投稿: ぴかちゅう | 2007年1月13日 (土) 14時49分

>ぴかちゅうさま
>インテリっぽい美学をひけらかされている
ぎょえー。インテリジェンスとエスプリを弄し修辞に流れるお富はやはり出入り禁止ですね。
あー恥ずかしい。このエントリ見なかったことにしてください。卑しくも観劇記を標榜しているものがテレビ中継の感想書くだけでも恥ずかしいのに,お目汚しをしてしまいました。
三島さんが過去の世代の方には当然のことと思われます。
では,渡辺センセについて。
センセの全エントリ,まじめに読んでるのですが,よいか悪いかだけで,どこがどうよいのか悪いのか,ワタクシのような歌舞伎初心者には少しきついのです。さすが,センセファンのぴかさまの翻訳のおかげで助かりました。
そういう意味では,誰の俊寛がオイディプスで誰がリアと書くのは,凄く失礼なことなのですね。注意します。ワタクシは四百年でなく2千数百年の普遍性とグローバル性を讃えたつもりなんですが…。

投稿: とみ | 2007年1月13日 (土) 09時57分

今年の初観劇は1/4、自由劇場の凱旋公演の「鹿鳴館」でした。劇団四季の総力を挙げただけのことはあって、舞台の完成度はかなり高く、一見の価値は十分にありました。その時の感想をやっとアップしたのでTBさせていただきました。
とみ様はこの舞台を深く愛していらっしゃるようでこんな内容の記事では心苦しいのですが、私と相性が合わなかっただけだと思います。でもこう感じた人間もいたということでご容赦くださいませm(_ _)m
吉右衛門の「俊寛」のコメントも大変参考になりました。渡辺先生が歌舞伎が新劇くさいといけないとおっしゃっているのは、歌舞伎が伝承すべき様式性がくずれるからなのだと思います。しぐさやきまりなどがきちんとできてこそ褒めていただけているようです。しぐさの基本には舞踊があるらしく、私はそこがよくわからないのでなんとかしたいと思っているのですが.....(^^ゞ

投稿: ぴかちゅう | 2007年1月13日 (土) 02時44分

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» 07/01/04 初観劇は劇団四季「鹿鳴館」 [ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記]
{/kame/} 三島由紀夫の「鹿鳴館」は平幹二朗・佐久間良子の元夫婦とその息子による舞台の初演の時から興味を持ってきたが、見送り。再演時も見送り。そして昨年の劇団四季による初上演もロングランだったが見送り。チラシに書いてあるあらすじを読んでここまで気にしながらずっと見送っているというのはなぜか。三島由紀夫という人間が好きではないからだ。 彼の脚本でこれまで観た舞台は2本。2003年の美輪明宏主演の「黒蜥蜴」と20... [続きを読む]

受信: 2007年1月13日 (土) 02時32分

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