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2006年12月22日 (金)

京阪文楽・三十三間堂棟由来/鷺娘

004博多座以外では今年最終の文楽公演で,京阪百貨店守口店のイベントホールで4公演行われた。10年続いているとか。舞台といっても簡単な書き割りだけ,客席は200席足らずであるが,技芸員さんたちの気迫と客席との近さが家庭的な雰囲気だった。座頭は文吾さん。
第一部:文楽の舞台の技法の解説
 太夫:呂茂大夫,三味線:喜一郎,人形:紋臣
第二部:三十三間堂棟由来
     平太郎住家より木遣り音頭の段
 貴大夫,団吾,英大夫,清友
 紋寿,文吾,紋豊,文司・紋吉
第三部:鷺娘
 呂茂大夫,希大夫,団吾,喜一朗
 清之助

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文楽

第一部の解説は掛け合いではなく三業別々に手際よく楽しく。守口市限定・超ローカルなネタもあり湧いていた。
第二部は人気狂言の三十三間堂棟由来。柳の精の妻は,柳が切り倒され京へ三十三間堂の棟木として運ばれることとなったため命を失う。五歳の愛児と愛しい夫に思いを残し,柳木は曳かれてゆくが動かなくなった。夫の平太郎と子のみどり丸が供養に木遣り歌を歌うと木は動く。
文吾さんの平太郎はオトコマエの源太(たぶん)の首でゆったりと暖かい父親として作っておられた。良い男はんでお柳が離れがたいのが分かる。紋寿さんのお柳はくどきがたっぷりあり,引き抜きもあざやか。柳の精と文楽人形という組み合わせが象徴的。コーンという斧の音と苦しむ姿が本当に痛々しい。英大夫さんの語りも誠実で熱かった。
第三部は空気までがしんしんと冷えた。花競四季寿のうちの冬。文楽の鷺娘は白無垢の花嫁姿と桃色地に鷺柄の引き抜きが一度。傘大→傘小*2→柳の枝→傘小*2の小道具の順序。
しょんぼりとかわゆらしい鷺娘である。娘の首も小振りの別嬪さんで鬘もバランスが綺麗なものだった。足遣いさん,どなたか分からなかったが鷺の足になっていた。振り袖の使いに見惚れてしまう。本日も気品が吹雪いていた。

柳の葉と雪が落ちてくるがなかなか適量とはいかなかったようだ。
昨年は新口村と日高川入相花王だったようだ。あーあほやったあほやった。本朝廿四孝で嵌った割には詰めが甘かった。

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コメント

>うりぼうさま
ご高覧頂きありがとうございます。歳は馬に食わせるほど経ていますが悲しいかな文楽は超初心者。ご教授いただきましたらありがたく存じます。
>平太郎の首はやはり検非違使
オトコマエでしたのでつい…。一当り見ないとあきません。
>お柳は引き抜きではなく、八重垣姫でやっている素早く持ち替える方式
お痩せになられたので,もしやと思っていましたが,あとで鷺娘を拝見したので勘違いしました。
>紋吉さんのみどり丸がとても可愛らしく、お気に入りです。
紋吉さんもみどり丸もかわいらしいので相乗効果大きいですね。
だいぶお顔や芸風がインプットされましたのでこれからです。見ますぞえ。

投稿: とみ | 2006年12月25日 (月) 21時57分

はじめまして。
文楽の記事をたのしみに、拝読しています。
文吾一座、こぢんまりと手作り感いっぱいで、年の終わりに佳いものを魅せていただきました。
ところで、平太郎の首はやはり検非違使とおもいます。
お柳は引き抜きではなく、八重垣姫でやっている素早く持ち替える方式(名前がわからない)でしたよ。
私は紋吉さんのみどり丸がとても可愛らしく、お気に入りです。

投稿: うりぼう | 2006年12月25日 (月) 20時08分

>まこさま
初めて見ます。花競四季寿は人気演目ですから,これからも色々な方で拝見できることでしょう。早速正月公演で勘十郎さんの鷺娘が見られます。
十二月の中堅を中心とした東京公演をご覧でしたら敢えて追加するか悩ましいところでしょう。地方公演的楽しさいっぱい。文吾さんの一座ですから文吾さんらしさが堪能できます。
清之助さんのお人形は空気を変える力あります。暑いし,雪も少なめの会場でしたが,さぶっ!となりました。あの気品はなんなのか解明できてませんが,見続けていれば分かる日も遠くないと確信しました。

投稿: とみ | 2006年12月23日 (土) 08時18分

>藤十郎センセ
失礼しました。検非違使は忠義な武士で大きめの装束というイメージですが,平太郎さんは鬘も着物もくつろいだ感じに拵えてあり,何より優しかった。なんせ,床本のみのパンフ無しでしたので(^^ゞ。勉強しますぅ!
空調の音が大きく,大夫さんと三味線さんは気の毒でした。乾燥もきつい。三味線の皮は大丈夫だったか気になりました。

投稿: とみ | 2006年12月23日 (土) 08時04分

柳の精も鷺の精も引抜くのですか。
鷺の足遣いってどんなんでしょう。
気品の吹雪くさまをみたかった!
200席なんて贅沢ですね。
来年は南座とあわせていってみたくなりました。
ありがとうございました。

投稿: まこ | 2006年12月23日 (土) 04時33分

おとみさんの今年の文楽見納めでしょうか。
清之助の鷺娘で結び、新春早々には勘十郎の鷺娘がありますね。
平太郎は普通は検非違使だと思いますが、源太でした? あるいはそういうふうにみえる文吾さんの遣い方?

投稿: 藤十郎 | 2006年12月22日 (金) 22時35分

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